こんぶ土居の製品に「昆布粉」があります。
これは、類似品が他社にたくさん存在しますので、言ってみれば「ありふれたタイプの製品」です。
かなり前になりますが、漫画「美味しんぼ」にも取り上げられました。
その際に、原作者の雁屋哲先生が書いて下さったことで嬉しかった内容が、下記ページに含まれています。
『健康食品売り場で売っている昆布粉を試しに使ってみましたが、土居のものとはまるで別物』
つまり、雁屋先生は、ちゃんと他社製品を手に入れて、味の比較をして下さっていたわけです。
その上で、私共の製品の良さを感じていただけたようでしたから、とても嬉しく思いました。
先日ある方が、他社の昆布粉に存在する欠点を次のように表現されました。
●粘る(ついでにダマになる)
●臭い
●えぐい
●後口が悪い
●残り香が悪い
●酸っぱい
●だしが出ない
こう評された方によりますと、私共の昆布粉は上記のような欠点がないそうです。
昆布の粉末など、機械で粉砕すればできるわけですから、製造方法に大きな違いがあるとは思えません。
味に違いが出る理由は、ひとえに原料の違いでしょう。
粉にしてしまうと元の昆布の姿は見えませんし、できあがりの昆布粉末の見た目など、どんな原料を使っても大差はありませんので、粗悪な原料を使うのかもしれません。
例えば、2020年12月17日の投稿「ウニと昆布の困った関係」でご紹介した昆布の「ガニアシ」。
ウニの飼料としての活用を模索していることをご紹介しましたが、実は当初、このガニアシは食品としての利用が考えられていたのです。
かつて昆布産地の漁業協同組合が、私共にこの粉を送って来られ、何かに使えないとご相談いただいたことがありました。
そのときに初めて味をみたのですが、当時本当に驚きました。
私共の昆布粉と同じ産地のものです。
品種も同じ真昆布です。
それでも、完全に別物といって良い、圧倒的な味の違いがありました。
仮にこれを市販したら、商品プロフィールとしては、「南茅部産真昆布粉末」などと書かれ、私共の製品と大差無いように映るのかも知れません。
自慢のようになってしまいますが、やはり私共の昆布粉は、「圧倒的に高品質」だと思います。
ただ、当初はそれほど特別だとは思っていませんでした。
なにしろ、普通の仕事をしただけです。
普段使っている昆布を、機械にかけて粉にしただけなのです。
私共が当たり前の食品製造の在り方だと考えてきた
『品質の良い原料を用意して、普通に良いものを作る』
実はこれは当たり前でなく
世間一般的には、
『できるだけ安い原料を用意して、なんとかごまかして普通の品質に見せる』
なのかも知れません。
後者のような製品も、全く何の意義もないかと言えばそうではないかも知れませんが、良いものとの違いは理解されないと、作り手としては悲しいものです。
そもそも、粗悪な原料を使ったとしても、それを正直に言うメーカーなどあるはずがないので、欺瞞もいくらか含まれることでしょう。
もし私共の昆布粉をお使いいただく機会があれば、是非他社製品も手に入れて、味の違いが生まれる背景について、少し考えていただけると非常に嬉しく思います。
(次回投稿、味の評価軸(昆布の粉末のはなし、後編)へ続きます)