予防線を張るようですが、今日のお話は特に重要なことではありません。
「ダシ」という言葉の表記方法について、少し気になっているので書いてみます。
もし、ご興味があれば。
よく使われる表記方法、『①だし ②出し ③出汁』の三種類を考えてみましょう。
どれも間違いということは無いかと思います。
①は、ひらがなで書いただけ、単純明快ですので何も問題ありません。
②は、事例が最も少ない表記かと思いますが、こんぶ土居ではよく使います。
こんぶ土居製品に「十倍出し」というものがあります。
「十倍だし」でも「十倍出汁」でもありません。
③の「出汁」は、かなり一般的に使われる表記方法ですが、実はこれに少し違和感を持っています。
そもそも「ダシ」とは、何でしょうか。
ネット上の辞書によりますと
『出汁(だし)は、昆布や鰹節などの食品を煮て出した汁。 「煮出汁」(にだしじる)の略で、「出し汁」(だしじる)、「にだし」ともいう。』
とあります。
つまり、「煮」て、「出」した、「汁」、という3つの意味を含む言葉の略語だと言うことになります。
それぞれに読みを対応させますと
「煮」は「に」で
「出し」は「だし」で
「汁」は「じる」
ですね。
であるならば、「ダシ」という言葉の音を担っているのは「出」という漢字とその送り仮名であって、「汁」ではないことはお分かりいただけるかと思います。
ですので、正しく書けば、やはり「出汁」ではなく「出し」なのではないかと考えています。
「出汁」と書くのなら、その読み方は本来「だしじる」でしょう。
日本語の用法も、時代と共に変わりますし、「出汁」と書いて「ダシ」と読むのは、かなり一般的になっています。
ただ「出汁」を(でじる)等と読む方が結構いますが、「でじる」なんて言葉は無いでしょう。これは変だと思います。
「十倍出し」は、これまで数え切れないほど誤記されてきた経緯もあり、考え方をまとめておきます。