こんぶ土居店主のブログ

こんぶ土居店主によるブログです。お役に立てれば。

誤情報でも平気な報道機関

少し前のことですが、テレビ局の嘆かわしい対応に遭遇しました。

あまり良いことではありませんが、書かせていただきます。

 

また後日改めて触れたいと思いますが、天然物の真昆布が豊富に水揚げされたのは平成26年が最後です。

その後は、ずっと不作が続いています。

特にここ3年ほどは漁獲量が皆無に等しく、危機的な状況です。

 

この件について、マスコミで最初に大きく取り上げて下さったのは、産経新聞の北村博子記者です。

2019年の12月28日の夕刊の一面で、素晴らしい記事を書いて下さいました。

今もネット記事としても公開されています。

https://www.sankei.com/life/news/191228/lif1912280014-n1.html

この記事以後、天然真昆布の危機を伝える報道がチラホラと出てくるようになりました。

 

テレビのニュース番組でも何度か取り上げられたようです。

私は今では全くテレビを見なくなってしまいましたが、見るにしても、大阪在住ですので全国放送のものか関西ローカルの番組しか見ることはできません。

 

ただ、最近では放送後、番組の一部がテレビ局によってネット公開されることも多くなっています。

問題のニュース番組は、テレビ朝日が関東で2020年の2月3日に放送したもののようで、放送後しばらくはネットで動画を見ることができました。

コーナー名は「板前さん困惑!和食のかなめ”天然真昆布”ピンチ」というものです。

これを偶然発見し視聴したのですが、その放送内容には誤りが含まれていました。

 

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不鮮明で申し訳ありませんが、上の画像はニュース動画のスクリーンショットです。「函館市内の天然真昆布生産量」として、「140万t超」「19万552t」との数字が読み取れます。

 

この数字がどこから出てきたものか定かではありませんが、昆布の生産量は、函館や真昆布に限定せず北海道全体で見ても、直近では1万5000tを割り込んでいます。

豊作であった時代でも3万tレベルで推移してきました。

ですので、テレビ朝日が報道した数字は実情とは全くかけはなれたものです。

 

この数字が、どこから出てきたものか確認したいと思い、テレビ朝日のウェブサイトの問合せフォームから、質問しました。

しかし、残念ながら待てども待てども返答のメールは来ません。

ですので、後日改めて電話をかけて問い合わせました。

電話口に出た局員に状況を説明したわけですが、そこでのテレビ朝日の対応は、全く唖然とするようなものでした。

 

簡単に言えば、全く取り合おうとしないのです。

報道番組の内容について視聴者から情報の真偽の質問があって、それに全く反応する気がなかったのです。

それどころか、何か「忙しいんだからつまらない電話をかけてこないでくれ」といったような対応をされました。

 

こちらは何も詰問するように話したわけではありません。

マスコミであろうと何であろうと、人間が関わっている以上誤りが発生してしまうのは普通のことです。

それ自体は大きな問題ではないでしょう。

また、大きな組織になると、その中には問題のある人物が一人や二人必ずいるものです。

しかし今回の件は、インターネットからの問い合わせにも返信がなく、電話をかけても前述のような対応です。

テレビ朝日は、公共の電波を使用する報道機関でありながら、情報を正確に出すという最低限の事にも無関心であるようです。

 

揶揄する表現として「マスゴミ」等と言われることもありますが、まさにその言葉通りだと思います。

この対応にどのような背景があるのかよく分かりませんが、とにかく信用できない組織であるのは間違いありません。

つい先日も、新型コロナウイルス感染症に関する海外勤務の医師へのインタビューを、本来の趣旨とは違う恣意的な編集をしたことが問題になっていたようです。

その他にも、調べてみると今回の件などとは比較にならない大きな問題も過去に様々あるようです。

 

やはり時代は大きく変わってきています。

世に溢れる情報には、しばしば怪しい力学が働き、捻じ曲げられます。

 

テレビなんて、もうご覧にならない方が良いんではないでしょうか。

表示を免除されるもの④栄養強化目的

 

連日投稿して参りました、加工食品に含まれていながら原材料表示への記載が免除される事例、本日は最終回です。

今日のテーマである「栄養強化目的」であれば表示が免除される場合があることを知ったのは、実は最近です。

非常に驚きました。

正確を期すため、詳細を消費者庁にも確認しましたが、驚くべき状況です。

是非多くの方にご理解いただきたい内容です。

 

本題に入る前に。

私共は昆布屋ですので、だしに強く関係しています。

日本人の伝統としての「だし文化」。

近年ではその価値が世界から強く注目されています。

しかし、だしの業界ほど、イミテーションに満ちた世界はありません。

伝統的な本物のだしに似せた代用品が生まれてから、すでに長い年月が経過しました。

所謂「うまみ調味料」です。

「うまみ調味料」をどのように捉えるかは、個人個人で違うと思いますし、当然何をお使いになるのも自由です。

ただ、私共は古くからの伝統を担う昆布屋として、それが伝統食文化を駆逐してく作用を持っていることを危惧しています。

イミテーションは、いつの時代も本物に似せ、真の姿を隠し、あたかも本物と変わらないものであるように振舞います。

少なくとも本物とそれ以外の違いだけは多くの方がご理解下さることを願っています。

 

さて、本題に戻ります。

本日のテーマである「栄養強化の目的で使用されるもの」。

次のような内容です。

 

◎ 栄養強化の目的で使用されるビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類については、表示を省略できます。栄養強化の目的が考えられる添加物の範囲については、食品表示基準について(別添 添加物)に記載されています。
 なお、調製粉乳にあっては、栄養強化の目的で使用されたものであっても、従来どおり主要な混合物として表示が必要です。また、別表第4で表示義務のあるものは、栄養強化の目的であっても表示が必要となります。

 

文中の、(別添 添加物)とは、次の資料でご覧いただくことができます。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/pdf/food_labeling_cms101_200327_10.pdf

 

PDFファイルの各ページの最下行にはページ数が書かれていますが、23Pと24Pに書かれているものが、それに該当します。

ビタミン類33品目、ミネラル類34品目、アミノ酸類24品目の、計91品目です。

その、アミノ酸類の中に「L―グルタミン酸ナトリウム」が含まれています。

これは、化学調味料の成分に他なりません。

 

化学調味料は、原材料表示上では、調味料(アミノ酸等)と表記することが義務付けられています。

しかし食品メーカーが「栄養強化の目的で使用している」と言ってしまえば、化学調味料を入れてもその表示義務を免れるわけです。

このような状況は、消費者の方に本来伝えられるべき情報が隠蔽されることにつながります。

現在でも、この制度を悪用するメーカーも恐らく存在するでしょう。

原材料表示を読む習慣をお持ちで、化学調味料入りのものをできれば避けたいと考えている方がいるとすれば、そのような方には完全に誤認を招く結果となります。

この制度は、一体誰のためのものなのでしょうか。

大いに疑問です。

 

補足すべき事とすれば、文中の「別表第4」です。

この資料の中には、「ただし、栄養強化の目的で使用される添加物に係る表示の省略規定は適用しない。」と規定されている品目があり、それについては該当しません。

ただ、それはあくまで一部の品目についての規定であり、多くの食品に関しては表示免除されます。

(別表第四、は下記のPDFファイルの321Pから見ていただけます。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/pdf/food_labeling_cms101_200327_02.pdf

 

このような制度によって、本物とそれ以外を識別する情報が得られなくなることは、非常に残念です。

食品の業界は、残念ながら欺瞞に満ちています。

消費者の方には、何卒本質を見抜く目を持って下さいますことをお願い致します。

 

表示を免除されるもの③加工助剤

昨日に引き続き、表示を免除される食品添加物につきまして。
本日は、「加工助剤」を取り上げます。

 

「加工助剤」とは文字通り、加工食品を製造する際に、製造を容易にする為に利用される成分のことです。
この場合、含有していたとしても表示義務がありませんので、消費者が十分な情報を得られないことになります。
東京都福祉保健局のウェブサイトが分かりやすかったので、そちらから引用しますと、下記①~③のどれかに該当すれば表示義務なしとのことです。

 

①当該食品の完成前に除去されるもの
②当該食品の原材料に起因してその食品中に通常含まれる成分と同じ成分に変えられ、かつ、その成分の量を明らかに増加させるものではないもの
③当該食品中に含まれる量が少なく、かつ、その成分による影響を当該食品に及ぼさないもの

 

①に関しては、本当に除去されるのであれば、その食品に含まれないということになるので、表示義務がなくて問題ないかと思います。
ただ、②と③は、含まれていても表示義務がないと言うことになりますし、「量を明らかに増加させるものではない」、「量が少なく」等、基準に明確な線引きがなく曖昧です。

①の例として東京都福祉保健局が挙げているものに、「油脂製造時の抽出溶剤であるヘキサン」があります。
この製造方法の油脂の問題点については、後日記述致します。
②の例としては、「ビールの原料水の水質を調整するための炭酸マグネシウム」とあり
③には「豆腐の製造工程中において、大豆汁の消泡の目的で添加するシリコーン樹脂」が例示されています。

 

ビールに炭酸マグネシウムが使われていたり、豆腐にシリコンが使われていることをご存じない方がほとんどだと思いますが、それは表示義務が無いからだとも言えます。

 

豆腐は、大豆を潰して豆乳をつくりそれを煮てニガリを打って固めるわけですが、豆乳を煮ると必ず泡が出ます。
この泡は、豆腐屋さん泣かせで、昔から何とか泡を抑える工夫がされてきました。
こんぶ土居でも取引のある、香川県で良い豆腐づくりをされている「久保食品」さんでは、泡を抑えるために米糠を使われています。
原材料表示欄にも「米糠」と明記されています。
しかし、一般の豆腐づくりでは、この「消泡」の目的でシリコンがしばしば使われるのです。

 

前述の久保食品さんに実験を見せて頂いたのですが、洗剤を水に溶いて撹拌し泡がモコモコになったところにシリコンの水溶液を吹きかけると、たちどころに泡が消えるのを見て非常に驚きました。
シリコンが人体に悪影響があるのか無いのかは分かりませんが、個人的にはそんなものが使われていないものを選びたいです。
ですので、加工助剤との名目で表示が免除され情報が十分に得られないことは、一消費者として不満に思います。

 

これまで連日、表示を免除される事例をご紹介してきましたが、次回は、最も問題が大きいとも言える四つ目の表示免除の事例をご紹介します。

表示を免除されるもの②キャリーオーバー

表示を免除されるもの②キャリーオーバー

5月27日に投稿した「表示を免除されるもの①」では食品原料で原材料表示に現れない要素について書きました。
https://konbudoi4th.hatenablog.com/entry/2020/05/27/160912

本日は、食品添加物で表示免除になるものの例として、キャリーオーバーについて書いてみます。

 

例として「醤油せんべい」を考えてみます。
せんべいは、お米さえあれば作ることができますので、最も単純な醤油せんべいの原料は「米、醤油」になるかと思います。
米は一次生産品ですので、単純です。
ただ、醤油は大豆や小麦、塩などを原料につくる加工品ですので、何でできているのかが大切です。
5月27日の「表示を免除されるもの①」でお伝えしたように、せんべいの原料の醤油に食品添加物が含まれている場合、それがせんべい製造段階で加えたものでなくても、せんべいの原材料表示として表示義務が発生します。
例えば、原料の醤油に化学調味料が入っているのであれば、しょうゆせんべいの原材料表示にもそれを記載する義務があるわけです。
ただこれは、醤油に含まれる化学調味料が、最終製品であるせんべいにうまみを付与する効果を発揮しているから表示義務が発生しているわけです。

 

醤油には、特殊な食品添加物が使用されることがあります。
それは、安息香酸ナトリウムと言う保存料です。
この成分は健康への悪影響の懸念が大きく、基本的に使用が禁止されています。
しかし、限られたカテゴリーの食品には例外的に許可されているのです。
そのひとつが醤油です。

醤油に保存料として安息香酸ナトリウムが使用されているのであれば、その醤油の原材料表示には、当然それを明記する必要があります。
ただ、その醤油を使って醤油せんべいを作っても、せんべいの原材料表示には安息香酸ナトリウムの表示は必要ありません。
これは、安息香酸ナトリウムがせんべいに、その使用目的である保存料としての効果を発揮していると言えないからです。
ぜんべいは、乾燥度の非常に高い食品ですので、細菌が繁殖することは考えづらく、腐敗のリスクはほとんどありません。
このため、安息香酸ナトリウムが含まれていても、それによってせんべいの保存性が向上しているとは考えられないわけです。
これが、表示を免除される例のひとつである、キャリーオーバーです。

 

しかし、消費者にとって大切なのは、その添加物が効果を発揮しているかどうかでしょうか。
そんなことより、含有しているのかどうかが主たる関心事でしょう。
健康に関する懸念であれば尚更です。
そう考えると、キャリーオーバー解釈で表示が免除される制度に疑問を感じる部分もあります。

こんな抜け道のようなものがあることを、消費者の方には知っていただければと思います。
こんぶ土居では、表示義務があるかないかに関係なく、製品の原材料の原材料まで遡っても食品添加物を使用していません。

表示を免除されるもの① 原材料の原材料

加工食品には、賞味期限や内容量、栄養成分など、表示すべきものが食品表示法によって定められています。
原材料も、当然表示しなければなりません。
つまり、原材料表示を読めばその食品が何からできているかを把握することができます。
ただ、製品に含まれていながら、表示を免除される場合もあり、時に食品選びの障壁になり得ます。
今回は、その一例「原材料の原材料」について、記します。

 

大阪では昆布の佃煮が古くから名物とされ、「塩昆布」と呼ばれてきました。
こんぶ土居でも様々な昆布の佃煮製品を製造しています。
昆布佃煮に不可欠な素材は、昆布と醤油です。
通常甘味をつけられる場合が多いので、みりんや砂糖、他の副原料を加えられる場合がほとんどですが、極限までシンプルにするなら昆布と醤油だけでも製造可能です。
こんな製品を想定し、原材料表示がどのように表記されるかを考えます。

 

昆布は単に昆布ですが、醤油についてはその醤油が何でできているのかを考えることができます。
伝統的な醤油は、「大豆、小麦、塩」この三種類の原材料のみで作るものですが、現代では様々な副原料が使用されることがあるからです。

例えば、次の2種類の醤油を想定します。

①醤油の原材料として、うまみ調味料の化学調味料(表示上では、調味料(アミノ酸等))が使われた場合
(例:醤油の原材料として、大豆、小麦、塩、調味料(アミノ酸等))

②醤油の原材料として、うまみ調味料の酵母エキスやたんぱく加水分解物、各種エキス類等が使用された場合
(例:醤油の原材料として、大豆、小麦、塩、酵母エキス)

加工食品の原料として使用されるものは、二つのカテゴリーに分けられます。
一つは「食品原料」で、もう一つは「食品添加物」です
前述の例では、①に含まれるは調味料(アミノ酸等)は食品添加物に分類され、②に含まれる酵母エキスは食品原料に分類されます。
このように分類分けされる理由はよくわかりません。
当然、醤油に使われる大豆、小麦、塩も食品添加物ではなく食品原料です。

この分類の違いが、表示を免除されるかどうかの大きな分かれ目になります。
つまり、昆布佃煮の原料として①の醤油を使った場合と②の醤油を使った場合で、表示方法が変わるのです。

 

①の醤油を使ってシンプルな昆布佃煮を製造した場合の原材料表示は
「昆布、醤油、調味料(アミノ酸等)」となります。
昆布と醤油のみで製造した製品を想定しているので、この場合、調味料(アミノ酸等)は昆布佃煮製造段階で加えられたわけではありません。
使用した醤油に含まれていただけです。
それでも、原料としての醤油に含まれる食品添加物は、最終製品の昆布佃煮の原材料表示に表記することが義務付けられています(免除の例であるキャリーオーバーや加工助剤を除く。これについては別日に記します)。
これは、調味料(アミノ酸等)が、食品添加物として分類されているからです。

同様に、②の醤油を使ってシンプルな昆布佃煮を製造した場合の原材料表示は
「昆布、醤油」だけになります。
つまり、②の醤油に含まれる酵母エキスが食品原料として扱われるため、最終製品の昆布佃煮にそれを表示する義務がないのです。

 

酵母エキス等のうまみ調味料の是非を、どう評価するかは個人のお考え次第です。
ただ、酵母エキスの含まれる昆布佃煮を避けたいと考えている方がいたとしても、この場合、原材料表示からその含有の有無を確かめることはできないのです。
これは、食品原料に分類されるうまみ調味料の大きな問題点だと言えます。
また食品生産者の側では、それをうまく利用し、消費者の優良誤認を誘うことも可能でしょう。

 

このような現状を踏まえ、こんぶ土居では、原材料表示をラベルの面積が許す限り詳細に表示することにしています。義務付けられているもの以外でも、原材料の原産地や原材料の原材料を可能な限り表示しています。

例えば、山椒入りの昆布佃煮の原材料表示は下記の通りです。

 

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こんぶ土居では全製品、原材料の原材料やキャリーオーバーや加工助剤解釈を含め、一切の食品添加物やうまみ調味料を使用していません。
こんぶ土居で使用する調味料などについての考え方は、ウェブサイトをご参照下さい。
http://www.konbudoi.info/main/zairyo.html

食品原料として分類されるうまみ調味料の、更に別の問題点は、後日投稿致します。

 

 

本格十倍出しのかつおぶし

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これは、こんぶ土居製品「本格十倍出し」の原料として使用している鰹節です。
本枯節の生産量では日本一を誇る鹿児島県指宿市山川の鰹節生産者にお願いし、こんぶ土居別注品として作っていただいているものです。
かつお節の品質を分ける要素は様々ですが、大まかには次のようになるでしょうか。

①原料魚の漁獲地
②原料魚の漁獲方法
③「枯節」か「荒節」か

①は、日本近海での漁獲か、海外での操業かの違いです。やはり概して日本近海産の評価が高く、高値で取引されることが多いようです。
②は「一本釣り漁」か「巻き網漁」かです。魚体が傷みやすい巻き網に比べ、一本釣りは味覚の面でも漁業資源の保護の観点からも良いと思います。
③ 鰹節の製造法は大まかに、原料魚の身を切り分け(生切)、水で茹で(煮熟)、煙で燻して水分を抜く(焙乾)、以上の工程です。ここまでの鰹節は「荒節」と呼ばれます。その後、「かびつけ」と呼ばれる工程を経たものが「枯節」です。かびの力を利用し、更に水分を抜き、香りもよくなるので、「枯節」は高級品だと言えます。

「本格十倍出し」に使用する鰹節は近海物一本釣の枯節100%ですので、非常に高品質なものです。
枯節の表面はカビで覆われているのですが、カビそのものが美味しいわけではなく、カビが鰹節全体を美味しくする効果を発揮します。
そのため、ご家庭で枯節を自分で削る場合には、カビを洗い流してください。流水にあてタワシなどでゴシゴシ洗っていただいて問題ありません。
その後、水分をふき取り軽く陰干しにしていただければすぐに使えます。
「本格十倍出し」製造用には、鹿児島の生産者の方にカビを削り落とした状態で納入していただいています。

「本格十倍出し」には、こんな素性の鰹節を使う直前に削って釜に入れています。
製造場は、本当に素晴らしい香りに包まれます。

鰹節そのものの品質ももちろん大切ですが、削りたての良さは特筆すべきものがあります。
いくら良い節でも削って時間がたって酸化したものでは意味がありません。
良い節を手に入れ、ご自分で削り、本当の鰹節の美味しさを是非体感してみて下さい。

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ブログはじめました

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大阪で、曾祖父の代より昆布屋を営んでいます。

昆布屋の仕事の中で思うことを、たまに書き綴ります。

 

SNSで様々なことが発信される時代。

アクセス数を増やす工夫ばかりの、表面的な見た目を飾る情報が溢れているように思います。

 

「味淡有眞楽」、これはこんぶ土居の製品づくりを表現した言葉です。

 

このブログも、派手さはなくとも、眞に良い生活を求める方々の一助になる情報をお届けできればとい思います。

 

ご意見やご感想があれば、コメント欄でお知らせいただけますと幸いです。

 

令和2年5月

こんぶ土居 土居純一