こんぶ土居店主のブログ

こんぶ土居店主によるブログです。お役に立てれば。

のり佃煮、原材料表示のナゾを解説

 

 

私共は昆布屋ですが、海苔の製品も販売しています。

「無酸処理焼海苔」がそれに当たりますが、「酸処理」は環境問題が関係します。

もしご興味あれば、過去投稿をご参照下さい。

konbudoi4th.hatenablog.com

 

 

海苔の佃煮も製造しているのですが、そちらも同様に酸処理していない海苔を使用していますが、世間を見渡しても同様の製品がほぼ皆無ですので、少し自慢です。

konbudoi.shop-pro.jp

 

 

この海苔の佃煮の原材料は下記の通りです。オンラインストア上で詳細を公開しています。

麦芽水飴(大阪府東大阪市製造)(原材料:甘薯澱粉麦芽
丸大豆醤油(和歌山県東牟婁郡製造)(原材料:丸大豆、小麦、塩)
たまり醤油(三重県鈴鹿市製造)(原材料:丸大豆、塩)
干海苔(伊勢湾産)
濃縮だし(大阪府製造)(原材料:真昆布、鰹節、鰯煮干し)
純米酒(長野県佐久市製造)(原材料:米、米麹)
伝統味醂岐阜県加茂郡製造)(原材料:もち米、米麹、米焼酎(乙類))

 

 

それに対して、近所のコンビニで比較対象として買ってきた製品の原材料表示は、下記の通りでした。

のり(国産)
しょうゆ(小麦、大豆を含む)
水飴
砂糖混合ぶどう糖果糖液糖
魚介エキス(かつお、ほたて)
寒天
/ 
調味料(アミノ酸等)
安定剤(タマリンド
カラメル色素

 

ご注目いただきたいのは、原材料表示の中の海苔の登場順位です。

使用量の多い物から順に記載する決まりになっていますが、こんぶ土居製品では海苔は4番目、コンビニの製品ではトップに出てきます。

これは、こんぶ土居製品は、少ししか海苔を使っていないということでしょうか。

そんな風にも読み取れなくも無いように思います。

これには、ある「からくり」が関係しています。

 

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms101_210317_12.pdf

消費者庁の上記サイト「食品表示基準Q&A」の43ページに、下のような記載があります。

 

(加工-57)原材料の表示順は、製造時の原材料配合割合に従って決定するので
すか。

(答)

~ ~ ~

原料の入手時には濃縮又は乾燥した形であっても、製造の際に還元される原材料について、内容物を誤認させないよう注意しつつ 還元した状態又は乾燥前の状態に換算 、 した重量順で表示することができます。

 

 

こんな制度が存在するのです。

つまり、のり佃煮で言えば、使用しているのは乾燥している海苔であっても、水分を含んだ状態に換算して良いということです。

この制度によって、コンビニの海苔佃煮が、上記の表示順位になっているのでしょう。

実際に、干した海苔をそのまま使えば、醤油より多い海苔の量などで決して製造できませんので、私の推測に間違いはないと思います。

原材料名の中に寒天やタマリンドが出てきますが、両方とも「ゲル化」「増粘」の役割を果たしますから、少量の海苔しか使用せず製造することも可能なはずです。

昆布の佃煮等でも、同じ手法が使えそうですね。

 

 

こんな制度があることを、一般の方はご存知無いので、この表示方法が、消費者への情報提供の手段として適切であるのかは、少し疑問です。

そんな考えもあって、こんぶ土居製品には、「海苔」と書かずに「干海苔」と書いているわけです。

ささやかな抵抗の姿勢ですが、「干」という文字から、水分を含んでいない海苔であることが、ご理解いただけると嬉しいです。

 

 

ご紹介したコンビニの佃煮、せっかく買ってきましたので、開けてみました。

味をブログで書くのは難しいですから、見た目の違いを載せておきます。

違いが判別し易いよう同じ袋に詰め、透けるよう押し広げて、並べて写真を撮りました。

左がこんぶ土居製品、右がコンビニで買ってきたものです。

f:id:konbudoi4th:20220706092156j:image

 

海苔は海藻なのですから、完全に溶けてしまうはずは無いのです。

コンビニのものは完全なペースト状ですが、海苔を細かく粉砕してから製造しているのでしょうか。

それ自体は問題ありませんが、こんぶ土居製品は、特に「なめらかさ」を求めて作ってはいません。

少し食感に近いものが感じられた方が良いように思うからです。

同じように見える海苔の佃煮でも、意外に違うのをご理解いただけましたでしょうか。

 

 

原材料の話に戻りますと、こんぶ土居の海苔佃煮で使用割合が最も多いのは、上記の通り麦芽水飴です。

甘味をつける目的で使用しています。

水飴の業界も、なにやら怪しいものです。

そちらについては後日、基礎知識を改めて書きたいと思います。

ご興味あれば、ご一読下さい。

 

(了)