昆布は日本独自の食文化ですが、今や世界に進出し、新しい世界が拓けてきています。
数年前、仕事でサンフランシスコを訪れた時は、一部の高級スーパーの海藻コーナーの充実ぶりに目を見張ったものです。
日本の普通のスーパーより海藻売場が広いようにすら感じました。
例えば、「あらめ」という海藻を、ご存じでしょうか。
アメリカ西海岸では、こんな製品が普通に販売されていました。
多くの種類の海藻が売られていましたが、注目すべきは、そのパッケージの製品名です。
ご紹介した「あらめ」も「ARAME」と表記されていますし、「KONBU」「WAKAME」などと、ほとんどが日本語のアルファベット表記なのです。
昆布は英語では「KELP」という単語が当てられますが、「KONBU」として売られます。
これは、海藻食の世界では、日本がお手本であるということを示しているのではないでしょうか。
また、販売だけでなく、今や世界のたくさんの国で昆布類の養殖は始まっています。
当然ながら昆布の養殖は、日本で初めて実用化されたものです。
私の友人で台湾人がいるのですが、先日、あるスペインの海藻販売会社の情報を教えてくれました。
こちらの会社でも、本当に多様な海藻を販売されています。
この会社のサイトの興味深いところは、レシピが掲載されているところです。
スペインの会社ですので、当然日本料理のレシピではないのです。
海藻の特徴であるのですが、西洋料理にも全く問題なく利用可能です。
レシピを見ているだけで、新しい昆布の可能性を見るようで、楽しくなります。
私がサンフランシスコに行った際も、日本人とは全く違う昆布の利用法を見て、それがとても美味しかったのが印象的でした。
こんな実例を目にすると、まだまだ昆布には新しい可能性が秘められているように思います。
こんぶ土居製品でも、昨年、シタール奏者の石濱匡雄さんのご協力で製品化した「ミネラルいりこんスパイシー」。
「煮干し」と「大豆」と「昆布」をスパイスで味付けして合わせています。
その昆布には甘味を効かせてコリアンダーシードの香りを纏わせていますが、日本独自の使い方とは全く異質のものです。
しかし、伝統的な昆布の利用に軸足を置く私たちが食べても、本当に不思議と美味しいのです。
日本人の悲しい傾向として、自国の素晴らしい文化の価値に気づかず、捨て去ってしまうことが多いように思います。
海藻食の世界の本場は、間違いなく日本です。
美味しさと共に、健康価値も強く評価されています。
その価値を世界が評価している今、日本人も、認識を新たにしていただきたいと思います。
こんぶ土居のウェブサイトのトップページには、下記のような一文を書いています。
「こんぶ土居では、伝統ある大阪の食文化を守り育て、本物を次代に伝えることが私どもの使命だと考えています。また、伝統を大切にしながら、時代に合った便利な製品の開発、お求め易い価格の新製品等、常にお客様の立場に立った食品づくりを心がけております。」
昆布の本場は日本ですが、狭い世界に留まることなく、新しい世界にも目を向けていきたいと思います。