こんぶ土居店主のブログ

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ミネラルいりこんの役割

 

「ミネラルいりこん」開発の経緯

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●だしに溶け出す栄養素
こんぶ土居の製品「十倍出し」は、製造開始から30年以上が経過し、様々な改良を加えつつ今日まで製造を続けてきました。
高級な原材料を使用した「本格十倍出し」と、原材料の品質を少し下げた廉価版「標準十倍出し」があります。
「標準十倍出し」は2017年より、原材料に鰯煮干しを加え、製造方法や配合割合の工夫でより美味しく生まれ変わりました。
煮干しの使用については栄養成分の増強も期待したポイントです。煮干しなどの小魚は、不足しがちなカルシウム等のミネラルを多く含むことは良く知られていますので、だしの中にもその栄養成分が溶け出ているであろうと考えたわけです。


しかし、出しの栄養成分を検査機関に依頼して分析しますと、驚くべき結果が出ました。カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分は、出しの中にはほとんど溶け出ていなかったのです。つまり、その多くはダシガラの残っていることになります。こんな驚くべき発見から、ダシガラを美味しく食べる健康スナックとしてのミネラルいりこんの開発は始まりました。

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(ラベルにも、その旨を表記しています。)

 

●ダシガラの栄養価値
文部科学省の「食品成分データベース」には、様々な食品の栄養成分が示されており、出しに含まれている成分も見ることができます。また、その出しを取るにあたって、どれぐらいの量の素材を使用したかも明示されています。
例えば、煮干し出しを例に取ると、煮干し自体の栄養成分も示され、また煮干しだしの栄養成分も出ているので、その差から煮干しのダシガラに含まれる栄養素も計算することが可能です。
加工食品の栄養成分表示にも義務付けられる「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」「食塩相当量」と共に、「食物繊維」「糖質」、ミネラル成分として「カルシウム」「マグネシウム」「鉄」「亜鉛」などの成分を計算してみました。

 

【各成分が、ダシガラに残存している割合(概算値、残存割合の高いものから順に)】
(昆布)鉄ほぼ全量、亜鉛ほぼ全量、食物繊維92%、カルシウム86%、たんぱく質76%、マグネシウム68%、炭水化物58%、食塩相当量43%、糖質32%(脂質は昆布にほとんど含まれません)
(煮干し)鉄ほぼ全量、亜鉛ほぼ全量、カルシウム96%、たんぱく質95%、マグネシウム73%、脂質47%、食塩相当量23%(炭水化物は煮干しにはほとんど含まれません。)

 

以上のように、昆布、煮干し共に、不足しがちな栄養素であるたんぱく質やミネラル分や食物繊維ほどダシガラに多く残り、むしろ摂取量を控えることが推奨されている脂質や食塩分ほど溶け出していることが分かります。
つまり、ダシガラは、美味しさは抜けていますが、栄養成分のバランスから見ると出しを取る前よりも良くなっていると考えることができます。

 

●ダシガラは美味しくなれる
成分分析から、ダシガラには高い栄養価値があることが分かりますが、ダシガラを美味しく食べるのは難しいものです。
昆布のダシガラをそのまま食べても決して美味しいものではありませんし、煮干しも同様です。
しかし、調理法によっては、ダシガラの方が美味しいと感じるものもあります。
傾向としては、多くの量を食べる調理法ほど、ダシガラが適しています。


例えば、古くは大阪の名物として親しまれた昆布の佃煮などは、たくさんの量を食べるものではありません。ごはんのお供などに、少量を使用するものです。しかし、沖縄の昆布の利用法は大阪のそれとは大きく違い、たくさん消費する料理があります。代表的なものは「クーブイリチー」と呼ばれる、昆布の炒め物です。
このようなメニューに使用する場合は、昆布に含まれる凝縮されたうまみが強いと、それがむしろ過剰で、食べづらくなってしまうことがあります。
そこでダシガラを使うと、あっさりといくらでも食べられる味になる傾向があります。
つまり、調理の方法さえ工夫すれば、ダシガラは栄養が豊富で美味しさの面でもより好ましいものになる可能性を秘めているわけです。

 

●特に、子供の健康的なおやつとして

前述のように、「ダシガラ」は味覚の面でも新しい世界を開くことができます。

ミネラルいりこんに入っている昆布は、少しの圧搾ごま油をまぶしてオーブンで焼いたものですが、だしがらでない昆布でつくると、塩分も他の味も過剰です。

煮干しも同様で、いくら栄養豊富でも、適度に塩分などが抜けたものでないと、たくさん食べることはできません。

こういった意味で、だしがらを上手に調理することは、本当に意義深いのです。

 

現代人はカルシウムが不足しているとのことで、いまだに学校給食で牛乳が提供され続けています。

牛乳の問題点は、日を改めて書きますが、日本の伝統的な食品でカルシウムを摂取したいものです。

 

ミネラルいりこんは、最小限の飽きない味付けを目指しています。

今後も、多くの方に喜んで頂けるよう、改良していきます。

実は今、ある方の助けを借りて、『ミネラルいりこんカレー味』を試作中です。