こんぶ土居店主のブログ

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「ほんだし」、昆布使用量100分の1の疑い

 

日本の伝統食文化としての昆布を守るべき立場に居る私は、家庭でだしを取る習慣が失われつつある現状を苦々しく思っています。

そんな現状が何に起因するのか考えたとき、「便利で安価な代用品」の存在も無関係ではありません。

所謂「だしのもと」です。

 


以前から、顆粒だしのもと等は、うまみ調味料が主成分であって、昆布や鰹節等の自然素材は僅かしか使われていないことをお伝えしてきました。

しかしそれが「どれぐらい僅かなのか」ということは、メーカーの内部事情を知る人しか分からないところです。

本日の投稿は、栄養成分の観点から、それを推定しようとする試みです。

鰹節と昆布で取っただしと、同カテゴリーの顆粒だし製品「ほんだし かつおとこんぶのあわせだし」を比較します。

 

注目する栄養素は「ヨウ素」です。

ヨウ素は海藻に豊富に含まれる成分で、逆に言えば、他の原材料から供給されることがほぼ無い成分です。

かつおだしに含まれるヨウ素は昆布だしの1000分の1以下ですし、増してや化学調味料等には含まれませんから、ほぼ全てが昆布由来だと考えて良いと思います。

そのため、両者のヨウ素含有量を比較することで、原材料として使用された昆布の量の推定に役立つはずです。

 

 

まず、顆粒だしの方から。

検査機関に前述の「ほんだし かつおとこんぶのあわせだし」を検体として送り、100g中に含まれるヨウ素含有量を分析してもらいました。

その結果は、下記の通りです。

 

ほんだし かつおとこんぶのあわせだし』( 100 g当たり):ヨウ素   2300 μg

(一般社団法人日本食品分析センター調べ)

 

比較対象の天然だしの方のデータは、文部科学省が提供している「食品成分データベース」のサイトが活用できます。

fooddb.mext.go.jp

この「食品成分データベース」に、『かつお・昆布だし』という項目があります。

実際に鰹節と真昆布から取っただしの成分です。

顆粒だしの説明には「約150倍希釈したものが和風だしとして利用される」との記載がありますので、前述の「ほんだし かつおとこんぶのあわせだし」100gの150倍、つまり15000gの『かつお・昆布だし』に含まれるヨウ素含有量を参照します。

結果は下記の通り。

 

かつお・昆布だし』(15000 g当たり):ヨウ素    230000 μg

 

いかがでしょうか。

かつお・昆布だし』230000に対して『ほんだし』2300です。

偶然にも分かりやすい数字になりましたが、含有量「100分の1」です。

 

つまり、「ほんだし」には、昆布は極々僅かしか使われていないのだと思います。

それなのに、なんとなく「だしっぽい」味になっているのは、うまみ調味料が代わりの役割を果たしているからです。

そもそも、普通にとった昆布だしを100倍に薄めれば、どんな味になるか想像できますね。

ほとんど味のない白湯のようなもので、味覚的効果など無いに等しいでしょう。

 

つまり、ほんだしに僅かに入っている昆布は「昆布の美味しさを得るため」でなく、「昆布を使っている!と書くため」のものでしょう。

 

実際にパッケージの最も目立つ前面を見れば、うまみ調味料のことになど一切触れることなく、

かつおと昆布の豊かなうま味」

だとか

「焼津・枕崎産かつお節と 北海道産真昆布のエキス使用」

といった文言が躍ります。イラストも、鰹と昆布が描かれていますね。

そもそも、こんな製品を「ほんだし かつおとこんぶのあわせだし」というネーミングで売って良いのでしょうか。

名前と実際が、かけ離れていますので。

ちなみに、原材料は下記の通り。

『食塩、砂糖類(砂糖、乳糖)、風味原料(かつおぶし粉末、こんぶエキス)、酵母エキス/調味料(アミノ酸等)』

(調味料(アミノ酸等)、が末尾に記載されていますが、これは最小配合割合であることを意味しません。食品添加物に該当するため、使用量に関わらず末尾に/で区切って記載するよう取り決められているためです。法改正前は、一番最初に書かれていましたから、化学調味料が配合割合最大だと考えて間違いありません。)

 

もちろん、消費者の方がほんだしを使うかどうかは、当然に個人の自由です。

しかし、パッケージから消費者にアピールされるイメージは、実情からかけ離れたものであるのは間違いありません。

これは「優良誤認」を誘っていることに他なりません。

 

更に、「ほんだし」のブランドサイトには、こんな言葉まで書かれています。

ほんのだしほんもののだし

という2つの意味を込めて名づけられました。

 

昆布を100分の1しか使わずに、果たしてこれが「ほんもののだし」なのか。

このブログを読んで下さった方が、よくお考えの上で、自分なりの結論を出していただければと思います。

私には「合法の範囲での消費者だまし」にしか見えませんが、さてさて皆様方は如何お考えでしょうか。

 

大手メーカーによる別の「合法だまし」「優良誤認誘導」の事例は、過去にも投稿しています。ご一読ください。

konbudoi4th.hatenablog.com

 

(了)