昆布屋が書くブログに、不思議なタイトルですが、本日はミートボールについて書きます。
ある年齢層以上には、往年のCMソング「♪イシイのおべんとくん、ミートボール!♪」でお馴染み、石井食品のミートボール。
過去から、中身が少しずつ変化してきていることをご存知でしょうか。
以前の製品から、どんどん原材料をシンプルにしていっているのです。
その歴史が石井食品のウェブサイト上で公開されており、ある食品企業が、ひとつの理念の元に進んだ道の軌跡を見るようです。
現在のイシイのミートボールの原材料は、下記のとおりです。
【原材料】 鶏肉、たまねぎ、つなぎ[パン粉(小麦を含む)、でん粉]、砂糖、しょうゆ(大豆・小麦を含む)、しょうが汁、食塩、醸造酢(小麦を含む)、なたね油、ソース[砂糖、トマトペースト、醸造酢(小麦を含む)、みりん、しょうゆ(大豆・小麦を含む)、でん粉、食塩、香辛料]
一切の食品添加物が使用されていません。
アミノ酸や酵母エキス、各種エキス類などの、うまみ調味料も含まれていません。
どの原材料を取っても、家庭の台所にあるものばかりです。
普通のスーパーで売られているもので、こういった製品は、もはや非常に稀で貴重な存在です。
最寄りのスーパーへ行って、実物を買ってきたのですが、ついでに比較品も調達してきました。
同じカテゴリーに属する、丸大食品の「楽しいお弁当 トマトソース味ミートボール」という製品です。
こちらの原材料は、下記の通り。
鶏肉(国産)、たまねぎ、パン粉、砂糖、トマトケチャップ、食塩、しょうゆ、マヨネーズ、香辛料、チキンエキス、ポークエキス/調味料(有機酸等)、加工でん粉、ソース〔トマトケチャップ、砂糖、野菜ペースト、発酵調味料、しょうゆ、水あめ、醸造酢、りんご、食塩、トマトエキス、果糖ぶどう糖液糖、酵母エキス/増粘剤(加工でん粉)、調味料(アミノ酸等)〕、(一部に卵・乳成分・小麦・牛肉・大豆・鶏肉・豚肉・りんご・ゼラチンを含む)
こちらは様々な食品添加物に加え、家庭の台所にはない原材料がたくさん使われています。
トマトでない、「トマトエキス」とは一体なんでしょうか。
両製品を食べ比べてみたのですが、イシイのミートボールは非常に優しい味わいです。
主原料が肉ですし、うまみ調味料など使わずとも、何も不満に感じません。
そもそも、家庭で手づくりすれば、こんな材料になるでしょうから、不満が無くて当たり前です。
それに比べ丸大の製品は、少しアグレッシブな味に感じられますでしょうか。
うまみ調味料由来の、いつまでも舌に残り続ける後味も特徴的です。
価格も比較してみましょう。
ソースを除いた固形分の重量を基準にして、最寄りのスーパーでの販売価格と内容量を記載します。
(イシイ)75g 108円 (1.44円/g)
(丸大)36g 66円 (1.88円/g)
つまり、イシイのミートボールの方が安いのです。
これを見て、少しショックに感じています。
そもそもミートボールは子供さんが主に食べるものでしょう。
親が買い与える際に、少しでも子供の健康を願う気持ちがあるのなら、普通は食品添加物の無い方を選びませんでしょうか。
しかし、丸大食品の製品も普通に並んでいるということは、買っていく消費者が多いということです。
しかも、「価格はそちらの方が高いのに」です。
なんだか嘆かわしい気持ちになります。
多くの消費者が、自分が食べるものに対して深く知ろうとせず「なんとなく」で選んでいることの顕れでしょう。
イシイのミートボールのウェブサイト上には、下記の一文があります。
『素材の美味しさを活かすため、「引き算」の考えのもと製品作りを行っています。』
子供の正しい味覚を育てるためにも、アミノ酸や酵母エキス、各種エキス類で強力なうまみを付与したものなど、あまり与えない方が良いように思うのですが。
どの製品を選ぶのも個人の自由ですが、少しでも多くの方が、「正しい理解」のもとに食品選びをされることを期待したいです。
イシイのミートボールのパッケージには、大きく「無添加調理」と書かれているのですが、次回の投稿では、「無添加」という言葉が含みがちな問題点について書きたいと思います。
(了)