こんぶ土居店主のブログ

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「うまみ」という言葉

「うまみ」という言葉は、「UMAMI」として、国際語の地位を確立しつつあると言われます。

それが素晴らしいものであるかのように、もてはやされることも多いと思います。

ただ、こんぶ土居では「うまみ」という言葉を、できるだけ使わないようにしています。

 

まず、「うまみ」という言葉は、そもそもどんな意味でしょうか。

ネット上で見つけた、辞書の説明を引用しますと。

 

うま‐み【▽旨み/▽旨味】 の解説
《「み」は接尾語》

㋐食物のうまい味。また、うまい度合い。おいしさ。「材料の―を生かして調理する」

かつお節・昆布・シイタケなどでとった、だしの味。→旨み調味料

2 技芸などの巧みさ。「汚れ役に―を出す」

3 仕事・商売などで利益やもうけが多いというおもしろみ。「あまり―のない商売」

[補説]1㋑は、明治41年(1908)池田菊苗が、昆布のだしからグルタミン酸を抽出してこの味の主成分であることを発見し、うまみと名づけたもの。近年では、甘味、酸味、塩味、苦味と並ぶ、五つめの味覚とされるようになった。→味の素

 

(以上、引用終り)
 
この辞書の説明は非常に的確です。
「うまい」の名詞形ですから、その意味としての1㋐「美味しい」の意味や、2 「上手」の意、3 「利益が多い」、が出てくるのは当然ですね。
 
そして注目すべきは、1㋑と末尾の補足説明↓です。
 
[補説]1㋑は、明治41年(1908)池田菊苗が、昆布のだしからグルタミン酸を抽出してこの味の主成分であることを発見し、うまみと名づけたもの。近年では、甘味、酸味、塩味、苦味と並ぶ、五つめの味覚とされるようになった。→味の素

これが、現在食の業界で多用される「うまみ」「UMAMI」の意味ですね。
つまり、この言葉には命名者がいたわけです。
辞書に記述されている通り池田菊苗という人物で、昆布の味を分析する過程でグルタミン酸の分離に成功し、それが発端になっています。
この池田菊苗氏は、1908年にそのナトリウム塩としてのグルタミン酸ナトリウムの製法特許を取得しています。
「味の素」の誕生です。
 
研究として昆布のおいしさについての理解が得られたことは素晴らしいですが、それが化学調味料を生み出すことにつながっていくわけです。
 
  
グルタミン酸は昆布の成分の一つですが、当然ながらグルタミン酸の水溶液と昆布だしの味は同じではありません。
そもそも、化学調味料の主成分はグルタミン酸ではなく、そのナトリウム塩としてのグルタミン酸ナトリウムです。
 
昆布がきっかけで発見されたものだとしても、化学調味料の味と昆布の味を、同じ「うまみ」という言葉で表現されてしまうのは、やはり腑に落ちないのです。
こんぶ土居で「うまみ」という言葉を多用したくないのは、こんな理由によるものです。
 
どんなものにも功罪はありますし、良い部分ももちろんあると思います。
ですが、現在では化学調味料を多用した食品が素晴らしいものだと考える人は、少数派でしょう。
弊害も多々あるものです。
次回の投稿では、うまみ調味料の弊害について書く予定です。
 
 こんぶ土居では今後も、うま味調味料の味ではなく『㋑かつお節・昆布・シイタケなどでとった、だしの味。』を追求します。