6月13日の、とろろ昆布①では、機械で削るとろろ昆布のことをご説明しました。
本日は、手作業で削るとろろ昆布のお話です。
古い時代に機械削りはないので、その頃のとろろは、全て手作業だったはずです。
その手作業自体は、13日に紹介したYouTube動画の「おぼろ昆布」の製造方法とほとんど変わりません。
酢で柔らかくした昆布を一枚ずつ専用の刃物で削っていくわけです。
大きな違いは、その刃物の先端です。
まず、「おぼろ昆布」と「とろろ昆布」の違いは何でしょうか。
それは、単に形状の違いです。
前者は「帯状」で、後者は「糸状」と言えば良いでしょうか。
http://www.konbudoi.info/main/shohin_tororo.html
機械で削るとろろ昆布は、昆布の表面ではなく断面を削るから、自然と糸状になるわけです。
では、手加工の「とろろ昆布」を作るには、どうすれば良いでしょうか。
答えは簡単。
手加工の「おぼろ昆布」で使う刃物を、先端をノコギリ状に細工すれば良いのです。
細かいノコギリ状の刃で削れば、縦に細かく裂けたような状態で昆布が削り出され、つまりそれは糸状であるわけです。
その、刃先をノコギリ状に加工する道具があるのですが、とても魅力的です。
これは、こんぶ土居が手作業でとろろ昆布を製造する際に使用している古い道具です。
なんとも面白い構造です。
シンプルですが、堅牢で造形美を感じます。
この道具に刃をセットしてハンドルを回すだけで、細かく目が打たれノコギリ状になります。
こんな道具は、今は日本中どこでも製造されていないと思います。
簡単に故障するものではないので、これからも大切に使い続けていきたいと思います。
次回は、とろろ昆布類の、白と黒の話。