「食育」という言葉が広く知られるようになりました。
昔であれば、食の基本的な素養は、家庭での食習慣で自然と身につくものだったでしょう。
しかし、それが難しくなった現代ですから、教育の一環として重要視されてきているのだと思います。
食育活動自体は、もちろん良いことだと思うのですが、その一方で「食育」の名を借りた企業の営業活動のようなものも見受けられますから注意が必要です。
例えば、インスタントラーメンを作っているメーカーが、自社製品のアレンジレシピを考えるイベントを、「食育」の名のもとに開催したり。
日本の「だし」の話と結びつけて「うまみ」を説明し、終わり際に子供たちに自社のうまみ調味料を記念品に渡していったり。
こんなのは、食育でも何でもなく、ただの自社製品の刷り込みでしょう。
こういった事例が学校教育にまで入り込んでいますから、困ったものです。
また、一流の料理人さんが学校などに出向いて、外国の特殊な料理を披露したりする事もあるようです。
これは特に悪いというわけではありませんが、言ってみれば趣味的な内容であって、優先順位としては基本的なことを押さえた後であるべきでしょう。
やはり子供に向けた食育としては、「一汁一菜」と呼ばれるような、伝統的な食の基本から教えるのが良いように思います。
具体的には、お米を炊けるようになることは、最初の一歩でしょう。
それも、炊飯器でなく鍋で炊くことを教えられればと思います。
次には、おいしい味噌汁が作れることでしょうか。
冒頭には、問題のある食育の例を書きましたが、継続して素晴らしい取り組みをしている企業もあります。
大阪ガスさんの食育は、その代表例でしょう。
オール電化のご家庭を除き、調理には普通ガスを使いますから、食育にも力を入れておられるのだと思います。
大阪ガスさんで2017年から継続しておられる「和食だし体験講座」は、私共としても非常に参考になります。
過去に、こんぶ土居が少しだけお手伝いさせていただいた経緯もあり、定期的に活動の様子などをお知らせ下さっています。
こうした活動は、社会からも高く評価され、多くの表彰も受けておられます。
このご時世、こういった取り組みへの予算もつきづらいようですが、なんとか良い形で継続していっていただきたいものです。
継続してこられたからこその調査レポートも非常に興味深いです。
https://www.osakagas.co.jp/shokuiku/pdf/2021/wadashi_report2107.pdf
こんぶ土居での取り組みの事例をご紹介しますと、北海道の昆布産地の小学生へ向けたものでしょうか。
三代目の時代から、20年来続けてきました。
毎年5年生を対象に開催してきましたが、大きくなった彼らと再会する機会も結構あるのですが、意外なほどに当時のことをよく覚えていてくれているのが非常に嬉しいです。
なんでもそうですが、やはり「続ける」ことは大切ですね。
食育については、平成19年に、当時不定期で発行していた「こんぶ土居通信」で三代目が考え方について書いています。宜しければ、そちらもご覧ください。
本ブログ内にも、前述の磨光小学校で続けてきた1日授業について書いた過去投稿がありますので、下にリンクを貼っておきます。