こんぶ土居店主のブログ

こんぶ土居店主によるブログです。お役に立てれば。

ゼロウェイストと鰹節

環境問題が深刻化する中で、新たな取り組みをされる方々が増えているようです。 私共は昆布屋ですので、海に関わる仕事で、海洋マイクロプラスチックの話も最近よく耳にするようになりましたから関心事のひとつです。 一方、自社の製品を考えてみますと、た…

「大阪昆布ミュージアム」開設予定のお知らせ

来年のことになりますが、大阪の昆布文化をご理解いただける施設「大阪昆布ミュージアム」を始める予定です。 大阪は昆布の街ですから、そんな施設があっても良さそうですが、意外に無いようでしたので作ることにしました。 産経新聞の北村博子記者が、要点…

鰹枯節の「四番カビ」は本当に必要なのか

前回の投稿で、昆布の熟成の年数の長さを、付加価値として謳うことの問題点について書きました。 だしの世界では昆布の相棒である鰹節にも、似た構造が存在しますので、本日は、そんな内容です。 鰹節の製造工程は、簡単に申し上げれば ①生の魚をさばいて ②…

昆布の熟成効果のリミット

昆布を寝かせて熟成させることによって味が良くなるのは、今や多くの方が知るところとなりました。 私共のような昆布屋が見ている、その変化の過程を、一般の方が見る機会は無いと思いますが、本当に大きく品質が変わるのです。 不思議なものです。 私が初め…

昆布の機械乾燥について

「天日乾燥」。 この言葉には、強い魅力がありますね。 乾物には乾燥の工程があるわけですが、昔の時代は機械乾燥など無いので、必然的に天日乾燥だったでしょう。 時代が進み、徐々に機械化されていったのは、昆布に関しても全く同じです。 本日は、昆布の…

故・吉村捨良氏の功績に学ぶ

以前から度々投稿しております、天然真昆布大不漁の問題。 私たちは、何とかしてそれを解決していかなければいけない訳です。 簡単に結果が出ない難問に、根気強く挑んでいく必要があります。 その最前線に立つのは、やはり昆布漁師さん達でしょう。 本日の…

「養殖昆布は採れている」では、だめな理由

前回の投稿で、私共でずっと使用してきた川汲浜の天然真昆布が、不作によって2021年の漁が無いことを書きました。 昆布屋としての営業に、大きな影を落とす出来事です。 誤解があってはいけませんので改めて書いておきますと、北海道の他の地域では、天然昆…

ついに来た、生産量ゼロの年

鰻を食べる風習のある「丑の日」で知られる夏の土用。 ちょうど今の時期7月20日頃のことですが、道南の天然真昆布漁が始まるのは昔からこの時期でした。 昆布漁の最盛期には浜が活気づき、特別な空気に包まれます。 私も平成16年から毎年、使用する最高級真…

食育について

「食育」という言葉が広く知られるようになりました。昔であれば、食の基本的な素養は、家庭での食習慣で自然と身につくものだったでしょう。 しかし、それが難しくなった現代ですから、教育の一環として重要視されてきているのだと思います。 食育活動自体…

『表示』、品質を見分ける指標

例えば加工食品のパッケージに、 『こだわりの厳選素材を使って』とか、 『丁寧に心を込めて作っています』とか、 『先祖伝来の秘伝の製法で』とか、 こんな表現を目にしたとすれば、多くの方はどのようにお感じになるのでしょうか。 加工食品を製造するメー…

ラッコと昆布に夢想

先日、海外のネット記事に面白いものを見つけました。 カリフォルニアでの、ラッコと海藻の関わりについての記事です。 mobile.reuters.com 内容の趣旨は、カリフォルニアで海藻が減少する問題に、ラッコが役に立つかも知れない、といったものです。 海藻が…

自然塩のミネラルと、減塩の必要性

調味料としての塩にも様々なタイプがあり、味も大きく異なりますから、面白いものです。どれを取っても悪いということは無いのですが、こんぶ土居ウェブサイト上の「原材料について」のページには、以下のように書いています。 食塩製造方法は大きく分けると…

砂糖は悪者?精白された食べ物

さて、食品や食品添加物についての考え方は人それぞれですが、「どんなものでも食べ過ぎれば悪い」等と言う人が意外に多いものです。 それはそうなのですが、その前に A「体を養う栄養素であるが、取りすぎると悪いもの」 と B「そもそも体に不要であるも…

煮干しの頭は美味しいですよ

今日は、煮干しについての豆知識的な投稿です。 煮干しでダシを取るときに、やはり気になるのは、魚ならではの生臭さや内臓由来の苦み。 それ故、煮干しを敬遠する方も多く、とても残念に思います。 こんぶ土居では、煮干しの水出しをお勧めしていますが、そ…

新しい昆布の可能性

昆布は日本独自の食文化ですが、今や世界に進出し、新しい世界が拓けてきています。 数年前、仕事でサンフランシスコを訪れた時は、一部の高級スーパーの海藻コーナーの充実ぶりに目を見張ったものです。 日本の普通のスーパーより海藻売場が広いようにすら…

煮汁など、無いのです (直火釜の煎り炊き)

来店されるお客様の中で、たまに「昆布の佃煮の煮汁は無いですか」とお尋ねになる方があります。 あいにく、こんぶ土居には煮汁はありません。 ただ、そういったものが販売されている事例があることは承知しています。 昆布を醤油や味醂などの調味料で煮込む…

地域性と独自性を考える ~ らくだ坂納豆工房 ~

前回投稿↓の続きです。 konbudoi4th.hatenablog.com 前回の投稿で、日本の伝統食品である納豆ができる仕組みについて書きました。 ご紹介した通り、市販されている納豆は、稲わら由来の菌でなく培養された菌が使用されているものがほとんどです。 納豆製造会…

納豆、見事な微生物コントロール

納豆は日本人にとってありふれた食品ですが、先人の素晴らしい知恵が活きたとても面白い仕組みによってできています。 厳密に言えば、「先人の知恵が活きていた」に近いかも知れませんけれども。 納豆菌は、非常にありふれた菌で、いたるところにいるようで…

ヤイリギターとこんぶ土居(後編) ~「品質は最高なんだ‼」一辺倒からの脱却 ~

前回の投稿「ヤイリギターとこんぶ土居 (前編)」の続きです。 ヤイリギターさんの社訓は 「高品質より我ら生きる道なし」 です。 こんぶ土居も同じように考えて、ものづくりを続けてきました。 今後も同じように続けます。 こんぶ土居が追求した高品質とは…

ヤイリギターとこんぶ土居 (前編) ~ 勝手に抱く親近感 ~

下手の横好きですが、少しギターを弾きます。 若かりし頃に初めて買ったアコースティックギターをずっと愛用しているのですが、岐阜県の可児市で手工ギターをつくる「ヤイリギター」というブランドのものです。 このヤイリギターさん。 ものづくりの姿勢が、…

だし昆布に切れ目入れる? よくあるご質問

たまにお尋ねいただくご質問の定番 「だしを取るとき、昆布に切れ目を入れた方が良いんでしょうか」。 切れ目を入れた方が良い気がするのは、ハサミを入れた断面からだしが出るイメージによるものでしょう。 お気持ちはわからないでもありません。 しかし、…

【昆布だしの味 vol.3/3】昆布の厚みと「甘さ」の関係

前々回投稿 【昆布だしの味 vol.1/3】味のキレって何? ダシと酒について 前回投稿 【昆布だしの味 vol.2/3】魯山人を鵜呑みにしないで(だしの取り方) の続きです。 今回もなかなかマニアックな内容です。悪しからずご了承下さい。 まず、突然なのですが。…

【昆布だしの味 vol.2/3】魯山人を鵜呑みにしないで(だしの取り方)

前回投稿、【昆布だしの味 vol.1/3】味のキレって何? ダシと酒について の続きです。 人のことを悪く言うのは慎むべきだと思いますが、真実を伝えるためにやむを得ない場合もあるでしょう。 今日の投稿は、北大路魯山人の著作について。 高名な芸術家ですし…

【昆布だしの味 vol.1/3】味のキレって何? ダシと酒について

(今回の投稿から、3回ぐらいに分けて、昆布だしの味に関係する話を書きます) 味を表現する際に「キレが良い」などと言うことがあります。 そもそも「キレ」とは何でしょうか。 明確に定義することは難しいですが、「どれだけ後味が尾を引くか」を指し、つ…

劇的美味!昆布バター

これまで、あまりレシピのようなものはご紹介して来ませんでしたが、今回は面白い昆布の使い方と、それを知るに至った経緯についてのお話。 タイトルの通り「昆布バター」、使うのは昆布粉末です。 大阪の淀屋橋に「コホロエルマーズグリーンコーヒーカウン…

(学び)昆布の佃煮を炊いてみて下さい

こんぶ土居の店頭では、量り売りで3センチ角ほどの四角形に切った昆布を販売しています。(オンラインストアでは販売していません) お客様から、「これは何に使うのですか」とお尋ねいただくことが、多々あります。 大阪では古くから昆布の佃煮が名物でした…

「KONBU」でなく「KOMBU」?

予防線を張るようですが、今日の投稿は、どうでも良いような話です。 前回のブログでご紹介しました、ローカルカルチャースクール.jpの「だし文化プロジェクト」。 https://localcultureschool.jp/products/movie02 動画には、海外の方にもご理解いただける…

【お知らせ】Dashi Culture Project だし文化プロジェクト

地域文化の魅力の再発見、継承のためのウェブサイト「ローカルカルチャースクール.jp」。文化庁の委託事業の第一弾として「だし文化」について、5本の動画が制作されました。こんぶ土居は、大阪の昆布文化や現在の海産物が抱える課題についてお話させていた…

改めて、ヴィナイオータのワイン

前回のブログ投稿で、味を正しく評価することの難しさについて書きました。 今日のお話も、それと少し関係しています。 味覚上の判断をしなければならないものはたくさんありますが、その中でもワインは「味の評価軸」が比較的明確になっている分野であるよ…

味の評価軸(昆布の粉末のはなし、後編)

前回の投稿で、臆面もなく「こんぶ土居の昆布粉は品質が素晴らしい」などと自画自賛しておりましたが、「味覚の面で品質が高い」と、何を以て言うのでしょうか。 これは、実は難しいところです。 そう感じさせる事例に、先日遭遇しました。 こんぶ土居は「良…