前回の投稿で書きました、「献上昆布」の別名もある北海道の旧南茅部地区で産出する天然真昆布。
この日本を代表する高品質な昆布が、大変な危機に瀕しています。
平成26年が最後の豊作で、以後不作が続き、その程度は年々ひどくなっています。
この件について、最初に大きく報道して下さったのは産経新聞の北村博子記者だと思います。
2019年の12月28日に、一面記事として大きく取り上げて下さいました。
この記事は、ネット上でも公開されているので、そちらの方が読みやすいかと思います。
https://www.sankei.com/life/news/191228/lif1912280014-n1.html
記事内のグラフには、数年間の南かやべ漁業協同組合の天然真昆布の生産量データがでています。
豊作であった平成26年には700トンほどあった漁獲量が、記事上の最新年度である平成30年には27トンになっています。
それが、現在では更に状況が悪化し、今年の生産量予想は、なんと5トンです。
たった6年で700トンが5トンになったわけです。
99%減、壊滅的ですね。
北村記者の記事は、ある意味画期的でした。
この昆布の危機が、気づかれにくい構図を含んでいるからです。
それは、養殖昆布の存在です。
養殖昆布は決して悪いものではありません。
天然物と品質は違いますが、海中での農業のようなものです。
しかも、栽培中に農薬や肥料を一切やりませんので、とても自然です。
通常、昆布の生産量をおおまかに見るとき、天然昆布も養殖昆布も合算される場合が多いのです。
その養殖昆布は、現在も比較的安定した収穫量があります。
前述の南かやべ漁協でも、「天然真昆布」の生産量は激減しているものの、養殖も含めた「真昆布」の生産量はさほど減っていません。
こんなデータを見てしまうと、危機的な状況に気づきにくいのです。
事実、スーパーへ行ってもデパートへ行っても、今でも普通に北海道産の真昆布は販売されているでしょう。
これは、「天然」と明記されていない場合、ほぼ全て養殖昆布だと思います。
この状況をどうみるかは、人それぞれです。
天然物がなくても、養殖の昆布があるなら、それでいいじゃないかと考える方もあるでしょう。
ただ、天然ものが採れなくなった原因は、大きく言えば環境問題です。
その環境の変化は、養殖昆布にも決して良いものではありません。
このまま問題を放置すれば、養殖昆布にも大きなリスクが待っていると考えるべきだと思います。
昨年、北海道大学の研究として、このまま温暖化が進行すれば一部の昆布は絶滅の危機にあるとの警告が出されました。
https://www.hokudai.ac.jp/news/191031_repr.pdf
こんぶ土居としては、前回の投稿でも書いた通り、江戸時代から脈々と続く大阪の昆布文化を守るためにも、是非解決すべき問題だと考えています。
来週からは、北海道へ出張です。
様々な方の協力を得て、なんとか解決策を見出したいと思います。
こんぶ土居インスタグラムも、普段はスタッフが運営してくれていますが、7月13日~16日までは北海道から土居がお届けする予定です。
このブログでも、活動の内容をご報告したいと思います。