連日投稿して参りました、加工食品に含まれていながら原材料表示への記載が免除される事例、本日は最終回です。
今日のテーマである「栄養強化目的」であれば表示が免除される場合があることを知ったのは、実は最近です。
非常に驚きました。
正確を期すため、詳細を消費者庁にも確認しましたが、驚くべき状況です。
是非多くの方にご理解いただきたい内容です。
本題に入る前に。
私共は昆布屋ですので、だしに強く関係しています。
日本人の伝統としての「だし文化」。
近年ではその価値が世界から強く注目されています。
しかし、だしの業界ほど、イミテーションに満ちた世界はありません。
伝統的な本物のだしに似せた代用品が生まれてから、すでに長い年月が経過しました。
所謂「うまみ調味料」です。
「うまみ調味料」をどのように捉えるかは、個人個人で違うと思いますし、当然何をお使いになるのも自由です。
ただ、私共は古くからの伝統を担う昆布屋として、それが伝統食文化を駆逐してく作用を持っていることを危惧しています。
イミテーションは、いつの時代も本物に似せ、真の姿を隠し、あたかも本物と変わらないものであるように振舞います。
少なくとも本物とそれ以外の違いだけは多くの方がご理解下さることを願っています。
さて、本題に戻ります。
本日のテーマである「栄養強化の目的で使用されるもの」。
次のような内容です。
◎ 栄養強化の目的で使用されるビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類については、表示を省略できます。栄養強化の目的が考えられる添加物の範囲については、食品表示基準について(別添 添加物)に記載されています。
なお、調製粉乳にあっては、栄養強化の目的で使用されたものであっても、従来どおり主要な混合物として表示が必要です。また、別表第4で表示義務のあるものは、栄養強化の目的であっても表示が必要となります。
文中の、(別添 添加物)とは、次の資料でご覧いただくことができます。
PDFファイルの各ページの最下行にはページ数が書かれていますが、23Pと24Pに書かれているものが、それに該当します。
ビタミン類33品目、ミネラル類34品目、アミノ酸類24品目の、計91品目です。
その、アミノ酸類の中に「L―グルタミン酸ナトリウム」が含まれています。
これは、化学調味料の成分に他なりません。
化学調味料は、原材料表示上では、調味料(アミノ酸等)と表記することが義務付けられています。
しかし食品メーカーが「栄養強化の目的で使用している」と言ってしまえば、化学調味料を入れてもその表示義務を免れるわけです。
このような状況は、消費者の方に本来伝えられるべき情報が隠蔽されることにつながります。
現在でも、この制度を悪用するメーカーも恐らく存在するでしょう。
原材料表示を読む習慣をお持ちで、化学調味料入りのものをできれば避けたいと考えている方がいるとすれば、そのような方には完全に誤認を招く結果となります。
この制度は、一体誰のためのものなのでしょうか。
大いに疑問です。
補足すべき事とすれば、文中の「別表第4」です。
この資料の中には、「ただし、栄養強化の目的で使用される添加物に係る表示の省略規定は適用しない。」と規定されている品目があり、それについては該当しません。
ただ、それはあくまで一部の品目についての規定であり、多くの食品に関しては表示免除されます。
(別表第四、は下記のPDFファイルの321Pから見ていただけます。
このような制度によって、本物とそれ以外を識別する情報が得られなくなることは、非常に残念です。
食品の業界は、残念ながら欺瞞に満ちています。
消費者の方には、何卒本質を見抜く目を持って下さいますことをお願い致します。