こんぶ土居店主のブログ

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表示を免除されるもの① 原材料の原材料

加工食品には、賞味期限や内容量、栄養成分など、表示すべきものが食品表示法によって定められています。
原材料も、当然表示しなければなりません。
つまり、原材料表示を読めばその食品が何からできているかを把握することができます。
ただ、製品に含まれていながら、表示を免除される場合もあり、時に食品選びの障壁になり得ます。
今回は、その一例「原材料の原材料」について、記します。

 

大阪では昆布の佃煮が古くから名物とされ、「塩昆布」と呼ばれてきました。
こんぶ土居でも様々な昆布の佃煮製品を製造しています。
昆布佃煮に不可欠な素材は、昆布と醤油です。
通常甘味をつけられる場合が多いので、みりんや砂糖、他の副原料を加えられる場合がほとんどですが、極限までシンプルにするなら昆布と醤油だけでも製造可能です。
こんな製品を想定し、原材料表示がどのように表記されるかを考えます。

 

昆布は単に昆布ですが、醤油についてはその醤油が何でできているのかを考えることができます。
伝統的な醤油は、「大豆、小麦、塩」この三種類の原材料のみで作るものですが、現代では様々な副原料が使用されることがあるからです。

例えば、次の2種類の醤油を想定します。

①醤油の原材料として、うまみ調味料の化学調味料(表示上では、調味料(アミノ酸等))が使われた場合
(例:醤油の原材料として、大豆、小麦、塩、調味料(アミノ酸等))

②醤油の原材料として、うまみ調味料の酵母エキスやたんぱく加水分解物、各種エキス類等が使用された場合
(例:醤油の原材料として、大豆、小麦、塩、酵母エキス)

加工食品の原料として使用されるものは、二つのカテゴリーに分けられます。
一つは「食品原料」で、もう一つは「食品添加物」です
前述の例では、①に含まれるは調味料(アミノ酸等)は食品添加物に分類され、②に含まれる酵母エキスは食品原料に分類されます。
このように分類分けされる理由はよくわかりません。
当然、醤油に使われる大豆、小麦、塩も食品添加物ではなく食品原料です。

この分類の違いが、表示を免除されるかどうかの大きな分かれ目になります。
つまり、昆布佃煮の原料として①の醤油を使った場合と②の醤油を使った場合で、表示方法が変わるのです。

 

①の醤油を使ってシンプルな昆布佃煮を製造した場合の原材料表示は
「昆布、醤油、調味料(アミノ酸等)」となります。
昆布と醤油のみで製造した製品を想定しているので、この場合、調味料(アミノ酸等)は昆布佃煮製造段階で加えられたわけではありません。
使用した醤油に含まれていただけです。
それでも、原料としての醤油に含まれる食品添加物は、最終製品の昆布佃煮の原材料表示に表記することが義務付けられています(免除の例であるキャリーオーバーや加工助剤を除く。これについては別日に記します)。
これは、調味料(アミノ酸等)が、食品添加物として分類されているからです。

同様に、②の醤油を使ってシンプルな昆布佃煮を製造した場合の原材料表示は
「昆布、醤油」だけになります。
つまり、②の醤油に含まれる酵母エキスが食品原料として扱われるため、最終製品の昆布佃煮にそれを表示する義務がないのです。

 

酵母エキス等のうまみ調味料の是非を、どう評価するかは個人のお考え次第です。
ただ、酵母エキスの含まれる昆布佃煮を避けたいと考えている方がいたとしても、この場合、原材料表示からその含有の有無を確かめることはできないのです。
これは、食品原料に分類されるうまみ調味料の大きな問題点だと言えます。
また食品生産者の側では、それをうまく利用し、消費者の優良誤認を誘うことも可能でしょう。

 

このような現状を踏まえ、こんぶ土居では、原材料表示をラベルの面積が許す限り詳細に表示することにしています。義務付けられているもの以外でも、原材料の原産地や原材料の原材料を可能な限り表示しています。

例えば、山椒入りの昆布佃煮の原材料表示は下記の通りです。

 

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こんぶ土居では全製品、原材料の原材料やキャリーオーバーや加工助剤解釈を含め、一切の食品添加物やうまみ調味料を使用していません。
こんぶ土居で使用する調味料などについての考え方は、ウェブサイトをご参照下さい。
http://www.konbudoi.info/main/zairyo.html

食品原料として分類されるうまみ調味料の、更に別の問題点は、後日投稿致します。