鰻を食べる風習のある「丑の日」で知られる夏の土用。
ちょうど今の時期7月20日頃のことですが、道南の天然真昆布漁が始まるのは昔からこの時期でした。
昆布漁の最盛期には浜が活気づき、特別な空気に包まれます。
私も平成16年から毎年、使用する最高級真昆布の産地である川汲浜を訪れ、漁師さんのお手伝いをしたりしてきました。
今年は、あいにくコロナウイルスの感染症もあって出張するわけにもいかず、大阪で普段通り過ごしています。
そして今年、史上初の事態が起きてしまいました。
川汲浜では、今年の天然真昆布漁はありません。
昆布がほとんど生えていないのです。
このブログでも幾度となく書いてきましたが、平成26年を最後の豊作年として、それ以後、道南の天然真昆布は不作が続いています。
その復活のために活動してきましたが、短い期間で成果が出るような生易しい事でないのを、やればやるほど感じて、歯がゆいものです。
こんな現状であっても、こんぶ土居では天然真昆布を引き続き販売しています。
熟成による品質の向上と不作への対応として、十分な備蓄をしてきたからこそですが、それも長くは続かないと思います。
私共が主たる原料としてきた昆布が一切手に入らず、販売を終了する。
そんな未来が見えてきてしまいました。
取るに足らない品質のものが無くなるのならまだしも、大昔から最高級品に指定され、「献上昆布」の別名もある昆布です。
日本独自の伝統食文化の大切な要素が無くなりつつある現状を、非常に残念に思います。
なんとか未来に良い結果を出すために、復活への取り組みは続けたいと思います。
初めて浜を訪れた平成16年当時のことを今でも鮮明に思い出しますが、「良い時代だったんだなぁ」などと思ってしまいます。
昆布屋をやり始めてまだ数年であった当時に書いた、感想文のようなものを末尾に載せておきます。
天然真昆布がなくなるなど、思いもしなかった在りし日の思い出です。
次回の投稿は『「養殖昆布は採れている」では、だめな理由』と題し、天然昆布の不作が真に意味するものについてのお話です(下記リンク)。
もう、食品としての美味しさとか、そんなことを超えた重大な要素を含んでいますから、是非ご一読いただきたいと思います。