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表示を免除されるもの②キャリーオーバー

表示を免除されるもの②キャリーオーバー

5月27日に投稿した「表示を免除されるもの①」では食品原料で原材料表示に現れない要素について書きました。
https://konbudoi4th.hatenablog.com/entry/2020/05/27/160912

本日は、食品添加物で表示免除になるものの例として、キャリーオーバーについて書いてみます。

 

例として「醤油せんべい」を考えてみます。
せんべいは、お米さえあれば作ることができますので、最も単純な醤油せんべいの原料は「米、醤油」になるかと思います。
米は一次生産品ですので、単純です。
ただ、醤油は大豆や小麦、塩などを原料につくる加工品ですので、何でできているのかが大切です。
5月27日の「表示を免除されるもの①」でお伝えしたように、せんべいの原料の醤油に食品添加物が含まれている場合、それがせんべい製造段階で加えたものでなくても、せんべいの原材料表示として表示義務が発生します。
例えば、原料の醤油に化学調味料が入っているのであれば、しょうゆせんべいの原材料表示にもそれを記載する義務があるわけです。
ただこれは、醤油に含まれる化学調味料が、最終製品であるせんべいにうまみを付与する効果を発揮しているから表示義務が発生しているわけです。

 

醤油には、特殊な食品添加物が使用されることがあります。
それは、安息香酸ナトリウムと言う保存料です。
この成分は健康への悪影響の懸念が大きく、基本的に使用が禁止されています。
しかし、限られたカテゴリーの食品には例外的に許可されているのです。
そのひとつが醤油です。

醤油に保存料として安息香酸ナトリウムが使用されているのであれば、その醤油の原材料表示には、当然それを明記する必要があります。
ただ、その醤油を使って醤油せんべいを作っても、せんべいの原材料表示には安息香酸ナトリウムの表示は必要ありません。
これは、安息香酸ナトリウムがせんべいに、その使用目的である保存料としての効果を発揮していると言えないからです。
ぜんべいは、乾燥度の非常に高い食品ですので、細菌が繁殖することは考えづらく、腐敗のリスクはほとんどありません。
このため、安息香酸ナトリウムが含まれていても、それによってせんべいの保存性が向上しているとは考えられないわけです。
これが、表示を免除される例のひとつである、キャリーオーバーです。

 

しかし、消費者にとって大切なのは、その添加物が効果を発揮しているかどうかでしょうか。
そんなことより、含有しているのかどうかが主たる関心事でしょう。
健康に関する懸念であれば尚更です。
そう考えると、キャリーオーバー解釈で表示が免除される制度に疑問を感じる部分もあります。

こんな抜け道のようなものがあることを、消費者の方には知っていただければと思います。
こんぶ土居では、表示義務があるかないかに関係なく、製品の原材料の原材料まで遡っても食品添加物を使用していません。