こんぶ土居製品で、原料に大豆を使用するものがあります。
「ミネラルいりこん」「ミネラルいりこんスパイシー」「昆布豆」の三種です。
後者2製品は2020年から販売を開始した製品ですので、最近こんぶ土居では大豆を多く使用していることになります。
お陰様で、どの製品も好評ですが、実はこれらの製品をつくった理由に昆布の不作も無関係ではありません。
以前からお伝えしています通り、海の環境が悪化して原料昆布の価格が高騰し、良い昆布の調達が困難になっていますから、昆布以外のもので製品を作ることに力を入れたわけです。
私共は昆布屋ですのに、なんともつらい状況です。
そんな経緯から得た感想ですが、やはり大豆はすごいのです。
世界人口が増え続ける中で、食糧供給は今後も常に問題になります。
例えば、酪農によって肉や乳を生産する際、家畜に飼料を与えますね。
本来の牧畜の意義は、人間が食べられないものを家畜が食べ、それが食べられるものに変わることでしょう。
人間が食べられない草を牛が食べてくれて、牛肉や牛乳が生まれるわけです。
なんとも素晴らしいことです。
しかし現代の酪農では、生産効率を上げるため、飼料として穀物などを多く与えます。
慢性的な飢餓に苦しむ国もあるのに、人間が食べられる穀物を動物に与える。
この構図は、環境破壊や地球温暖化の観点からも、酪農の問題点として度々指摘されます。
その一方で、動物性食品の優れているところは、たんぱく質を多く含有していることでしょう。
例えば鶏の胸肉などは、脂質はほとんどなく、炭水化物もほぼ皆無です。
つまり、純粋なたん白質の固まりのようなものです。
こんな食品は、植物性のものでは存在しません。
つまり、植物性の食品だけでは、たん白質が不足しがちになるわけです。
そんな植物性食品の中の例外が「大豆」です。
タイトルに「奇跡の豆」と書きましたが、大豆は不思議な作物です。
他の穀類であれ、野菜類であれ、たん白質含有量は決して多くないのが普通です。
その中で、豆類は比較的多くのたん白質を含みます。
根粒菌によって窒素固定がされるマメ科の植物の性質が関係しているのでしょうか。
文部科学省の食品成分データベースで栄養成分を参照可能な豆(乾物)について、三大栄養素の含有量(100gあたり)を下記に記します。
【 たんぱく質 脂質 炭水化物 】
あずき 20.8g 2.0g 59.6g
いんげんまめ 22.1g 2.5g 56.4g
青えんどう 21.7g 2.3g 60.4g
そらまめ 26.0g 2.0g 55.9g
ひよこまめ 20.0g 5.2g 61.5g
レンズまめ 23.2g 1.5g 60.7g
だいず 33.9g 18.8g 28.9g
上記のように、どの豆も炭水化物が約55~60%を占め、たんぱく質は2割ほどで、脂質の割合は非常に少ないものです。
それに対し、最下行の大豆だけが炭水化物割合30%以下で、代わりに、脂質とたんぱく質が他の豆より突出して多いのがご理解いただけると思います。
なぜか大豆だけが、明らかに違う栄養組成になっているわけです。
これは、一体どういうことでしょうか。
植物性の素材で、大豆ほどたん白質を多量に含むものは、他に存在しません。
こんぶ土居製品に大豆を利用するようになって分かったことが、もうひとつあります。
それは、「大豆は安い」ことです。
私共ので製品に使用している大豆は、当然ながら良いものを選んでいます。
大豆の専門家ではありませんので、まだ不十分なところもあるかもしれませんが、当然国産品ですし、特別栽培で素性の把握できるものです。
こういった大豆でさえ、その仕入れ価格に驚きます。
分けてくださっている方の特別なご配慮もあるのですが、とても安いのです。
私共の大豆の仕入れ価格にゼロをひとつ足したとしても、昆布の仕入れ価格に遠く及びません。
昆布が高すぎると見ることもできますが、あまりの安さに驚きました。
私共で仕入れる良い大豆でそれですから、例えば輸入品の遺伝子組み換え大豆などは、タダ同然の価格なのではないかと想像します。
スーパーで安売りされている豆腐などの大豆製品の異常な安さを、以前から不思議に思っていましたが、こんな理由もあるのですね。
農家さんが大豆を生産するのに、恐らくそれほどコストがかからないということでしょう。
生産方法に、機械化が進んでいるのかも知れません。
因みに、大豆が主たる原材料のこんぶ土居製品「昆布豆」は140g入りで300円で販売しています。
昔から製造してきました昆布佃煮製品の「椎茸入り」と「山椒入り」は、80gで700円です。
使用している昆布の品質は同じではありませんが、豆を利用した製品が、いかに安価に製造できるかがご理解いただけるかと思います。
昆布はやはり、贅沢品ですね。
人口増加が続く世界。
「大豆が世界を救う」、そんな表現も大げさではないのかも知れません。
大豆の利用については、伝統的なもの以外にも新しい可能性がどんどん開けています。
次回のブログ投稿では、大豆が生み出す新しい世界について私が感じる危惧についても書きたいと思います。
何でも、良い面と警戒すべき面がありますから。
(【大豆 vol.2/3】 大豆ミートと、肉食忌避への危惧、へ続きます。)