さて、食品や食品添加物についての考え方は人それぞれですが、「どんなものでも食べ過ぎれば悪い」等と言う人が意外に多いものです。
それはそうなのですが、その前に
A「体を養う栄養素であるが、取りすぎると悪いもの」
と
B「そもそも体に不要であるもの」
を分けて考える必要があるかと思います。
前者の代表例は、塩などでしょうか。
塩分(塩化ナトリウム)は、人間が生きるために絶対に必要な栄養素です。
しかし、取りすぎると高血圧などの原因となり、健康を害することは多くの人の知るところでしょう。
砂糖も似た傾向を見せます。
取りすぎると肥満につながりますし、健康によくありません。
これは、言ってみればたいていの食品に当てはまるのではないかと思います。
何にでも「適正量」があるのは当然ですね。
私共の製品は、食品添加物を一切使わず自然なつくり方をしているので、それを評価して下さる方も多いです。
食品添加物を使用しない理由は、それが上記B「そもそも体に不要であるもの」だからです。
その一方で、例えば「砂糖」は、A「体を養う栄養素であるが、取りすぎると悪いもの」
ですから、製造原料として使用します。
しかし世間には、砂糖を悪者扱いして、避ける方がけっこうおられるようです。
私共の製品についても、「砂糖が入っていなかったら良いのに」という反応を示す方がたまにおられるのです。
極端に砂糖を悪者扱いする方については、その理由が知りたくなります。
昔に比べて砂糖は安くなり、甘い食品が溢れています。
ですから、やはり砂糖を摂りすぎの傾向はあるのでしょう。
量の問題として「砂糖を控えたい」という意向は良くわかるのですが、「砂糖は体によくないものだ」と考えられるのであれば、それには少し疑問を感じます。
ただ、「白砂糖を避けたい」と考える方の理由なら想像はできます。
砂糖に限らず、白く精製されたものを避ける方は一定数おられます。
例えば、白砂糖を避けて粗糖や黒砂糖にしたり、白い小麦粉を避けて全粒粉を使ったり、また、玄米を常食する方も同じ考え方だと思います。
精製塩を避けて自然塩、も似た構造でしょうか。
これは、白く精製することによって大切な栄養素が抜けた状態になるので、それを問題視しているのだと思います。
例えば、不足しがちなミネラル類などの微量栄養素は、精白することで大きく減少することは間違いありません。
私も個人的には真っ白に精白されたものをできるだけ避けたいと思い、特にパンに関しては全粒粉パンやライ麦パンなどを好んで食べます。
その一方で、お米に関しては、精白しすぎない「分づき米(糠や胚芽を残して精米する米)」なら良いのですが、玄米はやはり食べにくいと感じてしまいます。
また、たまに真っ白なごはんを食べると、「これはこれで美味しいなぁ」と思ってしまうのです。
砂糖についても、栄養の面では黒砂糖や粗糖が良く、料理を豊な味わいにしてくれので素晴らしいのですが、その一方で白砂糖の方が合う用途もあるので完全に避けているわけではありません。
以前も書きましたが、味覚はセンサーです。
必要なものを体内の取り入れ、不要なものを摂取しないようにするための仕組みです。
砂糖が容易に手に入らない時代には特に、人間は甘いものに強い欲求を示してきたでしょう。
それは、体に必要な栄養素であるからこそです。
こんぶ土居では製造原料として、砂糖以外に、甘味を与えるものとして伝統製法の味醂や麦芽水飴も使用しています。
極端に甘味を避けようとする方がいるのであれば、なんだか宗教的「信じ込み」のような気もしないでもないですし、A「体を養う栄養素であるが、取りすぎると悪いもの」については、あまり毛嫌いすることなく適切な距離感を保てば良いように感じています。
「砂糖を取り過ぎない」と「砂糖絶ち」の違い、「そもそも体に不要であるもの」と「食べ過ぎると悪いもの」の違い、このあたりの線引きが正しくされると良いと思います。