環境問題が深刻化する中で、新たな取り組みをされる方々が増えているようです。
私共は昆布屋ですので、海に関わる仕事で、海洋マイクロプラスチックの話も最近よく耳にするようになりましたから関心事のひとつです。
一方、自社の製品を考えてみますと、たいていはプラスチックの袋の入っているわけです。
こういった状況で、なんとか少しでも「脱プラスチック」を進めていくべきだと考え、方法を模索しております。
タイトルにも書きました「ゼロウェイスト」という言葉。
直訳すれば「ムダなし」になるかと思いますが、できるだけ環境負荷をかけずに、包材などを省いていく取り組みに使われることも多い言葉です。
食品の販売形態で言えば「量り売り」が、それに近いかと思います。
そんな「量り売りの食料品店」が各地でちらほら現れてきていますので、私共も非常に参考になります。
中でも、「斗々屋」というお店のお取組みは、先進的で非常に面白いものがあります。
数年前に東京でゼロウェイストのお店を始められたのですが、今年、京都にスーパーマーケットに近い品ぞろえで新店舗を開店されました。
ヤフーニュースの記事を貼っておきます。
実はこの斗々屋さんでは、こんぶ土居製品もお取り扱い頂いています。
その際の納品方法も、非常に興味深いのです。
ゼロウェイストの精神は、販売時だけでなく仕入れ時にも及んでおり、「納品時に昆布製品をプラの袋に入れないで欲しい」と要望いただいています。
洗って繰り返し使えるシリコン製の容器をお預かりしており、それに入れて納品するのです。
また、配送時に使用する段ボールも、新品でないものをご指定になります。
筋金入り、ですね。
斗々屋さんのお取組みは、新しい時代に求められる販売形態として、とても参考になりますので、遠方でなければ訪問してみてはいかがでしょう。
このような量り売り、食品によって、適したものと難しいものがあります。
昆布は比較的取り組み易い方でしょうか。
空気に触れても簡単に劣化することもありませんし、大きな問題は起きにくいものです。
しかし難しいのが、ダシの世界で昆布の相棒である鰹節です。
量り売りということは、容器に入った食品を必要量だけ取り出して販売するわけですから、当然その際に容器内に空気中の酸素が入ります。
こういった状況は、酸化に弱い食品には厳しいのですが、鰹削り節はその代表格でしょう。
どんなに品質の良い鰹節であっても、削った後に酸素に触れてしまうのであれば、急速に品質は劣化していきます。
難しいものです。
そうなれば、ゼロウェイストと品質を両立させたければ、結局のところ自分で削るしかないのです。
鰹節は、削ることによって断面積が増え、酸化の悪影響が顕著になりますが、削る前の状態であれば簡単には劣化しませんので。
ただ、昔は日本人の日常であった、家庭での鰹節削り。
なかなか今は定着しません。
私共の店舗でも、節も削り器も販売しています。
一念発起して自分で削ることを始められる方も多いのですが、そのうちの相当数の方が途中で挫折してしまうのを見て、心苦しいところです。
しかしこれは、ある意味無理もないところです。
やはり一般のご家庭では少しハードルが高いでしょう。
理由のひとつとしては、道具のメンテナンスです。
そもそも、カンナの刃の出具合を適切に調整する必要がありますし、刃物ですから使っているうちに切れ味が鈍り、研ぎ直しが必要になります。
現代では、普通の包丁でも自分で研げない方が多いのに、カンナの研ぎ直しは、やはり大変だと感じる方が多いのでしょう。
ですので、なんとかハードルを下げて、可能な限り簡便な方法で自宅での鰹節を削っていただく方法が無いかと考えてきました。
そんな中で、ちょっとしたアイディアを考え付きました。
次回の投稿(下部のリンクです)では、その内容をご紹介したいと思います。
ご興味あれば、ご一読ください。
なんとか多くの方が、鰹節の自家削りの社会的意義と、その味覚的な素晴らしさに気づき、生活に取り入れて下さることを願っています。