白口浜天然真昆布の産地である、北海道函館市の旧南茅部町には、地元の子供たちが通う小学校があります。
磨光小学校です。
こんぶ土居では、三代目の時代から生産者の方々との信頼関係の構築に努めてきました。
また同時に、次代を担う若者や子供たちにお伝えすべきこともあり、磨光小学校にて五年生を対象に一日授業を平成11年から毎年続けてきました。
白口浜天然真昆布は、「献上昆布」の別名が示す通り、江戸時代から最高級の昆布だと知られてきましたが、実は地元での消費は非常に少ないのです。
大部分は昆布文化の特に発達した大阪へ運ばれ、全国的な流通もなかったことから、地元では郷土の産物の価値が正しく理解されていません。
そんな中で、児童の父兄や地域の方々が担う昆布産業の価値を正しく知ってもらうために始めた取り組みです。
平成11年から始めましたので、もう21年間続けたことになります。
何でもそうですが、継続には大きな力があります。
初年度に5年生だった児童は、今32歳になっています。
つまり、地域の若年層全員に向けてお話してきたわけです。
今年はコロナウイルスの影響で、例年通りのことができるか分かりませんが、先日の出張の際にもご挨拶してきました。
学校の方でも、是非継続して欲しいと言っていただいています。
過去には、漫画「美味しんぼ」の原作者である雁屋哲氏が、私共の取り組みに賛同し、小学生に昆布の価値を話して下さったこともありました。
三代目の引退時には、感謝状をいただいたことも非常に嬉しい出来事でした。
天然真昆布が危機的な状況にある今、このような取り組みは、必要性を増しているように思います。
一次産業では共通の課題である後継者不足。
後継者の育成にも私共の取り組みは貢献した自負もありますが、彼らが大人になったとき過去と同じように自然の恵みが十分に得られ、浜での生活に問題ないようにしなければなりません。
ある意味責任重大です。
時代と共に移り変わるテーマについて、子供さんと共に考え続けたいと思います。