自然環境も社会の状況も、どうやら持続可能でないものが多く見えてきましたから、新しい時代の在り方について、よく考えるようになりました。
本ブログでは、ちょうど一年ぐらい前に、こんな投稿をしています。
タイトルは、「美食に代わる言葉を探す」であったわけですが、昨年書いたこの内容から、一年経った今も考えに変化はほとんどありません。
(上記投稿が未読でしたら、もしよろしければご一読いただけると嬉しいです。)
私の知り合いに、椅子を中心とした家具を作っておられる作家さんがおられます。
新木さんという方で、本当に素晴らしい技術を持った方です。
先日も、新たに制作していただきたいものがあって訪問してきたのですが、なぜか作っていただきたい椅子と関係ない話ばかり3時間ほどして帰ってきました。
その中で、冒頭のような話もしていたのです。
そこで、改めて新木さんのブランド名「Real Basic Design」。
なんとも良い名前だなぁ、と思います。
先のブログのタイトルは「美食に代わる言葉を探す」であった訳ですが、当てはまる言葉は、英語で良ければ正にこれかと思います。
「Real Basic Food」です。
「グルメ」「美食」とは違って、華美でないベーシックなものでありながら、それが「Real」でなければならない。
「Real」を言い換えるなら、「本物」でしょうか。
「本物」の定義は簡単ではないかもしれませんが、食品に限らず、企業が利益を増やすために、本来あるべきものから外れたものづくりをする事例は多々あるように思います。
特別に高級な美食的食品も、もちろんあって良いと思います。
私共の仕事も、その傾向を大いに含んでいます。
しかし、それだけではなく同時に、充実した「Real Basic Food」をご提供できる昆布屋でありたいと思います。
こんぶ土居と関わって下さっている方々でも、そんなお考えで仕事をしておられるのだろうと思われる事例があります。
例えば、以前のブログでも書いた、イタリアワインのインポーター「ヴィナイオータ」。
ワインを販売する自社運営店舗では、飲食部門も併設されているのですが、そちらの店舗名は「だだ食堂」です。
イタリアワインの有名なインポーターが運営する飲食店ですが、提供される料理が、一切派手な要素がなく、本当にベーシックなものばかりなのです。
そう言えば、私がヴィナイオータさんを訪問した際、社長の太田さんがお土産に下さったのは、ご自分で栽培してご自分で干した「切り干し大根」でした。
なんとも印象深い出来事でしたが、こんなところにも、お考えが現れているように思います。
このブログを書くにあたり、改めてだだ食堂さんのウェブサイトを訪れたところ、やはりそのようなことが書かれていました。
とても素晴らしい文章だと思うので、以下に引用して載せておきます。
日常に小さなスペシャルを
願いが叶うことであったり、目標を達成すること、はたまた何かしらの祝いごとなど、
人生を彩る喜ばしい瞬間は、もちろん特別なものなわけですが、
“大過なく過ぎていく何気ない日常”というのも、実はものすごく特別なことだった…。
そんなことに気付かされちゃった今、僕も含め多くの人が、
「これからは“日常”をもっと丁寧に積み重ねていこう」と考えるようになったのではないでしょうか。
「日常に小さなスペシャルを」をモットーに、2013年にオープンしたダ ダダですが、この度だだ商店 だだ食堂と名前を一新し、母体であるヴィナイオータ本社のとなりへと場所を移しまして再オープンします!
食べることは生きること。
つまり、食を大切にすることは、生を大切にすること。
食、そして生を大切にできたのなら、海であれ、畑であれ、蔵であれ、食が生み出されるありとあらゆる
場所、そして実際に我々の糧となる命あるもの、そしてその場所や命に携わるヒトの存在を意識し、
それらに対して敬意を払うようになる。そして、それらの持続ないし存続を実現するために、
自分たちが何をすべきかに想いを馳せるようになるはず…。
だだ商店 だだ食堂は、そんなことを考えるきっかけやヒントになるようなモノやコトをそこかしこにちりばめ、皆さんの日常がもっと愛おしいものとなるようなお手伝いができるようなお店を目指しております!!
ヴィナイオータ 太田 久人
(以上、引用終わり)
これだけ時代の変化が激しいと、私たちが果たすべき社会的意義も変わり、それに素早く対応していかなければなりません。
素晴らしいお取組みをされている方々の仕事も参考にしながら、少しずつでも良い形を目指したいと思います。
(了)