こんぶ土居店主のブログ

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SNS発信から出た記事

前回のブログ、タイトルは「嘆かわしい報道」でした。

konbudoi4th.hatenablog.com


ある新聞記事について、天然真昆布は常態化した不作で大問題を抱えているのに、それが読み取れない「残念な記事」としてご紹介しています。
そんな内容をSNSでも投げたのですが、拡散して下さった方づてに北海道新聞に伝わり、修正と言うか追加と言うか、そんな記事を書いてくれることになったので、有難いものです。

つい先日掲載されたようです。
私も、先月の北海道出張時にインタビューを受け、コメントしております。
タイトルは、『南茅部産天然マコンブ 水揚げ激減に危機感 「和食文化消えかねない」』です。
北海道新聞のウェブ版で公開されたようですので、載せておきます。
実は、これでもまだ少しだけ残念な部分も含まれますが。。(後半部分が)
多くを求め過ぎてはいけませんね。
(全文を読むには、ログインが必要であるようですから、テキストを下に載せておきます。)

www.hokkaido-np.co.jp


(以下、8月19日付、北海道新聞電子版より抜粋)
■料理人ら視察「現状知って」
 函館市南茅部地区で天然マコンブの水揚げ量が激減していることに、道内外の料理人や販売業者らが危機感を募らせている。7月には、フードジャーナリストや東京の有名料理店シェフでつくる団体「シェフス フォー ザ ブルー」のメンバーが漁場を視察。料理人らは「天然マコンブがなくなれば、本物を求める料理人や店には大打撃。多くの人に現状を知ってほしい」と訴えている。
 「日本料理は昆布だしが全ての基本。このままでは、大切な文化が消えかねないという現状を、誰も知らないと思う」。東京・南青山の日本料理店「てのしま」店主の林亮平さんは話す。林さんは同団体の一員として、7月22、23日に関係者ら約10人と一緒に、南茅部地区尾札部のマコンブ漁や鹿部町などの農業を視察。研究者の話も聞いた。「われわれは、次の世代に文化を残す責任がある。何をすべきか、考え続けたい」
 函館市の天然コンブ生産量はかつて、年間1千トンを超えていた。一時的な増減はあっても翌年には資源が持ち直すことが大半で、2015年度の生産量は1393トンだった。ところが16年度以降、生産量は激減。20年度は168トン、21年度は15年度比95%減のわずか75トンだった。16年度は低気圧の影響でコンブが流されたことが大きな要因だったが、その後の不漁はコンブを食べるウニの増加や、栄養分を含んだ親潮の勢いが弱まったことなど、原因は複合的とされる。一方、養殖コンブは毎年4千トンほどが水揚げされている。
 高級だしコンブ「白口浜」の産地で知られる南茅部地区の南かやべ漁協では本年度、6支所のうち木直と臼尻の2カ所で天然マコンブ漁を実施。木直は7月14日から、臼尻は27日からいずれも4日間行った。
 10年ほど前の豊漁時には約700トンの水揚げがあったが、18年は約30トン、近年は1桁台にまで激減している。同漁協の中村正俊専務理事は「海洋環境の変化もあり、ここ3年は極端に落ち込んでいる。10~20年後には壊滅状態になるのではと分析する学者もいると聞く」と危機感を募らせる。
 視察にも参加した大阪市の卸問屋「こんぶ土居」の土居純一社長(48)は7月、私設の「大阪昆布ミュージアム」を店の近くに開設した。「少しでも、昆布の大切さを知ってほしい」との思いからで、南茅部産の天然マコンブの実物や漁の写真などを展示している。
 土居さんは20年ほど前から毎年夏に南茅部に入り、漁を手伝ってきた。南茅部高で講演したり漁師の後継者を店に招いたりして、天然マコンブの素晴らしさを伝えてきただけに、危機的な現状が認識されていないことに憤りを感じているという。
 昆布加工・販売の道南伝統食品協同組合(函館市大船町)の成田幸大営業部長(45)は「古くから、将軍家や朝廷に献上されていた南茅部産の天然マコンブは、いわばコンブ界の『ロマネ・コンティ』。世界最高峰の価値があることを伝え、残すためにできることをしていきたい」と話している。(野口今日子、鹿内朗代)
道立工業技術センター長 安井肇氏に聞く■ウニが減れば回復の可能性
 コンブ研究で知られる道立工業技術センター(函館)の安井肇センター長(67)に、不漁の原因や消費者ができることを聞いた。
 ―養殖マコンブは堅調である一方、天然マコンブが採れないのはなぜですか。
 「理由の一つは、キタムラサキウニが増え、岩に着いた若いコンブを食べてしまうことです。養殖はロープに付けて海中につるしているので、ウニがほとんど着きません。養殖コンブがしっかりと育っていることから分かりますが、海自体の環境はコンブにとって悪くはないのです」
 ―天然マコンブの不漁は2016年から顕著です。
 「16年1月、猛烈に発達した低気圧でコンブだけでなく海藻がたくさん打ち上げられ、胞子を含めた資源量が減少しました。その一方、外国人観光客にも好まれるウニは各地で放流して増えました。17年からはコンブが成長する寒流が弱まり、暖かい海が好きなウニが活発にコンブを食べ続けました。バランスが崩れていると言えます」
 ―回復は難しいですか。
 「実は今年は冬の海の温度が下がり、ウニの活動が低下しました。寒流は昨年から少し入ってきて、今年はだいぶ戻っています。南茅部地区ではウニの駆除などを強化し、マコンブが生えてきた場所もあると聞きます。人間が少し手を貸せば、回復すると思います」
 ―消費者としてできることはありますか。
 「『天然ものでなくてはダメだ』と漁師にプレッシャーを掛けることは、しないでほしい。ウニが少なくなれば、生産量が再び伸びる可能性はあります。天然ものが回復するまでは、養殖ものを使うことも大切です。道南の養殖の技術は非常に高く、天然と同じような品質のコンブが採れています。生の冷凍コンブからだしを取るなど、活用の幅を広げる研究も進めています。コンブにもっと、注目してもらえればと思います」