こんぶ土居店主のブログ

こんぶ土居店主によるブログです。お役に立てれば。

宮井一郎さんの料理に見る「食の正しさ」

先日、ある方からお誘いいただき、大阪の島本町にあるイタリア料理屋さんへ行きました。 ジビエ(狩猟によって捕獲された野生の鳥獣の肉)を専門に扱うお店です。 ご主人の宮井一郎さん(以下、一郎さん)は、料理人であり同時にハンターで、お店の近くの山…

真昆布偏愛

昆布は、産地がどこであっても品種が何でも、大切な海からの恵みですから、全てが素晴らしい食品だと思います。 ただ、他の農作物と同じように、「名産地」や「昔から特に珍重されてきた品種」があります。 本日の投稿は、そんな内容です。 前半は、史実を含…

栄養強調表示についての問題提起(問題事例も紹介)

前回の投稿で、「無添加」という言葉が食品パッケージなどに書かれる際、特に取り決めがないので問題が発生していることを書きました。 konbudoi4th.hatenablog.com これは、栄養成分に関しても同じです。 消費者へ誤った伝わり方にならないよう、制度に決め…

「無添加」の問題点

意外に思われるかも知れませんが、こんぶ土居は自社の製品づくりに「こだわり」という言葉を一切使いません。 商品パッケージや印刷物、公式サイトやオンラインストア含め、この言葉は全く見当たらないはずです。 本来「こだわり」とは、誰かが何かに執着し…

イシイのミートボール

昆布屋が書くブログに、不思議なタイトルですが、本日はミートボールについて書きます。 ある年齢層以上には、往年のCMソング「♪イシイのおべんとくん、ミートボール!♪」でお馴染み、石井食品のミートボール。 過去から、中身が少しずつ変化してきているこ…

だしの「定義」がずれていく

家庭でだしを取る人の割合がどんどん少なくなる今、代わりに多く使われるようになったのが「だしパック」と呼ばれる製品です。 「だしパック」は顆粒だしと違い、自分でだしを取っている気になるのでしょう。 しかし、昔ながらのだしパックと違うタイプの製…

『60℃で1時間』なんて、気にするな - 昆布だしの取り方 -

2002年の事であったようですが、大学の研究者と、日本料理アカデミーという料理人さんの集まりが、昆布だしの理想の引き方について研究されました。 その研究の結果、昆布を60℃の湯の中で一時間煮出した場合、溶出したグルタミン酸量が最大になるというデー…

昆布が海の中でダシが出ないのなんでだろう〜

タイトルのような漫才のネタがありましたが、これは昆布に関する疑問の定番でしょう。 川田一輝さんと仰るラジオのDJさんが、かわいらしいイラストつきで説明されたものがあり、非常に分かりやすいです。 海の中でコンブから出汁がでないのはなぜ? | 知っ…

昆布と酢

昆布は、強い主張のない食品なので、他の食材と喧嘩することは少ないですが、調味料の中で特に良い相性を見せるのが酢です。 酢こんぶは昆布加工品の定番ですし、何よりとろろ昆布類は昆布をお酢に浸して柔らかくして削るものです。 また、昆布でだしをとる…

Real Basic Food(新木工房とヴィナイオータだだ食堂)

自然環境も社会の状況も、どうやら持続可能でないものが多く見えてきましたから、新しい時代の在り方について、よく考えるようになりました。 本ブログでは、ちょうど一年ぐらい前に、こんな投稿をしています。 konbudoi4th.hatenablog.com タイトルは、「美…

史上初?かつおぶし削り器「オカカ」電動化の方法(メーカー非推奨)

(前回投稿の続きです。まずは、こちら↓からご一読ください) konbudoi4th.hatenablog.com 自分で申し上げるのも何ですが、本日の投稿内容は、鰹節を楽に削ることについての「コロンブスの卵」で、なかなか画期的ではないかと自負しています。 (道具の改造…

ゼロウェイストと鰹節

環境問題が深刻化する中で、新たな取り組みをされる方々が増えているようです。 私共は昆布屋ですので、海に関わる仕事で、海洋マイクロプラスチックの話も最近よく耳にするようになりましたから関心事のひとつです。 一方、自社の製品を考えてみますと、た…

「大阪昆布ミュージアム」開設予定のお知らせ

来年のことになりますが、大阪の昆布文化をご理解いただける施設「大阪昆布ミュージアム」を始める予定です。 大阪は昆布の街ですから、そんな施設があっても良さそうですが、意外に無いようでしたので作ることにしました。 産経新聞の北村博子記者が、要点…

鰹枯節の「四番カビ」は本当に必要なのか

前回の投稿で、昆布の熟成の年数の長さを、付加価値として謳うことの問題点について書きました。 だしの世界では昆布の相棒である鰹節にも、似た構造が存在しますので、本日は、そんな内容です。 鰹節の製造工程は、簡単に申し上げれば ①生の魚をさばいて ②…

昆布の熟成効果のリミット

昆布を寝かせて熟成させることによって味が良くなるのは、今や多くの方が知るところとなりました。 私共のような昆布屋が見ている、その変化の過程を、一般の方が見る機会は無いと思いますが、本当に大きく品質が変わるのです。 不思議なものです。 私が初め…

昆布の機械乾燥について

「天日乾燥」。 この言葉には、強い魅力がありますね。 乾物には乾燥の工程があるわけですが、昔の時代は機械乾燥など無いので、必然的に天日乾燥だったでしょう。 時代が進み、徐々に機械化されていったのは、昆布に関しても全く同じです。 本日は、昆布の…

故・吉村捨良氏の功績に学ぶ

以前から度々投稿しております、天然真昆布大不漁の問題。 私たちは、何とかしてそれを解決していかなければいけない訳です。 簡単に結果が出ない難問に、根気強く挑んでいく必要があります。 その最前線に立つのは、やはり昆布漁師さん達でしょう。 本日の…

「養殖昆布は採れている」では、だめな理由

前回の投稿で、私共でずっと使用してきた川汲浜の天然真昆布が、不作によって2021年の漁が無いことを書きました。 昆布屋としての営業に、大きな影を落とす出来事です。 誤解があってはいけませんので改めて書いておきますと、北海道の他の地域では、天然昆…

ついに来た、生産量ゼロの年

鰻を食べる風習のある「丑の日」で知られる夏の土用。 ちょうど今の時期7月20日頃のことですが、道南の天然真昆布漁が始まるのは昔からこの時期でした。 昆布漁の最盛期には浜が活気づき、特別な空気に包まれます。 私も平成16年から毎年、使用する最高級真…

食育について

「食育」という言葉が広く知られるようになりました。昔であれば、食の基本的な素養は、家庭での食習慣で自然と身につくものだったでしょう。 しかし、それが難しくなった現代ですから、教育の一環として重要視されてきているのだと思います。 食育活動自体…

『表示』、品質を見分ける指標

例えば加工食品のパッケージに、 『こだわりの厳選素材を使って』とか、 『丁寧に心を込めて作っています』とか、 『先祖伝来の秘伝の製法で』とか、 こんな表現を目にしたとすれば、多くの方はどのようにお感じになるのでしょうか。 加工食品を製造するメー…

ラッコと昆布に夢想

先日、海外のネット記事に面白いものを見つけました。 カリフォルニアでの、ラッコと海藻の関わりについての記事です。 mobile.reuters.com 内容の趣旨は、カリフォルニアで海藻が減少する問題に、ラッコが役に立つかも知れない、といったものです。 海藻が…

自然塩のミネラルと、減塩の必要性

調味料としての塩にも様々なタイプがあり、味も大きく異なりますから、面白いものです。どれを取っても悪いということは無いのですが、こんぶ土居ウェブサイト上の「原材料について」のページには、以下のように書いています。 食塩製造方法は大きく分けると…

砂糖は悪者?精白された食べ物

さて、食品や食品添加物についての考え方は人それぞれですが、「どんなものでも食べ過ぎれば悪い」等と言う人が意外に多いものです。 それはそうなのですが、その前に A「体を養う栄養素であるが、取りすぎると悪いもの」 と B「そもそも体に不要であるも…

煮干しの頭は美味しいですよ

今日は、煮干しについての豆知識的な投稿です。 煮干しでダシを取るときに、やはり気になるのは、魚ならではの生臭さや内臓由来の苦み。 それ故、煮干しを敬遠する方も多く、とても残念に思います。 こんぶ土居では、煮干しの水出しをお勧めしていますが、そ…

新しい昆布の可能性

昆布は日本独自の食文化ですが、今や世界に進出し、新しい世界が拓けてきています。 数年前、仕事でサンフランシスコを訪れた時は、一部の高級スーパーの海藻コーナーの充実ぶりに目を見張ったものです。 日本の普通のスーパーより海藻売場が広いようにすら…

煮汁など、無いのです (直火釜の煎り炊き)

来店されるお客様の中で、たまに「昆布の佃煮の煮汁は無いですか」とお尋ねになる方があります。 あいにく、こんぶ土居には煮汁はありません。 ただ、そういったものが販売されている事例があることは承知しています。 昆布を醤油や味醂などの調味料で煮込む…

地域性と独自性を考える ~ らくだ坂納豆工房 ~

前回投稿↓の続きです。 konbudoi4th.hatenablog.com 前回の投稿で、日本の伝統食品である納豆ができる仕組みについて書きました。 ご紹介した通り、市販されている納豆は、稲わら由来の菌でなく培養された菌が使用されているものがほとんどです。 納豆製造会…

納豆、見事な微生物コントロール

納豆は日本人にとってありふれた食品ですが、先人の素晴らしい知恵が活きたとても面白い仕組みによってできています。 厳密に言えば、「先人の知恵が活きていた」に近いかも知れませんけれども。 納豆菌は、非常にありふれた菌で、いたるところにいるようで…

ヤイリギターとこんぶ土居(後編) ~「品質は最高なんだ‼」一辺倒からの脱却 ~

前回の投稿「ヤイリギターとこんぶ土居 (前編)」の続きです。 ヤイリギターさんの社訓は 「高品質より我ら生きる道なし」 です。 こんぶ土居も同じように考えて、ものづくりを続けてきました。 今後も同じように続けます。 こんぶ土居が追求した高品質とは…