こんぶ土居店主のブログ

こんぶ土居店主によるブログです。お役に立てれば。

『雲鶴』島村雅晴さんの昆布への向き合い方(個人的に泣けるレベル)

 

本日は、タダモノではない料理人さんをご紹介します。

と言っても、実はこのブログで書くのは二回目なのですが、日本料理店「雲鶴」の島村雅晴さんです。

お店のウェブサイトはコチラ↓。

ミシュランガイドでもずっと星を獲得している、素晴らしいお店です。

www.unkaku.jp

 

島村さんは、もう本当に、良い意味で「ド変人」です。

知れば知るほど、面白いエキスが出てくるスルメのような人物。

本日の投稿は、最近の島村さんの発信内容が、私個人的に嬉しすぎるためご紹介するものです。

 

 

料理人さん向けのウェブマガジンで、「WA・TO・BI」というウェブサイトがあります。

www.watobi.jp

こちらの、2023年2月20日発行の記事が、下の「だしがらが昆布胡椒になる⁉」です。

有料記事ですが、途中までは無料で読めますから、リンクを貼っておきます。

www.watobi.jp

 

記事の内容としては、ダシガラ昆布を使って、柚子胡椒のようなものを作る内容ですが、素晴らしいのは、島村さんが語る前段階です。

(以下、WA・TO・BI記事からの引用)

 

「大阪料理の要である真昆布の不漁が続いています。貴重な資源を余さず使い切りたいと試行錯誤する中で思い付きました」と話すのは、大阪・天満『懐石料理 雲鶴(うんかく)』の店主・島村雅晴さん。その驚きのだしがら活用術をご紹介します。

文:団田芳子 / 撮影:東谷幸一

だしがらに注目したワケ
『懐石料理 雲鶴』の店主・島村雅晴さんは、2005年の開店以来、毎月、昆布を仕入れに空堀(からほり)商店街の『こんぶ土居』へ通っている。

「2015年でしたか、天然の真昆布が不作だと土居さんから聞きました。その後、毎年、ずっと不漁が続いている状況を聞いてきました」。

天然真昆布は大阪の味の決め手だが、ないなら仕方がない、他の食材を探そうと考える料理人も少なくない。他の産地の昆布に代えるという人もいる中で、島村さんは釈然としないものを感じていたと言う。

「『これまで昆布のうま味に頼りすぎていた』と皆さん口々に仰るのですが…。でも、ほうっておいて昆布は育つものではない。里山再生と同じく、海の中を人の手で育てていかないと復活は難しい」と島村さん。

「函館の産地に再生をして欲しいと願うなら、料理人は真昆布が必要だと伝えなければいけない。そのためには、他の食材で代用するのではなく、真昆布を使い続けることが大事だと思う」と話す島村さん。穏やかな口調ながら、揺るぎない思いが伝わってくる。

そして、「稀少な昆布を使うからにはしっかり使い切りたい」と、だしがらの活用法を探り始めた。「実は昆布の栄養素のほとんどは、だしがらの方に残っているんです」。

(以上、引用おわり)

 

 

お話しの中で、アンダーラインを引いた部分こそ、私が個人的に泣ける部分です。

島村さんが『問題があればその解決に挑むタイプの人物』だということが、よく分かります。

問題が起きたときに、それにどう向き合うかは、人それぞれです。

島村さんが一般事例として文中で語る通り、「天然真昆布が無いなら他の食材を探そう」というスタンスの方、むしろそれが普通なのだと思います。

ただそれは、「解決」というより「回避」「対処」に近い考え方でしょうか。

 

私がこれまで天然真昆布の復活に取り組んで来たのも、昔から受け継がれた素晴らしいものが途絶えることを看過できないからです。

「常態化した天然真昆布の大不作」という問題が起きたのなら、その環境の中で別の道を探るという手もあります。

しかし、私はそうしたくないのです。

天然真昆布を復活させたいのです。

 

しつこいですが、大切な部分、もう一回引用します。

 

天然真昆布は大阪の味の決め手だが、ないなら仕方がない、他の食材を探そうと考える料理人も少なくない。他の産地の昆布に代えるという人もいる中で、島村さんは釈然としないものを感じていたと言う。

「『これまで昆布のうま味に頼りすぎていた』と皆さん口々に仰るのですが…。でも、ほうっておいて昆布は育つものではない。里山再生と同じく、海の中を人の手で育てていかないと復活は難しい」と島村さん。

「函館の産地に再生をして欲しいと願うなら、料理人は真昆布が必要だと伝えなければいけない。そのためには、他の食材で代用するのではなく、真昆布を使い続けることが大事だと思う」と話す島村さん。穏やかな口調ながら、揺るぎない思いが伝わってくる。

 

 

こんな素晴らしい信念を持った人が、一人でも多くなることを願っています。

島村さんは、(料理人 兼 活動家 兼 研究者 )です。

おそらく、「美味しい料理をつくる」という事だけに終始せず、その先にある、伝統文化や社会問題への関心がそうさせるのだと思います。

島村さんの活動の一部をご紹介した、下記の過去投稿も、是非ご一読下さい。

konbudoi4th.hatenablog.com

 

実は、昨年発行した拙著「捨てないレシピ だしがらから考える食の未来」内でご紹介した、昆布餡も島村さんに教えていただいたレシピです。

宣伝になって申し訳ありませんが、よろしければこちらもどうぞ。

konbudoi.shop-pro.jp

 

島村さん、ありがとう!!!!

(了)