こんぶ土居店主のブログ

こんぶ土居店主によるブログです。お役に立てれば。

2020-01-01から1年間の記事一覧

函館市立磨光小学校 2020年夏北海道出張レポート③

白口浜天然真昆布の産地である、北海道函館市の旧南茅部町には、地元の子供たちが通う小学校があります。 磨光小学校です。 こんぶ土居では、三代目の時代から生産者の方々との信頼関係の構築に努めてきました。 また同時に、次代を担う若者や子供たちにお伝…

原彰彦北海道大学名誉教授 2020年夏北海道出張レポート②

以前からお伝えしております天然真昆布の危機。 それを救う手立てを模索し、取り組んでおります。 今年の夏の北海道出張の主たる目的は、その道筋を探すためです。 多くの方が協力して下さっているので、それを記録するためにも、主に人物を軸として出張レポ…

2020年夏、北海道出張レポート①

この漁船は、2020年6月27日投稿の「平成16年夏、昆布漁のお手伝い」で書いた、故・吉村捨良さんが使っていた昆布採りのための漁船です。https://konbudoi4th.hatenablog.com/entry/2020/06/27/092818 今は誰も使う人がいません。 この斜路を降りて漁に出まし…

うまみ調味料の功罪と、昆布屋としての展望

家庭で手作りの食事を用意する人が、残念ながらどんどん減ってきているようです。 私共は昆布屋ですので、その価値を理解し使って下さる方が増えることを、当然望んでいます。 知っていただく機会として開催してきた「たぶん日本一のだしの取り方教室」は、…

「うまみ」という言葉

「うまみ」という言葉は、「UMAMI」として、国際語の地位を確立しつつあると言われます。 それが素晴らしいものであるかのように、もてはやされることも多いと思います。 ただ、こんぶ土居では「うまみ」という言葉を、できるだけ使わないようにしています。…

天然真昆布の危機

前回の投稿で書きました、「献上昆布」の別名もある北海道の旧南茅部地区で産出する天然真昆布。 この日本を代表する高品質な昆布が、大変な危機に瀕しています。 平成26年が最後の豊作で、以後不作が続き、その程度は年々ひどくなっています。 この件につい…

登録商標「御上り昆布」

こんぶ土居では、「御上り昆布(おあがりこんぶ)」という塩昆布(昆布の佃煮)を製造しています。 北海道の旧南茅部で産出する白口浜天然真昆布を厳選した調味料で炊き上げた製品です。 この名称は、古く江戸時代の史実から取っています。 そのストーリーを…

糖質制限食と人工甘味料

数年前から糖質制限食が流行っていますが、ストイックなものは是非やめた方が良いと思います。 知人のご家族にも一切炭水化物を採らない人がいて、心配になります。 まず、炭水化物を取らない食生活は、どう考えても不自然です。 炭水化物をほとんど摂取せず…

栄養成分と味覚

人間は、食べ物に美味しさを感じます。 美味しいと感じること、その感覚の役割は食べることの動機付けだと思います。 食べることは、生きる上での最も大切な行為ですから、それに対して強い欲求がないのであれば、生存そのものの危機です。 つまり基本的には…

十倍出しレシピ動画

こんぶ土居の看板商品のひとつ「十倍出し」。 使い方を教えて下さいと、言われることがあります。 文字通り、原液1:水9の割合で薄め、みそ汁や煮物など、様々な料理にお使いいただけます。 レシピ集があれば喜んでいただけるかと思い、少しだけYouTube上で…

昆布の表面の白い粉

お客様から、よく質問をお受けします。 「昆布の表面の白い粉は、拭かなくて良いんでしょうか」と。 結論から申しますと、拭かなくて問題ありません。 よく言われるところですが、白い粉は昆布のおいしさの成分の一つが浮き出たものだからです。 塩のように…

昆布の熟成について

「梅雨が明ける」。 これは昆布屋にとって、大きな意味を持っています。 昔から大阪では、どこの昆布屋でも「昆布は梅雨を越えてから」と言ったようです。 これは、昆布の熟成による味の向上についての話です。 漁期である7月~8月に北海道で水揚げされた昆…

平成16年夏、昆布漁のお手伝い

昆布の漁期は真夏です。 私が初めて昆布産地を訪問したのは平成16年で、漁師の方と一緒に昆布漁の船に乗り、泊まり込みでお手伝いをさせていただきました。 当時、そのことについて書いた文章がありますので、転載致します。 こ ん ぶ 土 居 通 信 №12 平…

日本の出し(だしパック)について

前回の投稿では、一般的なだしパック製品について書きました。 本日は、こんぶ土居の製品のだしパック「日本の出し」につきまして。 販売開始時(2012年)に、開発の経緯を書いた文章がありますので、以下に転載致します。 「日本の出し」は、古来より最高品…

だしパックもいろいろ

だしパックの製品が人気のようです。 ここ数年、本当にたくさんのメーカーが作るようになりました。 ご存じのように「だしパック」とは、昆布や鰹節、煮干しや干椎茸等のだし素材を紙や不織布に詰めたものですね。 計量や濾す手間がないので便利です。 昔は…

ミネラルいりこんの役割

「ミネラルいりこん」開発の経緯 ●だしに溶け出す栄養素こんぶ土居の製品「十倍出し」は、製造開始から30年以上が経過し、様々な改良を加えつつ今日まで製造を続けてきました。高級な原材料を使用した「本格十倍出し」と、原材料の品質を少し下げた廉価版「…

「しっとりふりかけ」自画自賛

前回に引き続き、「だしがらは素晴らしい」がテーマです。 こんぶ土居に「本格十倍出し」という製品があります。 昆布と鰹節の濃縮液体だしです。 この製品を作る際、当然だしがらが出るわけです。 そのだしがらを利用して製造しているのが「しっとりふりか…

「だしがら」こそ栄養豊富

ご家庭でだしを取って、残るダシガラの処理にお困りのことはないでしょうか。 捨ててしまう場合もあるかと思いますが、できれば食べていただきたいです。 それは、「もったいないから」だけでなく、「だしがらこそ栄養豊富」だからです。 例えば、昆布と鰹節…

書籍『土居家のレシピと昆布の話』

こんぶ土居では、過去に書籍を出版しています。 「土居家のレシピと昆布の話」という本です。 形式としては、レシピ本のようになっていますが、むしろその他にお伝えしたいことが多く、様々なことを書きました。「昆布の話」、の部分ですね。 現在刷り上がっ…

本物の梅干し

梅干しは、素晴らしい食品です。 そのままでは食べられない梅を、長い時間をかけて白いごはんと無敵の相性を見せる食品に変える。 古くからの日本人の知恵が生きた食卓に欠かせない伝統食ですね。 本来の梅干しの作り方は、シンプルです。 適切な量の塩を梅…

季節商品、青梅入り昆布

昆布屋は季節感に乏しい仕事ですが、少しだけ季節商品も製造しています。 春には竹の子、秋には柚子、そしてこの季節は青梅入りの昆布の佃煮を製造しています。 甘酸っぱい味ですので、他の佃煮製品とはかなり印象が変わりますが、梅雨時のじめじめした感じ…

とろろ昆布③黒と白

前回の「とろろ昆布②」の続きです。 例えば、 「黒おぼろ」とか「白おぼろ」、 「黒とろろ」とか「白とろろ」。 言わずもがな色の違いですが、その色の違いはどこから生まれてくるのでしょう。 赤いリンゴをイメージして下さい。 赤く見えても、それは皮だけ…

とろろ昆布②古き良き道具

6月13日の、とろろ昆布①では、機械で削るとろろ昆布のことをご説明しました。 本日は、手作業で削るとろろ昆布のお話です。 古い時代に機械削りはないので、その頃のとろろは、全て手作業だったはずです。 その手作業自体は、13日に紹介したYouTube動画の「…

とろろ昆布①つくり方

とろろ昆布は、一般的な食品ですが、製法をご存じの方は少ないのではないでしょうか。 お酢に浸した昆布を圧縮して固め、大きなブロックのようにしてから機械で削ります。 言葉では伝えづらいところもあるのですが、YouTube上に面白い動画を見つけました。 …

店舗内装【建築について】

こんぶ土居は、1903年の創業以来117年目の営業になりますが、もともと現在の場所であったのではありません。 平成17年に移転してきたものです。 その際に、店舗内装の工事をしましたが、こんぶ土居の食品づくりと同様に、できるだけ自然素材で構成するように…

だし?出汁?出し?

予防線を張るようですが、今日のお話は特に重要なことではありません。 「ダシ」という言葉の表記方法について、少し気になっているので書いてみます。 もし、ご興味があれば。 よく使われる表記方法、『①だし ②出し ③出汁』の三種類を考えてみましょう。 ど…

Instagram

今年から、こんぶ土居スタッフで、インスタグラムを始めました。 その時々の情報をお伝えします。 https://www.instagram.com/konbu_doi/ このブログとの性格分けが必要かと思いますが、だいたい次のような感じでしょうか。 【ブログ】 テキストが主なので、…

空堀

こんぶ土居の店舗は、大阪市中央区の「空堀」と呼ばれる地域にあります。 この地名の由来は、大阪城です。 昔は「大坂城南惣構堀」と呼ばれたようですが、水の張られていない空っぽの堀があった場所なのです。 現在の大阪城からこんぶ土居までは、1キロ少々…

エキスとだしの違い

加工食品の原材料表示欄に「~エキス」と表記されているものを見つけたことはないでしょうか。 「チキンエキス」「ポークエキス」「魚介エキス」、その他にも「酵母エキス」などなど。 様々なエキス類があります。 今日は、それらについてのお話です。 不思…

ネリ節って、なんだ?

「ネリ節」という物をご存知の方は、その業界の方を除き、ほとんどおられないと思います。 私も今年初めて知りました。 「ネリ節」とは、簡単に言えば、鰹節に似せた魚肉の加工品です。 鰹節問屋さんにご協力いただき、取り寄せてみましたが、こんな見た目を…