こんぶ土居店主のブログ

こんぶ土居店主によるブログです。お役に立てれば。

グラスフェッドビーフと、アイゴの養殖「いただきますを考える会」

 

冒頭から問題発言で恐縮ですが、私は高級和牛が嫌いです。

松阪牛」とか「神戸ビーフ」とか、A5ランクがどうとか、全て好きではありません。

特に、キレイにサシの入った「霜降り肉」は、値段も高いのだと思いますが、食べたくないです。

お好きな方には申し訳ありませんが、私には特有の嫌な臭気を感じるのです。

 

それに引き換え、牧草肥育牛なら好きです。

「グラスフェッドビーフ」ですね。

国産のグラスフェッドはあまり手に入りませんが、輸入肉であれば通販で簡単に入手できます。

ご興味あれば取り寄せて食べてみて下さい。

 

 

そもそも牛は、草食動物でしょう。

そうであれば、草を食べてもらいたいものですが、日本では「濃厚飼料」と呼ばれる、穀物を主体とした給餌がされるわけです。

過去の悲しい出来事としてのBSE問題がありましたが、その原因のひとつが「肉骨粉」を飼料として与えていたことです。

草食動物である牛に、「肉と骨の粉」を食べさせる正気とは思えない所業、こんなことをしていては問題が起きて当然でしょう。

やはり、動物の本来の食性にできるだけ沿った酪農が望ましいと思います。

 

 

これは牛乳についても同じで、濃厚飼料で育った普通の牛乳が嫌いです。

小学生の頃は、学校給食で毎日牛乳が出ましたから、非常に辛かったのを覚えています。

理由は、こちらからもまた、特有のイヤなにおいを感じるのです。

しかし、そんな私にも、飲める牛乳があります。

もうお分かりかも知れませんが、牧草で育てた牛の牛乳です。

牛肉と、構造は全く同じなんですね。

 

これらは、私の個人的な好みの話だと言われればそれまでですが、動物の本来の食性から離れた酪農が不自然なのは間違いないはずで、そんな風に育てられた家畜は、不健康なのではないでしょうか。

 

 

そもそも酪農の本質は、人間が食べられないものを家畜が食べてくれて、人間の食べるものに変わることでしょう。

『牛や羊が牧草を食べて肉や乳になる』、『ニワトリがミミズや青草をついばんで、鶏肉や卵になる』。

なんと素晴らしいことでしょう!

そう考えると尚更、「ビールを飲ませて松阪牛を育てる」なんて、バカバカしいことのように思えるのです。

 

味の好みだけでなく、こんな意味合いもあって、私はグラスフェッドビーフが好きなのですが、残念ながら日本には広大な牧草地なんて少ないですね。

つまり牧草肥育に適していない国土ですから、濃厚飼料で育てる他ないのは理解できますが。

そうであっても、食糧問題が深刻化する未来に、「人間が食べられるもの」を大量に与えて不健全な家畜を育てることなど、推奨されるべきことではないように思います。

 

 

 

さて海に目を向けまして、魚です。

世界の天然の魚の漁獲量は、近年ずっと横ばいで増えていません。

それに対し、養殖魚の量は増え続けています。

世界人口が急増する中で、資源問題に悩まされる海産物ですから、今後は益々養殖魚の重要性が増すでしょう。

 

しかし、ここで問題になってくるのは、養殖魚のエサです。

通常、養殖用の配合飼料の主たる原材料は、魚粉なのです。

例えば、養殖する魚を1㎏太らせるために、10㎏ものエサの魚が必要なこともあるそうです。

その10㎏のエサの魚を人間が直接食べることと比べると、社会的に正しい行為なのか、特に持続可能性の観点からは大いに疑問が残ります。

 

 

その一方で、一部に草食の魚がいます。

草食魚であれば、陸上で廃棄野菜などをエサに育てることも可能で、魚の資源問題に悪影響がありませんから、今後注目されてくるかも知れません。

 

そんな取り組みを実際にされているのが、大阪の料理人さんが集まって結成された「RelationFish株式会社 いただきますを考える会」です。

「アイゴ」という草食魚を通して、未来の食を考えておられます。

www.relationfish.com

 

社長の島村さんは、優秀な料理人であると同時に、社会問題に挑む活動家のような方です。

ミシュランガイドでも星を取っておられますが、持続可能なガストロノミーに対し積極的に活動しているレストランに授けられる「ミシュラングリーンスター」も獲得されています。

 

先日、「いただきますを考える会」のことを大阪のテレビ局が取り上げていましたが、動画がアップされているのでご覧ください。

youtu.be

 

このように、アイゴは一般の魚と違って草食魚であるからこそ、魚粉に頼らない養殖が可能なわけです。

まだまだ研究段階ですので、社会問題の具体的な解決策と成り得るかは分かりませんが、引き続き注目したいと思っています。

 

本日の投稿のタイトルは、「グラスフェッドビーフとアイゴの養殖」ですから、両者に何の関係があるのかと思われるかも知れませんが、人の食用になる動物を飼育する際のエサの観点で、共通の見方ができるように思うのです。

 

 

 

魚粉エサの持続可能性以外に、実はこのアイゴ、もうひとつ別の問題にも関係しています。

それは、昆布屋として私が最も注目する「磯焼け問題」です。

北海道の天然真昆布が慢性的に不作であることは、このブログでも何度となく書かせていただいているところです。

昆布だけでなく他の海藻類も減少していますから、起きていることは「磯焼け」そのものです。

 

 

前述のように草食魚ですから、天然のアイゴは海藻を食べます。

加えて、天然アイゴは、これまで商品価値があまり認められず、積極的に漁獲し利用されることがほとんどありませんでした。

こんな背景で個体数が減らず、たくさんのアイゴが海藻を食い荒らして藻場が無くなることにつながるのです。

 

磯焼け問題には、天然アイゴが関係しているわけですから、養殖のアイゴを育てても、直接的には何の解決にもなりません。

しかし、それによってアイゴという魚自体への関心や理解が進んで、天然のアイゴも漁獲されて利用される未来があるのだとすれば、海藻を守るべき立場の昆布屋としては、何よりの喜びです。

このような期待を私が抱くのは、アイゴを食べた経験からです。

先日、「いただきますを考える会」がイベントを開催され、試食もあったのです。

そこで天然と養殖のアイゴを食べましたが、両方とてもおいしかったです。

また、知り合いの釣り好きの方にも尋ねたところ、「普通に美味しいですよ」と言われました。

アイゴは背びれなどにトゲがあり、少し扱いにくい魚ですから、そんなこともあって評価されてこなかっただけなのかも知れません。

 

さてさて、今後どんな流れになっていくのでしょうか。

とても楽しみです。

 

 

ちなみに、昆布の産地である北海道にはアイゴはいません。

昆布の最大の敵となっているのは、目下のところウニです。

このあたりのことも、いつかブログで書きたいと思います。

 

(了)

 

 

 

 

昆布の飴色は「おいしさの色」と言って良いのでは?

 

「昆布の色」と言われれば、どんな色合いをイメージされるでしょうか。

多くの方は、緑がかった黒っぽい色を頭に浮かべるのではないかと思います。

それは、特に間違いではないのですが、良い昆布の本来の色合いは「あめ色」です。

平たく言えば、茶色っぽいのです。

 

過去投稿で書きました通り、感覚的に黒い方が高級そうに見える傾向から、生産地に於いて、本来あめ色の昆布を、人為的に黒く仕上げようとしたり、そんな問題も存在しました。

konbudoi4th.hatenablog.com

 

本日の投稿も、以前の投稿と、お伝えしたい内容自体は同じなのですが、「あめ色は美味しさ」だと直感的に理解していただきやすい例を発見しました。

 

本年の7月の末に、一冊の書籍を発行しています。

タイトルは、「捨てないレシピ だしがらから考える食の未来」です。

 

だしがらを有効活用していただくことを主題に書いた本ですが、だしを取った後の昆布の保存についても触れています。

この本でお勧めしている方法は、だしがら昆布を干すことです。



このように、洗濯バサミのようなもので摘まんで吊るしておけば、二日も経てばカリカリに乾いているはずです。

こうなれば、保存が容易ですし、様々なメニューに活用できます。

 

ご注目いただきたいのは、このだしがら昆布の色です。

だしをとる前は、下の画像のような色だったのです。



これが、先ほどから書いております「飴色」です。

決して黒くないのが、お分かりいただけるかと思います。

それに対し、吊るして乾燥したダシガラは、同じ昆布だったと思えないぐらいに飴色が抜けて黒っぽくなっているのがご理解いただけるかと思います。

 

本日の投稿でご理解いただきたい内容は、本当にシンプルです。

「飴色は美味しい成分の色。黒すぎる昆布は本来でない」

これだけ、是非ご理解ください。

 

 

SNS発信から出た記事

前回のブログ、タイトルは「嘆かわしい報道」でした。

konbudoi4th.hatenablog.com


ある新聞記事について、天然真昆布は常態化した不作で大問題を抱えているのに、それが読み取れない「残念な記事」としてご紹介しています。
そんな内容をSNSでも投げたのですが、拡散して下さった方づてに北海道新聞に伝わり、修正と言うか追加と言うか、そんな記事を書いてくれることになったので、有難いものです。

つい先日掲載されたようです。
私も、先月の北海道出張時にインタビューを受け、コメントしております。
タイトルは、『南茅部産天然マコンブ 水揚げ激減に危機感 「和食文化消えかねない」』です。
北海道新聞のウェブ版で公開されたようですので、載せておきます。
実は、これでもまだ少しだけ残念な部分も含まれますが。。(後半部分が)
多くを求め過ぎてはいけませんね。
(全文を読むには、ログインが必要であるようですから、テキストを下に載せておきます。)

www.hokkaido-np.co.jp


(以下、8月19日付、北海道新聞電子版より抜粋)
■料理人ら視察「現状知って」
 函館市南茅部地区で天然マコンブの水揚げ量が激減していることに、道内外の料理人や販売業者らが危機感を募らせている。7月には、フードジャーナリストや東京の有名料理店シェフでつくる団体「シェフス フォー ザ ブルー」のメンバーが漁場を視察。料理人らは「天然マコンブがなくなれば、本物を求める料理人や店には大打撃。多くの人に現状を知ってほしい」と訴えている。
 「日本料理は昆布だしが全ての基本。このままでは、大切な文化が消えかねないという現状を、誰も知らないと思う」。東京・南青山の日本料理店「てのしま」店主の林亮平さんは話す。林さんは同団体の一員として、7月22、23日に関係者ら約10人と一緒に、南茅部地区尾札部のマコンブ漁や鹿部町などの農業を視察。研究者の話も聞いた。「われわれは、次の世代に文化を残す責任がある。何をすべきか、考え続けたい」
 函館市の天然コンブ生産量はかつて、年間1千トンを超えていた。一時的な増減はあっても翌年には資源が持ち直すことが大半で、2015年度の生産量は1393トンだった。ところが16年度以降、生産量は激減。20年度は168トン、21年度は15年度比95%減のわずか75トンだった。16年度は低気圧の影響でコンブが流されたことが大きな要因だったが、その後の不漁はコンブを食べるウニの増加や、栄養分を含んだ親潮の勢いが弱まったことなど、原因は複合的とされる。一方、養殖コンブは毎年4千トンほどが水揚げされている。
 高級だしコンブ「白口浜」の産地で知られる南茅部地区の南かやべ漁協では本年度、6支所のうち木直と臼尻の2カ所で天然マコンブ漁を実施。木直は7月14日から、臼尻は27日からいずれも4日間行った。
 10年ほど前の豊漁時には約700トンの水揚げがあったが、18年は約30トン、近年は1桁台にまで激減している。同漁協の中村正俊専務理事は「海洋環境の変化もあり、ここ3年は極端に落ち込んでいる。10~20年後には壊滅状態になるのではと分析する学者もいると聞く」と危機感を募らせる。
 視察にも参加した大阪市の卸問屋「こんぶ土居」の土居純一社長(48)は7月、私設の「大阪昆布ミュージアム」を店の近くに開設した。「少しでも、昆布の大切さを知ってほしい」との思いからで、南茅部産の天然マコンブの実物や漁の写真などを展示している。
 土居さんは20年ほど前から毎年夏に南茅部に入り、漁を手伝ってきた。南茅部高で講演したり漁師の後継者を店に招いたりして、天然マコンブの素晴らしさを伝えてきただけに、危機的な現状が認識されていないことに憤りを感じているという。
 昆布加工・販売の道南伝統食品協同組合(函館市大船町)の成田幸大営業部長(45)は「古くから、将軍家や朝廷に献上されていた南茅部産の天然マコンブは、いわばコンブ界の『ロマネ・コンティ』。世界最高峰の価値があることを伝え、残すためにできることをしていきたい」と話している。(野口今日子、鹿内朗代)
道立工業技術センター長 安井肇氏に聞く■ウニが減れば回復の可能性
 コンブ研究で知られる道立工業技術センター(函館)の安井肇センター長(67)に、不漁の原因や消費者ができることを聞いた。
 ―養殖マコンブは堅調である一方、天然マコンブが採れないのはなぜですか。
 「理由の一つは、キタムラサキウニが増え、岩に着いた若いコンブを食べてしまうことです。養殖はロープに付けて海中につるしているので、ウニがほとんど着きません。養殖コンブがしっかりと育っていることから分かりますが、海自体の環境はコンブにとって悪くはないのです」
 ―天然マコンブの不漁は2016年から顕著です。
 「16年1月、猛烈に発達した低気圧でコンブだけでなく海藻がたくさん打ち上げられ、胞子を含めた資源量が減少しました。その一方、外国人観光客にも好まれるウニは各地で放流して増えました。17年からはコンブが成長する寒流が弱まり、暖かい海が好きなウニが活発にコンブを食べ続けました。バランスが崩れていると言えます」
 ―回復は難しいですか。
 「実は今年は冬の海の温度が下がり、ウニの活動が低下しました。寒流は昨年から少し入ってきて、今年はだいぶ戻っています。南茅部地区ではウニの駆除などを強化し、マコンブが生えてきた場所もあると聞きます。人間が少し手を貸せば、回復すると思います」
 ―消費者としてできることはありますか。
 「『天然ものでなくてはダメだ』と漁師にプレッシャーを掛けることは、しないでほしい。ウニが少なくなれば、生産量が再び伸びる可能性はあります。天然ものが回復するまでは、養殖ものを使うことも大切です。道南の養殖の技術は非常に高く、天然と同じような品質のコンブが採れています。生の冷凍コンブからだしを取るなど、活用の幅を広げる研究も進めています。コンブにもっと、注目してもらえればと思います」

 

嘆かわしい報道

画像は、本日7月16日付の北海道新聞の記事です。

何か誤ったことが書かれているわけではありませんが、本当に残念な記事です。

タイトルからして、「天然マコンブ大きい」、ですので。

こんな記事、豊漁をイメージさせませんでしょうか。

取り上げられている南茅部地区では、以前は数百トンの天然真昆布の水揚げがあったものが、現在は数トンに激減しているわけです。

そんな危機的状況が、この記事から読み取れますでしょうか。

新聞記者さんも、悪気がある訳ではなく、単純に過去からの推移と背景を御存知ないのだと思います。

それなら、取材を受けている漁業者が正しく説明しないといけないわけですが、残念ながら未来を考えない人が多いのでしょう。

悲しい現実です。

 

もはや二年養殖でも貴重品

あまり暗いことばかり書きたくないので、今回のブログは短くします。

引き続き海の環境は良くありませんで、真昆布の生産は大問題を抱えています。

 

7月は昆布漁のシーズンですので、生産量予想が出て参りました。

天然物の真昆布が採れないのは、ここ数年同じなのですが、天然昆布同様に二年かけて育てる養殖昆布ですら難しくなっている今年の漁獲量予想。

献上昆布たる、旧南茅部町域の真昆布に限って言えば、以下のような衝撃的内訳(概算値)です。

天然昆布 0.3%

二年養殖昆布 1.6%

一年養殖昆布(促成) 98.1%!!

 

こんぶ土居の店頭で、だし昆布として販売している真昆布製品は、天然物と二年養殖ですが、もはや二年養殖でも非常に希少品だと言うことがお分かりいただけるかと思います。

逆風は、強さを増すばかり。

さてさて、困ったものです。

 

(了)

 

のり佃煮、原材料表示のナゾを解説

 

 

私共は昆布屋ですが、海苔の製品も販売しています。

「無酸処理焼海苔」がそれに当たりますが、「酸処理」は環境問題が関係します。

もしご興味あれば、過去投稿をご参照下さい。

konbudoi4th.hatenablog.com

 

 

海苔の佃煮も製造しているのですが、そちらも同様に酸処理していない海苔を使用していますが、世間を見渡しても同様の製品がほぼ皆無ですので、少し自慢です。

konbudoi.shop-pro.jp

 

 

この海苔の佃煮の原材料は下記の通りです。オンラインストア上で詳細を公開しています。

麦芽水飴(大阪府東大阪市製造)(原材料:甘薯澱粉麦芽
丸大豆醤油(和歌山県東牟婁郡製造)(原材料:丸大豆、小麦、塩)
たまり醤油(三重県鈴鹿市製造)(原材料:丸大豆、塩)
干海苔(伊勢湾産)
濃縮だし(大阪府製造)(原材料:真昆布、鰹節、鰯煮干し)
純米酒(長野県佐久市製造)(原材料:米、米麹)
伝統味醂岐阜県加茂郡製造)(原材料:もち米、米麹、米焼酎(乙類))

 

 

それに対して、近所のコンビニで比較対象として買ってきた製品の原材料表示は、下記の通りでした。

のり(国産)
しょうゆ(小麦、大豆を含む)
水飴
砂糖混合ぶどう糖果糖液糖
魚介エキス(かつお、ほたて)
寒天
/ 
調味料(アミノ酸等)
安定剤(タマリンド
カラメル色素

 

ご注目いただきたいのは、原材料表示の中の海苔の登場順位です。

使用量の多い物から順に記載する決まりになっていますが、こんぶ土居製品では海苔は4番目、コンビニの製品ではトップに出てきます。

これは、こんぶ土居製品は、少ししか海苔を使っていないということでしょうか。

そんな風にも読み取れなくも無いように思います。

これには、ある「からくり」が関係しています。

 

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms101_210317_12.pdf

消費者庁の上記サイト「食品表示基準Q&A」の43ページに、下のような記載があります。

 

(加工-57)原材料の表示順は、製造時の原材料配合割合に従って決定するので
すか。

(答)

~ ~ ~

原料の入手時には濃縮又は乾燥した形であっても、製造の際に還元される原材料について、内容物を誤認させないよう注意しつつ 還元した状態又は乾燥前の状態に換算 、 した重量順で表示することができます。

 

 

こんな制度が存在するのです。

つまり、のり佃煮で言えば、使用しているのは乾燥している海苔であっても、水分を含んだ状態に換算して良いということです。

この制度によって、コンビニの海苔佃煮が、上記の表示順位になっているのでしょう。

実際に、干した海苔をそのまま使えば、醤油より多い海苔の量などで決して製造できませんので、私の推測に間違いはないと思います。

原材料名の中に寒天やタマリンドが出てきますが、両方とも「ゲル化」「増粘」の役割を果たしますから、少量の海苔しか使用せず製造することも可能なはずです。

昆布の佃煮等でも、同じ手法が使えそうですね。

 

 

こんな制度があることを、一般の方はご存知無いので、この表示方法が、消費者への情報提供の手段として適切であるのかは、少し疑問です。

そんな考えもあって、こんぶ土居製品には、「海苔」と書かずに「干海苔」と書いているわけです。

ささやかな抵抗の姿勢ですが、「干」という文字から、水分を含んでいない海苔であることが、ご理解いただけると嬉しいです。

 

 

ご紹介したコンビニの佃煮、せっかく買ってきましたので、開けてみました。

味をブログで書くのは難しいですから、見た目の違いを載せておきます。

違いが判別し易いよう同じ袋に詰め、透けるよう押し広げて、並べて写真を撮りました。

左がこんぶ土居製品、右がコンビニで買ってきたものです。

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海苔は海藻なのですから、完全に溶けてしまうはずは無いのです。

コンビニのものは完全なペースト状ですが、海苔を細かく粉砕してから製造しているのでしょうか。

それ自体は問題ありませんが、こんぶ土居製品は、特に「なめらかさ」を求めて作ってはいません。

少し食感に近いものが感じられた方が良いように思うからです。

同じように見える海苔の佃煮でも、意外に違うのをご理解いただけましたでしょうか。

 

 

原材料の話に戻りますと、こんぶ土居の海苔佃煮で使用割合が最も多いのは、上記の通り麦芽水飴です。

甘味をつける目的で使用しています。

水飴の業界も、なにやら怪しいものです。

そちらについては後日、基礎知識を改めて書きたいと思います。

ご興味あれば、ご一読下さい。

 

(了)

 

宮井一郎さんの料理に見る「食の正しさ」

 

先日、ある方からお誘いいただき、大阪の島本町にあるイタリア料理屋さんへ行きました。

ジビエ(狩猟によって捕獲された野生の鳥獣の肉)を専門に扱うお店です。

ご主人の宮井一郎さん(以下、一郎さん)は、料理人であり同時にハンターで、お店の近くの山に罠を仕掛け、シカやイノシシなどの獲物を調理しておられます。

 

一郎さんのことは、書くと長いので、ネット上の記事をご紹介しておきます。

下のインタビュー記事を、是非ご一読下さい。

cookbiz.jp

 

一郎さんの料理は、どれもこれも本当に美味しく、そこにはタイトルに書いたように「食の正しさ」のようなものを感じます。

所謂、軽薄なガストロノミーの世界が追求する「美食」とは明確に一線を画すものです。

 

ジビエはくさいもの、とお考えの方もあるかも知れませんが、「正しい処理」をしたものは、くさくなんて無いのです。

どの肉でも「香り」と「臭み」があるかと思いますが、一郎さんの料理に存在するのは前者です。

例えば、普通に市販される、牛肉、豚肉、鶏肉は、くさみが出にくいように品種改良されてきたものでしょう。

しかし、その一方で「正しくない飼育方法」によって、本来その動物が持っている個性とは違った「おかしな風味」が発生しているように思います。

 

例えば、普通のスーパーなどで安価に売られているブロイラーをシンプルに調理したものは、私はかなり抵抗があります。

いやな風味を感じるのです。

香りの強い副原料で味をつければ気にならないですが、例えば「塩をかけて焼いただけ」なら、かなり厳しいです。

先にご紹介したインタビュー記事内の一郎さんの言葉を借りれば、

『畜産はやっぱりどうしてもストレスがかかって臭くなるんです。人間でもそうやけど、牢屋に入れられて、好きなものを食べさせてもらえない、お風呂にも入れない、排泄と寝る場所が同じで、しかもいずれは殺されるということが分かっていたらストレスかからへん?

ストレスがかかると体臭が出ると言われているから、どうしても独特の肉の臭さを僕は感じるんです。だから僕の獲った肉を食べてもらったら分かるけど、全然臭くないんです。なんでかというと、死ぬ瞬間まで“生きようとしている”からね。それを経験したら、僕自身も生き方を変えたいと思います。死ぬ瞬間までストレスを抱えずに生きたいなあと。』

地球上に60億人がいる中で、全員が食べていくための方法として畜産は当然必要です。僕のようなやり方が、まかり通るとは思ってない。でも人間は生き物を殺すことでしか生きていけない、その事実を伝えていきたいとは思っています。コンビニでもスーパーでも全部殺されたものが並んでいるわけで、植物も生きているからどんな人も絶対に何かを殺しているわけで、それを猟やジビエを通して実感してほしいんです。

 

本来の食性と違った産業効率ばかりを考えた飼料で育ったり、飼育環境が悪いことに起因する病気を防ぐため投薬されたり、そんな理由によっても異常な臭気が発生するのでしょう。

 

食にも『正しさ』がある!

今回のブログでお伝えしたい内容は、これだけです。

地球人類を飢えさせないために、一般的な畜産や、農薬や化学肥料を大量に使う農業も必要でしょう。

それでも、少なくとも両者の違いだけは多くの方にご理解いただきたいです。

食にまつわる社会問題からヴィーガンになる方々も増えていますが、「命を考える」ことについても、一郎さんのお仕事から感じるところは大きいです。

頭の中だけで考えた話と、実際に山に入って「自らの手で殺生」して得た一郎さんの感覚、やはり後者の方が価値が高いと思います。

 

 

一度、島本町のお店まで出かけて一郎さんのジビエ料理を食べ、慣れ親しんだ大量生産の家畜の味との違いから、正しい食について考えてみて下さい。

www.ristorante-conte.jp

これは昆布屋としての私共の仕事にも同じことが言えます。

うま味調味料や食品添加物を駆使してつくった味ではない「正しい昆布製品」を追求したいと思います。

もはや、求めるべきものは、主観的な「美味しさ」などではないのです。

 

余談ですが、一郎さんのお店で出てきたワインは、過去にこのブログで何度となくご紹介した、イタリアのナチュラルワインのインポーター「ヴィナイオータ」のものばかりでした。

たまたまでしょうか?

いえいえ、恐らく一郎さんとヴィナイオータさんのお考えが近いのでしょう。

こちらにも、同じく「食の正しさ」を感じます。

以下の過去投稿も、是非ご一読下さい。

konbudoi4th.hatenablog.com

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