ご家庭でだしを取って、残るダシガラの処理にお困りのことはないでしょうか。
捨ててしまう場合もあるかと思いますが、できれば食べていただきたいです。
それは、「もったいないから」だけでなく、「だしがらこそ栄養豊富」だからです。
例えば、昆布と鰹節のだしを考えましょう。
昆布には、海からの栄養成分が豊富に含まれています。
ミネラルを例に取ると、昆布には、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛など、健康に必要なものがたくさん含まれています。
文部科学省の食品成分データベース(https://fooddb.mext.go.jp/)を上手に利用すれば、各成分について、だしへの溶出量と、だしがらへの残存量を計算できます。
結果は、上記の全ミネラル成分、ほとんどがだしがらに残っている計算になります。
ナトリウムもミネラル成分ですが、日本人は塩分を取りすぎの傾向にありますので、ナトリウム摂取は控えめな方が良いです。
ナトリウムは、多くがだしに溶出し、ダシガラには多く残りません。
つまりだしがらは、不足しがちな栄養素ほど豊富で、不要なものは少ないということになります。
昆布は食物繊維も豊富ですが、だしがらに多く残ります。
こう考えると、だしがら昆布は実に理想的な栄養食品であると言えるわけです。
実はこれは、鰹節の成分でも似た傾向を見せます。
また、鰹節はタンパク質が豊富ですが、だしがらにほとんどが残留します。
総合的に考えますと、
『だしは主に美味しさに寄与し、いくらか栄養的価値もある。だしがらの栄養価値は、だしより遥かに強い』
といったところでしょうか。
このような結果ですので、是非ダシガラも美味しく調理していただければと思います。
昨日投稿しました拙著「土居家のレシピと昆布の話」には、ダシガラ活用レシピも掲載しています。
次回は、こんぶ土居で製造している、ダシガラ活用製品のお話です。