4月23日は、統一地方選挙の投票日です。
真昆布の産地の道南地方の多くは、今は函館市の一部ですが、函館でも市議会議員選挙が同日に行われます。
過去から何度も投稿しております通り、天然真昆布は危機的な状況にありますので、政治の面からも対策が求められています。
その市議会議員選挙に、南かやべ漁協の要請を受けて出馬されているのが、タイトルに書いた芝井さんです。
実は、私と芝井さんは、不思議なご縁があるのです。
本日の投稿は、芝井さんの当選を願い、過去の私との関わり元にお人柄を紹介するものです。
【出会い】
一昨年の8月2日に、このブログで「故・吉村捨良氏の功績に学ぶ」という投稿をしています。
上記の過去投稿内の二枚目の写真で、漁具を手にする吉村捨良さん(故人)の背後に見える男性が芝井さんです。
当時の芝井さんは、南茅部町役場にお勤めで、水産課にてお仕事をされていました。
ご紹介した過去投稿に書いた昆布漁当日は、役場で使う写真資料の撮影に来られていたのです。
芝井さんのご実家も元は南茅部の漁師さんで、昆布採取の仕事は熟知されています。
ですので、単に写真を撮影するだけでなく、吉村捨良さんの仕事をお手伝いされたわけです。
南茅部の昆布漁は、通常3人がチームを組んで仕事にあたるのですが、吉村さんが漁をして、助手二名が芝井さんと私だったのです。
芝井さんは、潮流や風で流されがちな漁船を昆布を採取しやすい位置に固定する「トメシ」という役割、私は吉村さんが採った昆布の根を切り取り、船上の決まった場所に積み上げていく「中乗り」と呼ばれる役割でした。
トメシの仕事の際には、今は小型のスクリューモーターを使います。
しかし当日の吉村さんは、他の漁師さんと違って水深の浅い場所で漁をすることにされたので、他の雑海藻がスクリューにからまって使えません。
そうなれば、昔ながらの人力で漕ぐ櫂の出番です。
昆布漁で使用する櫂は、手漕ぎボートのオールのようなものでなく、漕ぎ方が特殊です。
技術のある人しかできません。
芝井さんが、その役割を担当されたわけです。
つまり、平成16年当時の芝井さんと私の初めての出会いは、共に同じ昆布漁船で仕事をした間柄であったわけです。
当時、初めて昆布産地を訪問して右も左も分からない私に、芝井さんは非常によくしてくださったのが印象的でした。
役場にもお招き頂き、様々なことを教えて頂きました。
これは平成16年のことですから、もう18年前の話です。
その後、芝井さんとの接点は数回だけで、決して頻繁に会っていた訳ではありません。
それでも、短い時間を共にしただけで伝わってくる実直な人物像は、鮮明に印象に残るものでした。
【再会】
直近の私と芝井さんの接点は、一昨年です。
本年運用を開始した大阪昆布ミュージアムで使う写真資料が欲しいと思い、吉村さんの息子さんに使えそうなものがないか尋ねたところ、芝井さんが個人的に持っておられるとのこと。
その時は、タイミングが合わずに会うことはなかったのですが、たくさんの写真が入ったUSBメモリを吉村さん経由で私に預けてくださいました。
これらの写真は、実際に大阪昆布ミュージアムに掲示しています。
平成16年当時に芝井さんが操船に使われた櫂の現物も吉村さんから寄贈して頂いて展示しています。
このようにして、かなりの年月を経て芝井さんとの接点が復活したわけですが、私にとって芝井さんとの思い出は、昆布産地での取り組みの初年度の印象深い出来事。
昨年の産地訪問時にお会いして、お礼と近況報告の機会を作っていただいた次第です。
しかし、ただお会いして御礼をお伝えするだけでなく、私の中では、現在の天然真昆布の窮状を救う取り組みの中で、芝井さんなら良い助言を下さるだろうと期待してのものでもあったのです。
そして、実際にお会いして話した中で、「期待通り」の感想を得ました。
私の思い出の中の「芝井さん像」そのままでした。
お話を伺って、ずいぶんと私の頭の中が整理されました。
その内容については、また別投稿で書きたいと思います。
【出馬のご連絡】
実は風の噂で聞き及んでいたのですが、芝井さんご本人から出馬の連絡を頂いたのは、3月11日のことでした。
私としては本当に嬉しいニュース。
天然真昆布の資源問題を共有できる方が議会で提言して下さることは、非常に有難いことです。
函館の主要産業である漁業の振興を掲げて出馬されるわけで、当選されることを強く願っています。
【余談】
南茅部町役場でお勤めだった芝井さんは、平成16年12月の函館市への吸収合併以後は函館市勤務となりましたが、ずっと水産関係のお仕事であったとのことです。
優秀な方ですので、重要な役割のお仕事を続けてこられました。
ただ、一昨年の3月で定年退職され、以後は水産と関係のない別の公的機関へ移られました。
その際も、大切なポストを用意されての転職であったわけです。
昨年に芝井さんに昆布の相談で時間を取って頂いた際、待ち合わせは某ホテルの喫茶室だったのですが、現れた芝井さんは作業着を着てこられました。
お会いするなり「こんな格好ですみません」とおっしゃるわけですが、これには芝井さんらしいエピソードが関係していて、何か嬉しい気持ちになりました。
函館市役所時代は、ずっと水産の関する部署でお仕事を続けられたわけですが、ご存じの通り、漁師さんは、ほとんどが男性です。
つまり、漁業に関する仕事は、男性社会であったのです。
新しい職場は、事務所に女性のスタッフさんがとても多かったそうで、なかなか馴染めなかったとのこと。
そこで、職務の降格を願い出て、現場仕事に変えてもらったとのことです。
作業着で来られたのは、そんな事情でありました。
これは、芝井さんの人物像を伺い知れるエピソードです。
つまり、「現場主義」の人なのです。
理屈だけの人でなく、現場を知り尽くした人が果たせる役割がいかに大きいか。
失礼な言い方になってしまうかも知れませんが、北海道大学の昆布研究の大家より、芝井さんのお話の方が、私にとって何倍も有用なものに聞こえました。
今後の函館市議会の動きが楽しみです。
(当選前提で書いてしまっていますが、信じています)
(了)