私共は昆布屋ですが、海苔の製品も販売しています。
「無酸処理焼海苔」がそれに当たりますが、「酸処理」は環境問題が関係します。
もしご興味あれば、過去投稿をご参照下さい。
海苔の佃煮も製造しているのですが、そちらも同様に酸処理していない海苔を使用していますが、世間を見渡しても同様の製品がほぼ皆無ですので、少し自慢です。
この海苔の佃煮の原材料は下記の通りです。オンラインストア上で詳細を公開しています。
麦芽水飴(大阪府東大阪市製造)(原材料:甘薯澱粉、麦芽)
丸大豆醤油(和歌山県東牟婁郡製造)(原材料:丸大豆、小麦、塩)
たまり醤油(三重県鈴鹿市製造)(原材料:丸大豆、塩)
干海苔(伊勢湾産)
濃縮だし(大阪府製造)(原材料:真昆布、鰹節、鰯煮干し)
純米酒(長野県佐久市製造)(原材料:米、米麹)
伝統味醂(岐阜県加茂郡製造)(原材料:もち米、米麹、米焼酎(乙類))
それに対して、近所のコンビニで比較対象として買ってきた製品の原材料表示は、下記の通りでした。
のり(国産)
しょうゆ(小麦、大豆を含む)
水飴
砂糖混合ぶどう糖果糖液糖
魚介エキス(かつお、ほたて)
寒天
/
調味料(アミノ酸等)
安定剤(タマリンド)
カラメル色素
ご注目いただきたいのは、原材料表示の中の海苔の登場順位です。
使用量の多い物から順に記載する決まりになっていますが、こんぶ土居製品では海苔は4番目、コンビニの製品ではトップに出てきます。
これは、こんぶ土居製品は、少ししか海苔を使っていないということでしょうか。
そんな風にも読み取れなくも無いように思います。
これには、ある「からくり」が関係しています。
消費者庁の上記サイト「食品表示基準Q&A」の43ページに、下のような記載があります。
(加工-57)原材料の表示順は、製造時の原材料配合割合に従って決定するので
すか。
(答)
~ ~ ~
原料の入手時には濃縮又は乾燥した形であっても、製造の際に還元される原材料について、内容物を誤認させないよう注意しつつ 還元した状態又は乾燥前の状態に換算 、 した重量順で表示することができます。
こんな制度が存在するのです。
つまり、のり佃煮で言えば、使用しているのは乾燥している海苔であっても、水分を含んだ状態に換算して良いということです。
この制度によって、コンビニの海苔佃煮が、上記の表示順位になっているのでしょう。
実際に、干した海苔をそのまま使えば、醤油より多い海苔の量などで決して製造できませんので、私の推測に間違いはないと思います。
原材料名の中に寒天やタマリンドが出てきますが、両方とも「ゲル化」「増粘」の役割を果たしますから、少量の海苔しか使用せず製造することも可能なはずです。
昆布の佃煮等でも、同じ手法が使えそうですね。
こんな制度があることを、一般の方はご存知無いので、この表示方法が、消費者への情報提供の手段として適切であるのかは、少し疑問です。
そんな考えもあって、こんぶ土居製品には、「海苔」と書かずに「干海苔」と書いているわけです。
ささやかな抵抗の姿勢ですが、「干」という文字から、水分を含んでいない海苔であることが、ご理解いただけると嬉しいです。
ご紹介したコンビニの佃煮、せっかく買ってきましたので、開けてみました。
味をブログで書くのは難しいですから、見た目の違いを載せておきます。
違いが判別し易いよう同じ袋に詰め、透けるよう押し広げて、並べて写真を撮りました。
左がこんぶ土居製品、右がコンビニで買ってきたものです。
海苔は海藻なのですから、完全に溶けてしまうはずは無いのです。
コンビニのものは完全なペースト状ですが、海苔を細かく粉砕してから製造しているのでしょうか。
それ自体は問題ありませんが、こんぶ土居製品は、特に「なめらかさ」を求めて作ってはいません。
少し食感に近いものが感じられた方が良いように思うからです。
同じように見える海苔の佃煮でも、意外に違うのをご理解いただけましたでしょうか。
原材料の話に戻りますと、こんぶ土居の海苔佃煮で使用割合が最も多いのは、上記の通り麦芽水飴です。
甘味をつける目的で使用しています。
水飴の業界も、なにやら怪しいものです。
そちらについては後日、基礎知識を改めて書きたいと思います。
ご興味あれば、ご一読下さい。
(了)