こんぶ土居店主のブログ

こんぶ土居店主によるブログです。お役に立てれば。

たこりきの「だしチキンカレー」

 

こんぶ土居から歩いて数分のところに、「たこりき」というたこ焼き屋さんがあります。

https://www.takoriki.jp/

素晴らしく美味しいたこ焼きを提供するお店です。

あのミシュランガイドにも、最新2020年版に、たこ焼き部門で唯一掲載されているお店です(5年連続)。

 

たこりきのご主人の今吉さんは、過去にこんぶ土居に特別な協力をして下さいました。

例えば、真昆布の産地の函館市立磨光小学校で20年来続けている、5年生に向けた一日授業。

(2020年7月20日投稿「函館市立磨光小学校 2020年夏北海道出張レポート③」をご参照下さい。)

https://konbudoi4th.hatenablog.com/entry/2020/07/20/102352

 

これは三代目の時代に始めたものですが、当時は小学生への楽しさの要素も含めるため、児童の皆さんと真昆布のだしの活きたお好み焼きを作ったりしていたのです。

その趣旨に賛同して、今吉さんはレシピを惜しげもなく教えて下さいました。

そこには、言わば「プロのコツ」も含まれており、その作り方に少し驚きました。

このレシピは今吉さんの許可を得て、拙著「土居家のレシピと昆布の話」にも掲載しています。

https://konbudoi4th.hatenablog.com/entry/2020/06/20/094208

 

 また、2020年7月21日のブログ記事「南茅部高校 2020年夏北海道出張レポート④」でも書きましたように、毎年昆布産地の高校生が、こんぶ土居を訪問して下さっています。

https://konbudoi4th.hatenablog.com/entry/2020/07/21/093413

ある年、今吉さんは、業務用の大きく重い機械を、わざわざこんぶ土居まで搬入し、生徒の皆さんにたこ焼きづくり体験をさせてあげてくれました。

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こんぶ土居で高校生にたこ焼きづくり実演を見せる今吉さん(たこ焼き器の前の白いシャツの腕まくりの男性)。

 

このように、良いことだと思ったものには、惜しげもなく協力をして下さる方です。

 

そして今年「たこりき」が、飲食店としてのお仕事以外に、レトルトカレーをプロデュースして発売されました。

一般的なレトルトカレーは、よくわからない原材料で作られるものがほとんどで、あまりお勧めできないようなものばかりです。

たこりきのレトルト「だしチキンカレー」は、食品添加物やうまみ調味料を一切使わず、非常に良心的な材料でつくられています。

表面的な美味しさではなく、体にスムースに入っていくような爽やかな食後感が特徴です。

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そして、この製品の原材料として、私共の製品「十倍出し」を使用して頂いています。

パッケージにも十倍出しのイラストと共に、その旨が書かれています。

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十倍出しが、このような製品の原材料としてお役に立っていることを、非常に嬉しく思います。

こんぶ土居の店頭でもこのカレーは販売していますが、たこりきさんのお店は、こんぶ土居から歩いて数分ですので訪れてみて下さい。

カレーと共に、たこりきさんの素晴らしく美味しいたこ焼きもどうぞ。

お店の中に入れば、たこ焼き以外の様々なお料理やお酒も提供されています。

 

 

無濾過バンザイ!

 

先日、こんぶ土居製品を販売して下さっているお取引様販売店から、ご指摘を受けました。

私共の製品「本格十倍出し」に浮遊物があるとのことでした。

販売にご不便をおかけしたような状況ですので、申し訳のないところです。

 

実は、過去にも何度か同様の事が起きています。

当然ながら、十倍出しを瓶詰めして発送した時点では、浮遊物などないのです。

ただそれが、時間の経過で昆布の微細な成分が凝集して、固まりを形成してしまうことがあるようです。

 

この問題を解決する方法は、非常に単純です。

高度な濾過をすれば良いのです。

目の非常に細かいフィルターを通したり、活性炭ろ過をすれば、このような問題は起きません。

しかし、こんぶ土居では、簡単なろ紙を通しただけで製品化しています。

 

その理由は簡単。

濾過によって味が痩せるからです。

 

ただ、このようなことは、消費者の方へのご説明が必要ですので、製品の二か所に注意書きを書かせていただいています。

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無濾過の良さを、こんぶ土居製品に使用する他の原料にも見て取れる場合があります。

私共の製品の「ミネラルいりこん」に使用している圧搾ごま油は、言わば無濾過に近いものです。

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一般的に、品質を安定させるために油脂精製時に水溶性の物質を取り除きます。

「湯洗い」と呼ばれる工程で、油に湯を混ぜて攪拌し、水溶性の物質を溶かし出すのです。

これは特に問題のある工程ではありませんが、湯洗いによって少しおいしさも抜けてしまうようです。

湯洗い以外にも、加工助剤と呼ばれる薬品を用いて不純物を取り除くことも多いですが、表示義務がありませんし、特に必要のない濾過はしない方が良いと思います。

前述のごま油は湯洗いをせず、絞ったまんま。品質は素晴らしく、なんとも豊かな味と香りです。

 

ただ、この油を使って揚げ物をすると、異常な量の泡が出ます。

ちょっと危険です。

決して扱いやすいものではありませんが、それを引き受けてでも使いたくなる魅力があります。

 

 

お酢に関しても、現在お酢メーカーさんと相談して、無濾過に近いお酢をこんぶ土居製品に使用できないか検討しています。

確認しなければならない事がまだまだありますので、使用できるかどうかは未定ですが、面白いものができるかも知れません。

 

見た目が澄んで美しいものは、それはそれで良いのですけれど、濁りのあるものを毛嫌いするのは、本当の自然な美味しさを遠ざけてしまうことになるのではないかと危惧しています。

 

多くの消費者の方にもご理解をいただけると非常に嬉しいです。

 

養殖昆布と熟成、晩夏に感じる喜び

 

こんぶ土居で初めて養殖昆布を仕入れたのは、確か十年と少し前のことだったでしょうか(神仏のお供えに使う昆布を除く)。

 

当時は、天然真昆布が十分にあった時代です。

それなのに養殖昆布を仕入れようと思ったのは、漁業の現場に触れたからです。

 

平成16年に初めて昆布漁に参加し、寝食を共にして仕事をすれば、生産者への理解も当然深まります。

(2020年6月27日投稿、「平成16年夏、昆布漁のお手伝い」をご参照下さい)

https://konbudoi4th.hatenablog.com/entry/2020/06/27/092818

 

 

昭和40年代に昆布養殖が実用化されて以後、道南地方の昆布漁師さんの収入源は主に養殖昆布です。

それなのに、天然ものだけが欲しい、養殖はいりません、というのもなんだか申し訳ないような気がして、少し養殖昆布を仕入れた経緯があります。

 

しかし昆布が大阪へ届き現物を見たときには、「これは困ったぞ」と思った記憶があります。

やはり天然真昆布との差は非常に大きかったのです。

仕入れてはみたけれど、この品質の昆布を一体どうやって利用すればいいのか、と非常に悩みました。

 

その悩みに答えが出ないまま月日は流れ、採取年の翌年の初秋になりました。

すると、その昆布の品質が一変しているのです。

天然昆布と同じとはいきませんが、非常に近いところまで来ています。

この時は、本当に驚きました。

これは言わずもがな、熟成の効果です。

天然昆布にも熟成の効果はありますが、養殖昆布の方が変化の度合いは強いように思います。

 

以前の投稿でも書いたように、梅雨を越えた時期に昆布は劇的に変化しています。

現在は、まさにそんな季節であるわけです。

(2020年6月27日投稿、「昆布の熟成について」をご参照下さい)

https://konbudoi4th.hatenablog.com/entry/2020/06/27/093601

 

昨年収穫された養殖昆布も、こんぶ土居の倉庫で丸一年熟成され、品質が一変しました。

「昆布が、ようやく昆布になった」。

私には、そんな風に見えます。

 

今年も大きく変化した昆布を見て、初めて養殖昆布を仕入れた年の落胆と、その後の喜びを思い出しました。

天然昆布が採れない今、品質の良い養殖昆布の必要性は高まっています。

今後も少しでも良い状態でお届けできるよう、良い熟成状態と的確な選別で、ご期待に応えたいと思っています。

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こんぶ土居と漁協との交流の歴史  2020年夏北海道出張レポートの末尾としての振り返り

 

こんぶ土居は、三代目の時代から昆布漁業の現場におられる方々との関りを初めています。

その数十年の信頼関係の構築が、現在の大きな問題を解決するための礎になるのは間違いありません。

出張レポートの最後として、これまでの漁師の皆さん方との30年以上に亘る関係づくりの歴史の一部をご紹介します。

 

 

南茅部の昆布生産者とこんぶ土居の交流の歴史(三代目引退まで)】

昭和57年
共販制度という流通形態下で、業者の産地訪問はタブー視されている中、三代目土居成吉が初めて単独で川汲漁協を訪問。


昭和61年
平凡社「太陽」でこんぶ土居の紹介記事。執筆者、故・平澤正雄氏が北海道の昆布生産の現場をで丁寧に取材され、昆布産地の現状を伝える。昆布生産者とこんぶ土居の信頼関係づくりの土壌ができる。


平成2年
テレビ番組「徳光和夫のテレビコロンブス」で、映画監督の、故・相米慎治氏が、テレビ番組初監督で当店を取材(壇太郎氏のご紹介)。昆布産地を訪問して取材し、放映される。


平成6年
豊漁と安全を祈願した「川汲地蔵」を奉納する(1体目)以後10体目まで継続。


平成11年
南茅部町立磨光小学校にて、5年生を対象に食育を始める(吉村良一川汲漁協組合長(当時)のご紹介)。現在まで継続中。

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平成12年
磨光小学校での食育授業時に、漫画「美味しんぼ」のこんぶ土居掲載部分を教材として利用し始める。児童の皆さんには、全員に一冊ずつ「美味しんぼ」をプレゼント。現在まで継続中。

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平成15年
川汲地蔵10体目完納

 


平成16年
昆布生産の現場をより深く理解するため、土居純一が、夏の昆布漁の最盛期に約10日間、漁のお手伝いを始める。世界初の昆布養殖の基礎を築き南茅部の漁業に多大な貢献をした、故・吉村捨良氏と、寝食を共にしながらコンビを組んで船に乗る。

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平成19年
北海道南茅部高校の生徒さんの一部(将来の昆布漁業後継者候補)が、秋の修学旅行の際に校長先生に引率されてこんぶ土居を訪問。来られた高校二年生の中には、小学校五年生の時に磨光小学校で土居成吉の食育を受けた生徒さんも含まれる。以後、南茅部高校の修学旅行時には、生徒さんのこんぶ土居訪問が恒例となり、現在まで継続中。

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平成20年
南茅部高校で講演を依頼され、10月6日に全校生徒を対象に実施。産地の次世代に、昆布の理解が深まることが狙い。

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秋の南茅部高校修学旅行での生徒訪問の際には、「美味しんぼ」原作者の雁屋哲氏など、多数の方のご協力を受ける。

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雁屋哲氏のブログ「雁屋哲の今日もまた」をご参照下さい。)
http://kariyatetsu.com/blog/725.php

 

 

平成23年

土居成吉、京子による磨光小学校での食育は13年目を迎え、引退に際し感謝状を頂く。

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 三代目の引退に際し、漁協から記念品として、大漁旗を頂く。

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以上、これまでの活動の一部をご紹介しました。

今後も、これを礎に、良い協力関係を発展させていきたいと思います。

 

 

前田高志研究員 2020年夏北海道出張レポート⑨

前回の投稿から少し時間が開いてしまいましたが、続きです。

 

昆布や海藻の研究に関係する機関は多々ありますが、現場に最も近い研究施設といえば水産試験場でしょう。

函館水産試験場には、昆布の専門の研究者がいます。

前田高志さんとおっしゃる研究員です。

 

2月に初めて訪問した際には、前の予定が大きく押してしまい、前田さんとの約束の時間を大きく過ぎ、勤務時間外になってしまったのにも関わらず、嫌な顔ひとつせず時間を割いて下さったのは感動的でした。

 

若い研究者ですが、熱意のある非常に優秀で信頼できる方です。

天然真昆布の再生には、欠かすことのできない人物だと思います。

 

つい先日、8月22日の北海道新聞でも、今年の天然真昆布の引き続きの大凶作が報じられていましたが、前田さんのコメントも紹介されています。

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(この記事は、原彰彦北海道大学名誉教授が送って下さいました)

 

先月の函館水試への訪問時にも、たくさんの助言をいただきました。

 私共の取り組みに、賛同し協力して下さる心強い方々がたくさんいて下さるのが、本当に有難いところです。

 

新聞記事にもありますように、天然真昆布の状況は、回復するどころか年々悪化してきています。

ご協力者のご厚意に報いるためにも、なんとか結果を導き出したいと思います。

 

 

 

 

真昆布再生財源獲得プラン 2020年夏北海道出張レポート⑧

天然真昆布を復活させるための取り組み。

何をするのにも、お金は必ず必要になります。

今回の出張等の経費はこんぶ土居が支払っているもので、どこから何の支援があるわけでもありませんが、大きく物事を動かすためには何らかの財源が必ず必要です。

環境問題にも関わることですし、公的な補助金など利用できそうなものがあります。

そんな中でひとつ、財源獲得プランを思いつきました。

それは「ふるさと納税」です。

 

皆様、ふるさと納税は、しておられますでしょうか。

ふるさと納税とは、言ってみれば「返礼品つき税金前払いシステム」です。

トータルとしての支出金額が増えるわけでも減るわけでもありませんが、任意の市町村に寄付をすると、その金額分が翌年の市民税と所得税から減額されるものです。

そして、その寄付をした市町村から、返礼品がもらえるのです。

本当に数え切れないほどたくさんの返礼品の選択肢があり、自分の好きなものを選ぶことができますので、とても魅力的な制度です。

 

 

私共で使用する天然真昆布の産地は、以前は南茅部町という行政区域でした。

2004年に市町村合併があり、現在は函館市の一部になっています。

当然函館市にもふるさと納税の制度はあり、地元の海産物など返礼品もたくさん用意されています。

https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2014030300762/

 

ふるさと納税には、寄付をする人が、そのお金の使途を指定できる場合があります。

例えば、函館市の例を挙げますと、

 

1 函館市全体のために

2 子どもたちの未来のために

3 美しい景観を守るために

4 活気と賑わいのあるまちのために

5 福祉の充実のために

6 大間原子力発電所の建設凍結のために

 

以上の6種類の中から、好きな使途を指定することができるのです。

この中から私が選ぶとしたら、6の大間原発でしょうか。

大間原発が稼働して、仮に福島のような事故が起きれば、道南地方の昆布は壊滅ですから。

 

このふるさと納税について、是非7番目の選択を設けてもらいたいと考えています。

その選択肢とはもちろん、「 7 危機に瀕する天然真昆布再生のために」です。

それをお願いするために、今回の出張で函館市議会の議員さんにお会いしてきました。

 

自然環境の回復のために、ふるさと納税の使途を設定している市町村は意外に多いので、前例もあります。

このプランが実現すれば、単年でなく継続的に財源が得られることと、昆布関係者を始めとして協力して下さる方からの寄付で函館市の税収増加も見込めることから、我ながら悪くない案だと思っています。

 

天然真昆布再生には、基本的に公的な財源を利用するつもりですが、クラウドファンディングも活用するかも知れません。

その際には、よろしくお願い致します。

 

それでも、お金の前に必要なのは再生のための具体的な道筋です。

継続して、良い結果を導き出せる方法を探ります。

 

縄文の希望 2020年夏北海道出張レポート⑦

 

天然真昆布が不作だと申し上げると、「温暖化のせいですか?」とよく言われます。

 

他の要因も複合的に関係して現在の状況になっているのですが、もちろん温暖化も無関係ではありません。

単純に気温が高いかどうかではなく、海流にも変化が起きたり、北海道特有の気象条件(梅雨がなかったり、台風が少なかったり)が少しずつ変わってきているのも、温暖化の間接的な影響だと言われます。

海水温も高い年が多い近年でした。

 

他にも、気温が高いことにより降雪量が減り、それは昆布の浜の背後の山の積雪量に直結し、雪解け水が減ることにもなります。

つまり、山からの昆布を育てる栄養供給にも影響するわけです。

 

天然真昆布を復活させようと取り組んでいますが、地球温暖化となればグローバルな問題ですので、私共では手の打ちようがありません。

ただ、「温暖=昆布が死滅する」、という単純な図式でないのかも知れないと思わせるのが、タイトルに書きました「縄文時代」です。

 

最高級の白口浜真昆布の産地である旧南茅部町は、実は遺跡の町でもあります。

縄文時代の遺跡がたくさん存在しています。

現在、北海道には国宝が一つしかありませんが、それが南茅部で出土した縄文時代土偶です。

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こんなお土地柄ですので、浜からすぐ近くに、縄文時代の資料を展示する「函館市縄文文化交流センター」があります。

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この施設では、縄文人の暮らしが展示されているのですが、その中に縄文人が昆布を干している模型があるのです。

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以前、職員の方に、「このような模型があるということは、縄文人が昆布を食べていたと認識しておられるのですか」と尋ねたところ、そう認識しているとのお答えでした。

 

縄文時代の気候は、今より遥かに温暖です。

海岸線も、かなり後退していました。

そんな時代でも昆布があったのなら、温暖化の状況であっても、昆布がすぐにだめになるというわけではないのでは、との期待を抱かせます。

 

私ほど、この展示を喜んでいる人物は他にいないと思います。

引き続き情報を収集し、このブログでも書きたいと思います。