こんぶ土居店主のブログ

こんぶ土居店主によるブログです。お役に立てれば。

とろろ昆布①つくり方

とろろ昆布は、一般的な食品ですが、製法をご存じの方は少ないのではないでしょうか。

お酢に浸した昆布を圧縮して固め、大きなブロックのようにしてから機械で削ります。

言葉では伝えづらいところもあるのですが、YouTube上に面白い動画を見つけました。

非常にわかりやすいです。

https://www.youtube.com/watch?v=lqN6B1F9ldU

 

本来のとろろ昆布の原料は、昆布と酢です。

良い昆布と良い酢を使えば、この二つの材料だけで素晴らしく美味しいものができます。

ただ、一般市販品では、粗悪な原料の性質をごまかすために、様々な副原料が使われる場合があります。

 

特に、酢に関しては、まともな純米酢を使って作られるとろろ昆布は、かなり稀です。

昆布がうまみ成分のかたまりのような食品ですので、粗悪な酢でも、なんとなくごまかせてしまうのです。

冗談のような話ですが、今でも醸造酢ではなくて、氷酢酸を薄めたものなどが平気で使われます。

 

こんぶ土居のとろろ昆布は、100%静置発酵の純米酢だけで仕込んでいます。

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酢の選び方についても、また後日このブログで書きたいと思います。

 

次回は、手加工とろろ昆布のための、素敵な古い道具のお話。

 

 

 

 

 

 

 

店舗内装【建築について】

こんぶ土居は、1903年の創業以来117年目の営業になりますが、もともと現在の場所であったのではありません。

平成17年に移転してきたものです。

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その際に、店舗内装の工事をしましたが、こんぶ土居の食品づくりと同様に、できるだけ自然素材で構成するようにしました。

当時三代目が、「建築について」と題して書いた文章がありますので下記にご紹介致します。

 

 

〇こ ん ぶ 土 居 通 信 №13 平成 17年8月発行【建築について】

 蜆橋(現在の梅田新道)で昆布屋を営業していた当店の創業者 土居 音七は明治42年の北の大火で罹災し、空堀へ移転することになりました。

こんぶ土居では、それ以来当時の建物を改修しながら使ってきましたが、老朽化がひどく建て直しを考えていました。

健康な生活を送る上で最も大切なものは食べ物で、次は住居だと考えておりますので、かねてから住宅に関する本を読むなどして、情報を集めておりました。

新しい工法や、近年脚光を浴びる外断熱工法も検討致しましたが疑問点もあり、最終的には伝統工法が最良であるとの結論に達しました。

しかし、狭小地をいかに有効的に使うかに頭を悩ませておりましたところ、五軒となりの閉鎖された信用金庫の建物を使わせていただけることになりました。

築50年の鉄筋コンクリート造ですが、これまであたためてきた建築への理想を込めて、リフォームすることに致しました。

一般に広く使用されている建材は、食べ物と同じく、にせものやごまかしに満ちています。

洋室によく使用されるフローリング材などは、南洋材を薄く切ったものを何枚か接着剤で張り合わせ、表面だけごく薄いきれいな木目の板(フィルムと言ったほうが良いかもしれません)を貼り、ウレタン塗装等をしたものが大半です。

これらは最初は美しいのですが、時を経るにつれてだんだんと見苦しくなっていきます。

また、木材とはいえ内部は合成樹脂などが多く含まれていますから、本来の木の質感や、香り、吸放湿などの諸効果は全く望めません。

また、原料の木材もほとんどが輸入物ですので、このような建材を多用することは、日本の林業を衰退させ、また経済力に物を言わせて外国の資源を枯渇させることにもつながります。

和室に目を向けても、畳表のイグサはほとんどが中国産で、日本では許可されないような農薬が使われているかもしれません。

知人が、最近新しくした畳で皮膚がかぶれると言っていました。

また、畳の内部は伝統的には藁の床ですが、最近では発泡スチロールやベニヤ板で作られるようです。

その他、一見土壁に見えるビニールクロス、天井はプリント杉板など、このようなコピー建材では和室のくつろぎは望めません。

本物の建材を使えば、多少のコストアップにはなりますが、少し長い目で見ればどちらが得か明らかです。

住宅も本物をできるだけ長く使い、再利用も考えてできるだけ資源の有効利用に努めたいものです。

私共のリフォームにあたっては、当店の商品づくりと同じように、化学的なものをできるだけ排除し、自然素材の良さを活かし、人と環境への優しさを重要視しました。

 

有害な物質を含んだ建材や塗料を使用しない

床板や腰壁などの木材は国産の無垢材を使う

壁は上塗りであっても土壁にする

蛍光灯は極力使用しない

一部屋でも和室を作る小さくても庭を作る

これまで使ってきた家具や陳列什器をできるだけ再利用する

屋上を緑化し雨水を活用する、などを基本的な考えとしています。

 

具体的には、店舗床は厚さ3cm の国産松材、腰壁は国産の杉板、塗料は木の呼吸を妨げないよう柿渋とベンガラを墨で調色したもの、外壁は一般的な吹き付け塗装をしてあった上から本しっくい塗り(厚さ約1cm)、内壁はビニールクロスをはがして土佐しっくい塗り、天井も既存のものを撤去してしっくい塗り(京壁 佐藤左官様施工)、メインの照明は、目に優しくあたたかい光のコクヨ製船舶用耐震白熱電球(レストラン 豚玉様に教えていただきました)、陳列什器・看板・建具やエアコンまでも従来使っていたものを再利用、夜間金庫跡には旧店舗の石燈篭を使った坪庭、という具合です。

唯一あたらしく作ったものは、店舗外側に楠の丸太をくりぬいて、メダカが泳ぐ、植栽空間です(藤井植物園様の設計・施工)。

この植栽空間は当店の前を通行される方々の無料休憩所にもなっています。

この長い空堀商店街には、ちょっと腰を掛けられる場所が意外に少ないので、少しはお役に立てているのではないかと思っています。

来店されたお客様から「なんだか気持ちがいい」と言われると、食べ物も建築も自然が一番、伝統・国産を大切に、との思いがいっそう強くなります。

 

 

だし?出汁?出し?

予防線を張るようですが、今日のお話は特に重要なことではありません。

「ダシ」という言葉の表記方法について、少し気になっているので書いてみます。

もし、ご興味があれば。

 

よく使われる表記方法、『①だし ②出し ③出汁』の三種類を考えてみましょう。

どれも間違いということは無いかと思います。

 

①は、ひらがなで書いただけ、単純明快ですので何も問題ありません。

 

②は、事例が最も少ない表記かと思いますが、こんぶ土居ではよく使います。

こんぶ土居製品に「十倍出し」というものがあります。

「十倍だし」でも「十倍出汁」でもありません。

 

③の「出汁」は、かなり一般的に使われる表記方法ですが、実はこれに少し違和感を持っています。

そもそも「ダシ」とは、何でしょうか。

ネット上の辞書によりますと

『出汁(だし)は、昆布や鰹節などの食品を煮て出した汁。 「煮出汁」(にだしじる)の略で、「出し汁」(だしじる)、「にだし」ともいう。』

とあります。

つまり、「煮」て、「出」した、「汁」、という3つの意味を含む言葉の略語だと言うことになります。

 

それぞれに読みを対応させますと

「煮」は「に」で

「出し」は「だし」で

「汁」は「じる」

ですね。

 

であるならば、「ダシ」という言葉の音を担っているのは「出」という漢字とその送り仮名であって、「汁」ではないことはお分かりいただけるかと思います。

ですので、正しく書けば、やはり「出汁」ではなく「出し」なのではないかと考えています。

「出汁」と書くのなら、その読み方は本来「だしじる」でしょう。

 

日本語の用法も、時代と共に変わりますし、「出汁」と書いて「ダシ」と読むのは、かなり一般的になっています。

ただ「出汁」を(でじる)等と読む方が結構いますが、「でじる」なんて言葉は無いでしょう。これは変だと思います。

 

「十倍出し」は、これまで数え切れないほど誤記されてきた経緯もあり、考え方をまとめておきます。

Instagram

今年から、こんぶ土居スタッフで、インスタグラムを始めました。

その時々の情報をお伝えします。

https://www.instagram.com/konbu_doi/

 

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このブログとの性格分けが必要かと思いますが、だいたい次のような感じでしょうか。

 

【ブログ】

テキストが主なので、少し複雑な内容。

食品について深く知りたい方向け。

書いているのは土居。

 

【インスタ】

写真が主なので、あまり複雑になり過ぎずに。

楽しさも含め、多くに方に見ていただけるように。

こんぶ土居スタッフで運営。

 

同じテーマを扱ったとしても、少し性格の変わった情報になるかと思います。

ぜひチェックしてみて下さい。

 

 

 

 

空堀

こんぶ土居の店舗は、大阪市中央区の「空堀」と呼ばれる地域にあります。

この地名の由来は、大阪城です。

昔は「大坂城南惣構堀」と呼ばれたようですが、水の張られていない空っぽの堀があった場所なのです。

現在の大阪城からこんぶ土居までは、1キロ少々の距離がありますが、かつての大阪城は広大で、こんぶ土居の場所は、かつての大阪城の城内でした。

 

第二次世界大戦の空襲で、大阪も一面焼け野原になりました。

しかし、一部に焼失を免れた地域もあり、そのひとつが空堀エリアなのです。

そのため、古くからの長屋や、それにつながる細い路地など、今の時代から見れば、古くて新しい景色が広がっています。

迷路のように入り組んだ路地奥に、今では珍しくなったものを色々と見つけることができます。

史跡なども多く、歴史好きの方にも面白い土地柄です。

 

 

その価値を残そうと町おこしに取り組んだ方々もあり、町並み保存のモデルケースとしても全国的に知られるようです。

おいしい飲食店や、古い建物を活かしてのお店やギャラリーなど、街歩きにも楽しいと思います。

是非お出かけ下さい。

 

 

写真は、現在の場所へ移転前の旧店舗時代のものです。

(同じ空堀内です。)

 

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エキスとだしの違い

加工食品の原材料表示欄に「~エキス」と表記されているものを見つけたことはないでしょうか。

「チキンエキス」「ポークエキス」「魚介エキス」、その他にも「酵母エキス」などなど。

様々なエキス類があります。

今日は、それらについてのお話です。

 

不思議なもので、加工食品の原材料表示欄には「~エキス」をよく見かけるのに、どこのスーパーへ行っても、どこのデパートに行っても、エキス類自体が市販されていることは、ほとんどありません。

つまりエキス類は、一般市販品としてではなく、加工食品の原材料として使われるのです。

 

 

 

例として、「鰹節のだし」と「かつおエキス」を比較してみましょう。

 

前者は、単純明快です。

鰹の削り節をお湯で煮だしたものです。

 

では、後者の「かつおエキス」はどうでしょうか。

注目すべきところは主に二点、

①抽出方法

②原材料

です。

 

まずは、「①抽出方法」から。  

「だし」は、水又は湯でに煮だしたものですね。

しかし「エキス」は、アルコール抽出や酵素反応など、様々な手法を用いて抽出される場合があります。

抽出後、精製や濃縮の工程を経てエキス製品となります。

だしをとるのとは全く違った人工的な方法であり、より強くうまみを呈するエキス分を抽出することができます。

 

食品としての安全性に懸念があるかどうかは、よく分かりません。

しかし、薬品や食品添加物を抽出や精製に使用されても、加工助剤として表示を免除され、判別できないところは少し気になります。

 

次は「②原材料」について。

例として、昨日のブログで取り上げた「ネリ節」を使ってかつおエキスを作ることを考えてみましょう。

昨日の記事をご覧になっていないと、今日のお話の理解がしづらいので、まだの方は是非お読みください。

 

2020年6月1日投稿「ネリ節って、なんだ?」

https://konbudoi4th.hatenablog.com/entry/2020/06/02/100726

 

昨日ご説明した「ネリ節」は、「かつお加工品」であって、鰹節ではありません。

鰹以外のものが原料として使われる場合もあります。

そのため、ネリ節からエキスを抽出しても、それは「鰹節のだし」ではなく「かつおエキス」です。

 

ネリ節が、鰹以外の原材料に由来する成分を含んでいたとしても、それからエキスを抽出してしまえば「かつおエキス」と表示されるだけです。

食品添加物でないのなら、エキスにネリ節製造に使われた原材料の表示義務はありません。

例えば、酵母エキスが入っていようが、たんぱく加水分解物が入っていようが、酵素が入っていようが、何も表示義務はないのです。

理由については、2020年5月27日投稿の「表示を免除されるもの① 原材料の原材料」をお読みください。

https://konbudoi4th.hatenablog.com/entry/2020/05/27/160912

 

ここが一つの大きな問題点だと思います。

エキスには主たる原料以外に様々な成分が含まれる可能性があるわけです。

ただ、多くの方は「鰹節のだし」と「かつおエキス」混同し、違いを明確には認識しない場合が多いと思います。

 

エキスとは、だしとうまみ調味料の中間的な存在だと言えるかも知れません。

 

強烈なうまみを呈する食品が多用されると、それに舌が慣らされ、伝統的なだしを物足りなく感じる可能性があります。

これは一種の依存症であり、大げさに言えば「味覚のマヒ」です。

特に、子供の頃から常食すると、それがないと物足りない舌になり、とかく濃い味のものを求めるようにます。

本物の料理人が作る料理や、特に、良い材料で作った家庭料理の良さが分からなくなるでしょう。

こうなれば、健康にも悪影響が出かねません。

甘さや油の味への依存性から、脂っこいものや甘いものを制御できずに食べ過ぎて健康を害する人がいるのは、多くの人が知るところです。

その構造とは少し異なりますが、本来体に摂取すべき自然な食べ物をおいしいと感じられなくなることがあれば、大きな問題だと思います。

 

エキス類の進化によって、加工食品メーカーは、まぁまぁ美味しい加工食品を安く簡単に作ることができるようになります。

消費者も、まぁ美味しい製品が安くに入手でき、喜ぶかも知れません。

しかしそのエキス席巻の裏で、価格競争や単純なうまみの強さでは太刀打ちできない伝統的なだしが、衰退することになるのです。

 

何を使うも消費者の自由です。

安いものは魅力的でしょう。

しかし、食文化も本来の味覚も、一旦失われると簡単には取り戻せません。

伝統的な食文化の一翼を担う昆布屋として、過去から受け継いだ本物の価値を理解して下さる方が多いことを願っています。

 

人工的で強いうまみを含む食品は、表面的にはおいしく感じても、真の満足感とは何か少し異質です。

それに気づいたとき、「だし」の真価を知るのでしょう。

それこそが正に「味淡有眞楽」なのではないかと思います。

 

 

 

ネリ節って、なんだ?

「ネリ節」という物をご存知の方は、その業界の方を除き、ほとんどおられないと思います。

私も今年初めて知りました。

 

「ネリ節」とは、簡単に言えば、鰹節に似せた魚肉の加工品です。

鰹節問屋さんにご協力いただき、取り寄せてみましたが、こんな見た目をしています。カリントウみたいで鰹節とは、随分違いますね。

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鰹節をつくる際には、まず生の鰹を捌きます。

昔は職人さんが手作業で捌くことが多かったようですが、今では機械で加工することもできます。

その際には、言わば鰹のクズ肉が出るわけです。

それを寄せ集めて鰹節に似せて作ったものが「ネリ節」です。

鰹以外の魚肉で作ることも可能です。

場合によっては、内臓や骨などの一般には不可食部分とされるものを混ぜることもあるようです。

 

特許情報として、ネリ節の製造方法が分かりやすく書かれているものがありましたのでご紹介します。

https://astamuse.com/ja/published/JP/No/1995322859

 

こういった製品にも、全く存在価値が無いかと言えば、そうではありません。

漁業資源が枯渇傾向にある今、限られた資源を余すことなく有効活用するためだと言われれば、そのような側面があるのは事実でしょう。

しかし、同時に問題点もあります。

 

一番の問題点は、このような製品が圧倒的に安価で、ある一側面に於いては伝統的な鰹節を凌駕してしまうことです。

消費者にとって安価であることは歓迎すべきことでしょうし、それ自体は何も問題ないのですが、少なくとも伝統的な鰹節との違いが理解されないと、価格競争に敗れて伝統産業が滅びていくことにつながります。

 

本物を凌駕する一側面とは、「うまみ成分の量」です。

これは、単純に「鰹節よりおいしい」ことを意味しませんが、非常に強いうまみを呈す場合があるのは事実です。

 

ご紹介した特許情報は非常に長いので、要点をご紹介します。

ネリ節製造で、うまみ成分を増やすための方法としては、主に、

 

酵素剤の使用

②食品原料に分類されるうまみ調味料の添加

 

この二つです。

②の問題点は後日記しますが、表示免除の件については2020年5月27日投稿の「表示を免除されるもの①」をご参照下さい。

https://astamuse.com/ja/published/JP/No/1995322859

 

本日は、①の酵素剤の使用が、どのような仕組みでネリ節のうまみ成分を増やすのかをご紹介します。

まず、うまみ成分の正体とは、主にアミノ酸です。

アミノ酸は、数多くの種類があり、そのうち20種類はタンパク質の構成要素になります。

だいたい50個以上のアミノ酸が結合したものがタンパク質と呼ばれ、それ以下のものはペプチドと呼ばれます。

タンパク質には味がありませんが、ペプチドやアミノ酸はうまみを呈するものがあります。

代表的なものは、古くからうまみの効果が知られたグルタミン酸です。

これは、昆布のうまみ成分の代表的なものであると同時に、そのナトリウム塩として化学調味料の成分でもあります。

 

先に書いたように、アミノ酸がたくさん結合するとタンパク質になるわけですから、逆に言えば、タンパク質を分解すればアミノ酸を取り出すことができるわけです。

ここで、その役割を果たすのが酵素です。

 

酵素は、人間の体の中でも大切な働きをしています。

食物として取り入れたものは消化しないと吸収できませんので、そこでも酵素が働きます。

代表的なところでは、でんぷんを糖に変えるアミラーゼ、脂肪を分解するリパーゼ等は、よく知られています。

同様にタンパク質を分解する酵素は、プロテアーゼと総称されます。

 

ネリ節の原料である魚のクズ肉に、酵素剤としてプロテアーゼを混ぜれば、魚肉のタンパク質が分解されてアミノ酸が出てきます。

つまり、このようにして製造したネリ節は、伝統的な鰹節より圧倒的にうまみ成分の量が多いのです。

これが前述の、「伝統的な鰹節を凌駕する一側面」です。

 

食品添加物としての酵素剤は多種多用で、安全性の懸念があるものも存在しているようです。

また、5月28日投稿の「表示を免除されるもの②」でご説明した通り、キャリーオーバー解釈にて表示義務もありません(ネリ節製造段階で加熱され、失活するため)。

https://konbudoi4th.hatenablog.com/entry/2020/05/28/182056

 

この用途以外でも酵素剤は、様々な用途で利用されることが急激に増えています。

多くの場合、伝統的な製品づくりの問題点を簡単に解決する可能性があります。

その是非をどう判断されるかは個人の考え方次第ですが、昔ながらのものづくりをする生産者が相対的に低く評価されるリスクを抱えています。

また、加熱される食品については原材料として表示されないことも気がかりです。 

 

このネリ節は、一般に市販されることはまずありません。

加工食品の原材料として使用されます。

 

次回の投稿では、このような製品の主な用途と問題点を「エキスとだしの違い」と題して書く予定です。

今日のところは、まずネリ節とはどのようなものであるのかと、タンパク質と酵素アミノ酸の関係をご理解いただければと思います。