先日、こんぶ土居製品を販売して下さっているお取引様販売店から、ご指摘を受けました。
私共の製品「本格十倍出し」に浮遊物があるとのことでした。
販売にご不便をおかけしたような状況ですので、申し訳のないところです。
実は、過去にも何度か同様の事が起きています。
当然ながら、十倍出しを瓶詰めして発送した時点では、浮遊物などないのです。
ただそれが、時間の経過で昆布の微細な成分が凝集して、固まりを形成してしまうことがあるようです。
この問題を解決する方法は、非常に単純です。
高度な濾過をすれば良いのです。
目の非常に細かいフィルターを通したり、活性炭ろ過をすれば、このような問題は起きません。
しかし、こんぶ土居では、簡単なろ紙を通しただけで製品化しています。
その理由は簡単。
濾過によって味が痩せるからです。
ただ、このようなことは、消費者の方へのご説明が必要ですので、製品の二か所に注意書きを書かせていただいています。
無濾過の良さを、こんぶ土居製品に使用する他の原料にも見て取れる場合があります。
私共の製品の「ミネラルいりこん」に使用している圧搾ごま油は、言わば無濾過に近いものです。
一般的に、品質を安定させるために油脂精製時に水溶性の物質を取り除きます。
「湯洗い」と呼ばれる工程で、油に湯を混ぜて攪拌し、水溶性の物質を溶かし出すのです。
これは特に問題のある工程ではありませんが、湯洗いによって少しおいしさも抜けてしまうようです。
湯洗い以外にも、加工助剤と呼ばれる薬品を用いて不純物を取り除くことも多いですが、表示義務がありませんし、特に必要のない濾過はしない方が良いと思います。
前述のごま油は湯洗いをせず、絞ったまんま。品質は素晴らしく、なんとも豊かな味と香りです。
ただ、この油を使って揚げ物をすると、異常な量の泡が出ます。
ちょっと危険です。
決して扱いやすいものではありませんが、それを引き受けてでも使いたくなる魅力があります。
お酢に関しても、現在お酢メーカーさんと相談して、無濾過に近いお酢をこんぶ土居製品に使用できないか検討しています。
確認しなければならない事がまだまだありますので、使用できるかどうかは未定ですが、面白いものができるかも知れません。
見た目が澄んで美しいものは、それはそれで良いのですけれど、濁りのあるものを毛嫌いするのは、本当の自然な美味しさを遠ざけてしまうことになるのではないかと危惧しています。
多くの消費者の方にもご理解をいただけると非常に嬉しいです。